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1998/12/30 中国新聞

「家庭」で楽しい正月過ごそうよ 今年も里子9人招く 北備地区里親会(広島県)
中国朝刊 北B (全474字)

 県北二市二郡の里親で結成する北備地区里親会(牧田繁喜会長、三十二人)は二十九日、今年も冬季一時里子として東広島市西条町の児童養護施設・広島新生学園(上栗哲男園長、七十五人)の園児を招いた。一月四日まで家庭生活を体験してもらう。
 里子として訪れたのは四歳から十三歳までの九人。同日朝、園のバスで庄原市東本町の「伍楽荘ボウル」に到着した。受け入れ式で園児代表の岡本真理子さん(13)が「今日を楽しみにしていました。よろしくお願いします」とあいさつ。ホームステイの九家庭も決まった。
 今回は、伍楽荘ボウルを拠点にしたボウリング愛好者の「ファイブ・クラブ」(山岡巧会長、四十人)が里子活動を支援。事前に広島新生学園へクリスマスプレゼントを贈ったほか、この日も式のあと、全員を招待して「ふれ愛ボウリング大会」を開いた。
 園児と里親の家族ら四十人は十レーンに分かれ、二ゲームを楽しんだ。初めての人も多くボールが溝に落ちたり、時にストライクが出たりすると笑いや歓声があがった。里親たちは「すっかり打ち解けて”親子”のきずなが深まりました」と喜んでいた。

中国新聞社


1998/12/26 中国新聞

新年 待ち遠しいね 施設の子どもら 里親と対面 福山(広島県)
中国朝刊 東A 写有 (全290字)

 県東部の三つの養護施設、乳児院に入所している子どもたちと、冬休みの一時里親との対面式が二十五日、福山市本町の市社会福祉会館であった。県東部地区里親連合会(友井一三会長)の主催。
 対面式には、一月四日までの一時里親に加え、養子縁組などをして子どもを引き取った里親も参加。二十七家庭の保護者約六十人と、子どもたち二十七人が親ぼくを深めた。子どもたちにはクリスマスケーキやシャンパン、図書券などのプレゼントもあった。
 主婦浜本典子さん(56)=鞆町後地=の家族と一緒に、五回目の正月を迎える栗原中三年の泉由恵さん(15)は「初もうでに行くのが楽しみ」と、新年を心待ちにしていた。

対面式でプレゼントを受け取る子どもと一時里親

中国新聞社


1998/12/26 毎日新聞

「愛の手運動」チャリティーの収益金72万円を寄付−−本社神戸支局/神戸
地方版/兵庫 19頁 写図有 (全288字)

 毎日新聞神戸支局は25日、家庭に恵まれない子供たちの里親探し運動を支援するため開催した第7回「愛の手運動」チャリティーオークションの収益金72万2000円を、社団法人「家庭養護促進協会」に寄付した。
 高岡広次郎・毎日新聞神戸支局長から寄付金を受け取った橋本明・同協会事務局長は「不況にもかかわらず昨年よりも多い寄付をいただき、来場された皆さんに感謝しています。 年末年始に子供たちの世話をしてもらう季節里親や新年の交流会、愛の手運動の費用として有効に使わせていただきます」と話した。 オークションは、県内外の個人、団体、企業から協賛と物品提供があり、バザーとオークションで販売した。

毎日新聞社


1998/12/25 毎日新聞

121万円を家庭養護促進協へ寄託−−大阪本社社会部/奈良
地方版/奈良 17頁 (全150字)

 毎日新聞大阪本社社会部はこのほど、家庭に恵まれない子供たちに里親探しの活動を続けている「社団法人家庭養護促進協会大阪事務所」(大阪市天王寺区)に121万4198円を寄託した。 寄託金は、社内外の協力で今月15日に開催した「愛の手チャリティーオークション」の収益金。
 県内からは、壺阪寺にご協力いただいた。

毎日新聞社


1998/12/23 毎日新聞

家庭養護促進協に121万円寄託 チャリティーオークション収益金−本社社会部/大阪
地方版/大阪 19頁 写図有 (全960字)

 毎日新聞大阪本社社会部は22日、家庭に恵まれない子供たちに里親探しの活動を続けている「社団法人家庭養護促進協会大阪事務所」(天王寺区)に121万4198円を寄託した。 この日、北区の本社を訪れた岩崎美枝子所長に、深井麗雄社会部長が手渡した=写真。
 寄託金は、社内外の協力で今月15日に開催した「愛の手チャリティーオークション」の収益金。 オークションには、特別ゲストとして“通天閣の歌姫”叶麗子さん、99クラリオンガールの搭堂なつさん、アマチュア楽団のメイプルクラブの皆さんも来場した。

◆日本メンズファッション協も30万円
 また、社団法人日本メンズファッション協会の吉田久泰副理事長ら3人が本社を訪れ、家庭養護促進協会に30万円を寄付した。
 オークションにご協力いただいたのは次の皆さん。 (順不同、敬称略) 沖芝信重、叶麗子、陳舜臣、加藤登紀子、野村克也、山路秀則、井原春雄、阪田庄乾、芦谷有香、吉本由紀、大阪府、府マリーナ協会、泉佐野署、大阪市、同市教委、箕面市、豊中市、池田市、摂津市、茨木市、 高槻市、堺市、同市教委、泉大津市、和泉市、高石市、芦屋市、福島県、鳥取県、海遊館、大阪刑務所、阪神高速道路公団、住宅・都市整備公団、国民休暇村協会、大阪弁護士会、関西大学、壺阪寺、八尾ロータリークラブ、 東大阪ラグビーグッズ創生クラブ、メイプルクラブ、関西芸術アカデミー、マレーシア政府観光局、スポーツニッポン、毎日放送、関西テレビ、近鉄百貨店、京阪百貨店、阪神百貨店、阪急百貨店、高島屋、松坂屋、大丸百貨店、 JR西日本、近鉄、阪急電鉄、南海電鉄、日本生命、大阪ガス、宝塚歌劇団、JTB、帝国ホテル大阪、新大阪ホテル、三洋電機、フェリシモ、大関、大林組、プロセス資材、王子製紙、大王製紙、日本製紙、三菱重工業、 富士写真フイルム、ニッペグラフィックス、シマノ、オリオンズ、ニューホンコン造花、モリ工業、杉多製簾、BPC、伴ピーアール、阪神タイガース、義本本家酒造、エーザイ、ワーナー・ミュージック・ジャパン、クラリオン、 サン・クリエイティブ・パブリシティ、キョードー大阪、ひらかたパーク、タイガー魔法瓶、JT、東宝、松下電器、ダイヤ交通、たまいち土居陶器、玉こん、日本航空、全日空、サッポロビール、シーズ、ポポ、ジャック&ベティ、 フェスタ

毎日新聞社


1998/12/23 毎日新聞

「愛の手運動」チャリティー 大盛況、次々に落札 /神戸
地方版/兵庫 19頁 写図有 (全505字)

 家庭に恵まれない子供たちのために里親探しに取り組む社団法人「家庭養護促進協会」を支援する第7回「愛の手運動」支援チャリティーオークション(毎日新聞神戸支局主催、ディスプレイタモン、ライナー企画、サンセンター協力)が22日、神戸市中央区の毎日新聞神戸ビル3階ホールで開かれた。
 午後6時の開場とともに約100人が入場。 県内の個人や企業、団体から寄せられた約700点の婦人服や電化製品、雑貨などを並べたバザーコーナーは、商品があっという間になくなるほどの盛況ぶり。
 フリーアナウンサーの吉原ゆかりさんを司会に迎えたオークションは午後7時にスタート。 5年連続首位打者になったオリックスブルーウェーブのイチロー選手のサインボールや女優の藤原紀香さんのカレンダーとサイン色紙、将棋の谷川浩司さん自筆の扇子、三幸宝飾のアクセサリーなど約30点を競売にかけると、会場の参加者から値段をつける威勢のよい声がかかり、次々と落札された。
 家庭養護促進協会は1960年に神戸市で発足。 約2000人の子供たちと里親の間をつなぐなどの活動を続けている。 毎日新聞神戸支局は1992年以来、毎年末にオークションを開き、収益金を協会に寄付している。

毎日新聞社


1998/12/23 毎日新聞

「愛の手運動」チャリティー 本社社会部も121万円寄託 /神戸
地方版/兵庫 19頁 (全155字)

 一方、毎日新聞大阪本社社会部は22日、家庭に恵まれない子供たちに里親探しの活動を続けている「社団法人家庭養護促進協会大阪事務所」(大阪市)に121万4198円を寄託した。 寄託金は、社内外の協力で今月15日に開催した「愛の手チャリティーオークション」の収益金。 ご協力いただいたのは次の皆さん。 (関係分)フェリシモ

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1998/12/21 毎日新聞

[社告]あすチャリティーオークション開催 /神戸
地方版/兵庫 23頁 写図有 (全431字)

 毎日新聞神戸支局は22日(火)、年末恒例の「チャリティーオークション」を開催します。
 家庭に恵まれない子供たちの里親運動を進めている社団法人「家庭養護促進協会」を支援するため、県内の企業、団体など各方面の皆様から提供していただいた物品をせりにかけ、収益金を寄付します。
 今年も神戸製鋼ラグビー部からラグビー全日本監督の平尾誠二さんらのサイン入りグッズ▽プロサッカー・ヴィッセル神戸の永島昭浩選手のサイン入りグッズ▽将棋のプロ棋士、谷川浩司さんの直筆扇子 ▽5年連続首位打者のオリックス、イチロー選手のサイン入りボールなどをはじめ、「三幸宝飾」(中央区)さん提供の恒例のアクセサリーの数々、お買い得の物品なども多数用意しています。 多くの方のご参加をお待ちしております。 また、今年は、テレビ・ラジオ番組で司会を務めている吉原ゆかりさんにセリの司会を担当していただきます。
◇時間 午後6時開場・開演(8時半ごろまで)。
◇場所 神戸市中央区栄町通4丁目3の5 毎日新聞神戸ビル3階。

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1998/12/18 毎日新聞

[社告]年末恒例のチャリティー・オークション 22日、毎日新聞神戸ビルで /神戸
地方版/兵庫 25頁 写図有 (全432字)

 毎日新聞神戸支局は22日(火)、年末恒例の「チャリティー・オークション」を開催します。
 家庭に恵まれない子供たちの里親運動を進めている社団法人「家庭養護促進協会」を支援するため、県内の企業、団体など各方面の皆様から提供していただいた物品をセリにかけ、収益金を寄付します。
 今年も神戸製鋼ラグビー部からラグビー全日本監督の平尾誠二さんらのサイン入りグッズ▽プロサッカー・ヴィッセル神戸の永島昭浩選手のサイン入りグッズ▽将棋のプロ棋士、谷川浩司さんの直筆扇子 ▽5年連続首位打者のオリックス、イチロー選手のサイン入りボールなどをはじめ、「三幸宝飾」(中央区)さん提供の恒例のアクセサリーの数々、お買い得の物品なども多数用意しています。 多くの方のご参加をお待ちしております。 また、今年は、テレビ・ラジオ番組で司会を務めている吉原ゆかりさんにセリの司会を担当していただきます。
◇時間 午後6時開場・開演(8時半ごろまで)。
◇場所 神戸市中央区栄町通4丁目3の5 毎日新聞神戸ビル3階。

毎日新聞社

1998/12/17 毎日新聞

[社告]年末恒例チャリティーオークション 奮ってご参加を /播磨・姫路
地方版/兵庫 23頁 写図有 (全381字)

 毎日新聞神戸支局は22日(火)、年末恒例の「チャリティー・オークション」を開催します。
 家庭に恵まれない子供たちの里親運動を進めている社団法人「家庭養護促進協会」を支援するため、県内の企業、団体など各方面の皆様から提供していただいた物品をセリにかけ、収益金を寄付します。
 今年も神戸製鋼ラグビー部からラグビー全日本監督の平尾誠二さんらのサイン入りグッズ▽プロサッカー・ヴィッセル神戸の永島昭浩選手のサイン入りグッズなどをはじめ、 「三幸宝飾」(中央区)さん提供の恒例のアクセサリーの数々、お買い得の物品なども多数用意しています。 多くの方のご参加をお待ちしております。
 また、今年は、テレビ・ラジオ番組で司会を務めている吉原ゆかりさんにセリの司会を担当していただきます。
◇時間 午後6時開場・開演(8時半ごろまで)。
◇場所 神戸市中央区栄町通4丁目3の5 毎日新聞神戸ビル3階。

毎日新聞社


1998/12/16 読売新聞 里親の事件

元里親連合会理事を買春容疑で逮捕 あっせんの無職少女も/大阪府警
 大阪朝刊 27頁 (全407字)

 府警少年課と堺北署は十五日までに、女子中学生を相手にわいせつ行為をしたとして、堺市香ヶ丘町二、理髪店経営近藤祐市容疑者(54)を府青少年健全育成条例違反の疑いで、 同容疑者にあっせん料目当てに中学生を紹介した同市内の無職少女(18)を児童福祉法違反の疑いで、それぞれ逮捕した。 近藤容疑者は、家庭的に恵まれない子供を里子として預かるなど児童福祉分野で活動、大阪里親連合会理事を二期務めた経験もあり、関係者らをあきれさせている。
 調べでは、近藤容疑者は六月二十九日昼、無職少女から売春相手として引き合わされた女子生徒を車で堺市内のホテルに連れ込み、二万円を渡してわいせつ行為をした疑い。 無職少女は、紹介料として同容疑者から二万円を受け取った疑い。
 近藤容疑者は、以前から店に髪を切りに来た少女たちに、「エステ」と称し金を与えて体を触ったり、下半身や胸の写真を撮るなどしていたといい、府警では余罪があるとみている。
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1998/12/13 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1714 みきちゃん(3カ月) /大阪
地方版/大阪 27頁 写図有 (全788字)

 「みきちゃん、かわいいねー」ってあやすと、ニッコリ笑って手足をバタバタ。 うつ伏せにされると、頭をしっかり持ち上げてキョロキョロ。 そして、おなかがすいて泣くと、頭の上の方にはい上がろうとズリズリ。 本当に元気だね。 保母さんは「あんまりズリズリして、ベッドのさくに頭をぶつけそうになるんですよ」って言いながら、とってもうれしそう。 足も首もしっかり成長している証拠だもんね。
 ミルクは1日200CCを5回。 生まれた時に3096グラムだった体重はもう5840グラムだってね。 チャームポイントはちょっぴり太めのまゆ毛かな。 ごきげんな時は「うー、うー」ってかわいい声をあげるけど、夜泣きはしない。 人の話し声がする方や自分の手を開いたり閉じたりして不思議そうにじっと見つめているね。 その、やさしそうなひとみにたくさんの幸せがあふれればいいな。
 身長61・2センチ。 養子縁組をして下さる方を求めています。
  ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天 王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 18日(金)まで10〜17時。

【寄贈】5000円=柴田浅文▽10万円=(株)点天▽2万円=匿名(敬称略)
   ◇   ◇
 今年6月掲載のあいりちゃんは、滋賀県のSさん宅に引き取られました。

◆きずな
 引き取られる時には、見ているこちらがつらくなるほど大泣きだった3歳のA君。 もともと施設の外に出るのを嫌がる子どもでしたが、引き取られた当日は「おうち違う」と言い、夜になると自分の荷物を持って施設に帰ろうとしました。 施設のことを時々話していますが、里親さんの家にも慣れ、自分の物に囲まれています。 A君の不安が里親さんにしっかり受けとめられたようです。  【家庭養護促進協会・N】

毎日新聞社


1998/12/11 毎日新聞

[社告]「チャリティー・オークション」 22日、毎日新聞神戸ビルで開催/神戸
地方版/兵庫 23頁 写図有 (全381字)

 毎日新聞神戸支局は22日(火)、年末恒例の「チャリティー・オークション」を開催します。
 家庭に恵まれない子供たちの里親運動を進めている社団法人「家庭養護促進協会」を支援するため、県内の企業、団体など各方面の皆様から提供していただいた物品をセリにかけ、収益金を寄付します。
 今年も神戸製鋼ラグビー部からラグビー全日本監督の平尾誠二さんらのサイン入りグッズ▽プロサッカー・ヴィッセル神戸の永島昭浩選手のサイン入りグッズなどをはじめ、 「三幸宝飾」(中央区)さん提供の恒例のアクセサリーの数々、お買い得の物品なども多数用意しています。 多くの方のご参加をお待ちしております。
 また、今年は、テレビ・ラジオ番組で司会を務めている吉原ゆかりさんにセリの司会を担当していただきます。
◇時間 午後6時開場・開演(8時半ごろまで)。
◇場所 神戸市中央区栄町通4丁目3の5 毎日新聞神戸ビル3階。

毎日新聞社


1998/12/08 産経新聞

乳幼児を突然死から守る 京都市昼間里親連絡会が講習会企画
 東京朝刊 15頁 生活 写有 (全1211字)

 うつぶせ寝は危険、などとする乳幼児突然死症候群(SIDS)への対策が厚生省から発表されたことなどを機に、乳幼児の親や保育関係者の間に、いざというときの対処法を知りたいという声が高まっている。このほど、京都市内で開かれた「乳児心肺蘇生法講習会」にも約百人が参加、真剣に講習に取り組んだ。
 企画したのは、京都市昼間里親連絡会。「昼間里親」とは、一般の家庭が行政の認定を受け、乳幼児を預かる京都市独自の制度。現在、市内の三十五軒で三歳児まで約四百人の保育にあたっており、里親間の危機管理意識と、乳幼児の親の思いが一致して、講習会につながった。
 当日の講師は、秋田市立秋田総合病院手術室長の円山(えんざん)啓司さん。インターネットを通して「乳幼児突然死撲滅キャンペーン」を展開している。円山さんが、まず紹介したのは、秋田市消防局に保育園からかかってきた救急出動を求める電話の生録音。
 「二歳児が、クギを飲み込んだ」という臨場感あふれるテープに、会場に緊張がはしる。
 救急車が現場到着までにかかった時間は通報から十二分。現場で救急隊員が見たのは、「クリをのどに詰めて、窒息状態になった十カ月の乳児」だった。
 「事故の起こった場所と電話のある部屋が離れていたため、この間違いがおきた。パニックの中で、伝言ゲームのように誤った情報が伝わることは往々にしてある。保育園などではイザというときのために子機でいいから、部屋ごとに電話がほしい」と円山さん。
 また、あわてて117番や110番に電話をかける人も多い。自分の場所の説明に手間取るケースも多く、電話のそばに「119番」と「自分の住所・番地・世帯主・目標物」などを書いたメモを張り出しておくのもいいという。
 反対に、家庭でも保育所でも、絶対に「してはいけない行動」として円山さんがあげたのは、子どもを抱いて玄関の前で救急車を待つこと。呼吸停止の場合、助かるかどうかは、発生から四、五分以内に心肺蘇生法がなされるか否かに負うところが大きい。救急車のサイレンの音が聞こえても、救急隊に処置をひきつぐまで、絶対に手当てはやめないでほしいという。
 実習では京都市消防局の指導で、参加者全員が乳児のダミー(人形)を使って心肺蘇生法に挑戦した。
 また、鼻呼吸を中心とする乳児には、マウス・ツウ・マウス法より口鼻人工呼吸法が適していること、中指と薬指の二本で行う乳児(一歳未満)への心臓マッサージ法なども学んだ。
 「SIDSの八割までが、生後六カ月未満でおき、また乳幼児ではのどに異物をつめたり、おふろでおぼれたりといったことも、命を落とす原因になる。今回、講習会を企画して、参加希望者の多さに驚きました。今後は行政の取り組みとして、定期的に会を開いてもらえたら」と、京都昼間里親連絡会の谷舗由紀子会長は話している。
【写真説明】 人形を使って乳児の心臓マッサージの実習=京都市南区の市民防災センター

産業経済新聞社


1998/12/06 読売新聞 季節里親

[今日のノート]里親ボランティア
大阪朝刊 12頁 (全768字)

 神戸の児童養護施設で暮らす中学二年の裕一君、小学校六年の純君の兄弟はお正月や夏休み、兵庫県伊丹市の寺地邦子さん(49)方へやって来る。 二人が寺地さんとご主人を「お母さん」「お父さん」と呼び始めて、もう五年になる。

 両親のことは聞かないようにしている。 だが、何かの拍子に幼い日の記憶が甦(よみがえ)るのか、「僕のホンマのお父さん、工事してたと思うわ。 あのおっちゃんと同じダボダボのズボンはいてたもん」「お母さん、このカラコロいうツッカケ、はいたことある」などと問わず語りに話してくれることもある。
 夏と冬だけの付き合いでも、神戸にある二人の学校の運動会や卒業式には出かけていく。 娘の結婚式では、二人が「お姉ちゃん、おめでとう」と祝ってくれた。

 「寄宿舎生活の子供が休みに帰省する感じ。 家族の中に二人が入ってきて、もう一度、子育てを楽しみ、いっぱい楽しい時間をもらっている」と寺地さん。 最近、憎まれ口が上手になったのもうれしい。 そんな話を聞いていると、ほんのりと心が和んでくる。

 寺地さんは社団法人「家庭養護促進協会」(神戸市)が募ったボランティア里親の一人。 施設で集団生活する子供は全国で約三万人。 家庭の味を体験してもらうのが目的だ。
夏、冬の休みの季節里親のほか、週末の里親もある。

 事務局長の橋本明さんは「子供は里親夫婦の何気ないやり取り、食事や団欒(だんらん)から、家族は自分のために何かをしてくれ、自分も家族の役に立てることを学ぶ。 そして施設の保母さん以外に自分だけをかわいがってくれる人がいるという安心感が子供の心を豊かにする」と話す。

 今年もまもなく冬休み。 新たに季節里親を募っている。 問い合わせは同協会(電078・341・5046)へ。

                               谷 高志
読売新聞社


1998/12/05 毎日新聞

季節・週末里親を募集−−家庭養護促進協会/神戸
地方版/兵庫 27頁 (全325字)

 さまざまな事情で親と一緒に生活できず、乳児院や児童養護施設で暮らす子供の里親探しに取り組む家庭養護促進協会(神戸市中央区)は、年末年始や週末に子供たちを受け入れる季節里親・週末里親を募集している。 季節里親は正月や夏休みの1週間前後、週末里親は月1、2回の土、日曜に子供を受け入れるボランティア。 県内の養護施設などで暮らす子供は約1400人おり、その中で親元へ帰る機会のない子供に家庭生活を経験する場を提供し家族のつながりを学んでもらう。
 年末年始の季節里親を必要とする子供は約60人おり、同協会が受け入れを申し出てくれた里親の希望や家族構成を聞くなどの調査を行った後、紹介する子供を決める。 問い合わせは同協会(078・341・5046)へ。 【藤田宰司】

毎日新聞社


1998/12/02 読売新聞 海外援助

[ひまわり]98年12月2日 トットちゃん
西部夕刊 6頁 写有 (全659字)

 女優の黒柳徹子さんがユニセフ親善大使として戦禍、飢餓、貧困……の中で懸命に生きる子供の救済を訴えて十四年。 世界を回る活動の詳細は著書「トットちゃんとトットちゃんたち」(講談社刊)に譲るが、日本の中学生や高校生の「ユニセフ大使」としての活動はあまり知られていない。

 六年前、日本ユニセフ協会のなかでも会員千二百人と有数の組織を誇る北九州支部が初めて派遣した若者は、東南アジアの開発途上国をたずね、子供たちを励ましてきた。

 昨年は、バンコクから程近いカンチャナブリ子供の村学園を訪れた。 麻薬、貧困、家庭崩壊の犠牲になった百人を超す小学生が学ぶ寄宿学校。 一週間にも満たない滞在だったが、子供たちと同じ部屋で寝泊まりして、遊び、学んだ。 川が風呂(ふろ)だった。 参加した中高生には想像も及ばない環境の子供たちだが、その笑顔に触れ、全員が思いやりの大切さを心に刻んだ。

 「わずかですが小遣いを」と、帰国した彼らからは、里親制度への参加の申し出が相次いだ。 このスタディーツアーを企画した協会の常任理事藤井新二さんは話す。 「次代の活動を担う若者は確実に育っている」

 そのツアーが今年は中止になった。 「派遣にかかる費用を、ハリケーン被害や不況に苦しむ開発途上国の子供たちのために役立てたい」。 藤井さんたちのそんな思いは全員の心にも伝わった。

 アメリカの俳優・故ダニー・ケイさんに始まったユニセフ親善大使の報酬は年間一ドル。 しかし、大きな一ドルだ。

                         編成部 勢良 英幸
読売新聞社


1998/12/02 毎日新聞

八尾市の刀匠、沖芝信重さん今年も刀を寄贈 愛の手チャリティーオークション/大阪
地方版/大阪 20頁 写図有 (全327字)

 毎日新聞大阪本社社会部が歳末に社内で行う「愛の手チャリティーオークション」のためにと、八尾市太田新町の刀匠、沖芝信重さん(75)がこのほど、短刀(26・8センチ)と火ばしを寄贈。
 毎日新聞は、家庭に恵まれない子供たちに里親を探す運動を続けている社団法人・家庭養護促進協会(天王寺区)と連携し、1700回以上にわたりキャンペーン記事「あなたの愛の手を」を掲載している。 オークションは今年で30回目で、収益金は同協会に活動資金として寄託している。
 沖芝さんは、文化庁から刀剣の製作承認を受けている全国でも数少ない刀匠の一人。 オークションの趣旨に賛同し、毎年、刀を寄贈している。 沖芝さんは「子供たちのため、体力が続く限り協力していきたい」と話している。  【高橋哲治】

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1998/11/29 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1712 かおるちゃん(2歳6カ月) /大阪
地方版/大阪 25頁 写図有 (全840字)

 「かおるちゃん、かおるちゃん」って言いながら、お友だちがすぐに寄ってくるね。 いじめたりしない、優しい子だから、みんなに好かれているんだね。
 うふふ、そうなのかな。 もちろん友だちの名前はみんな覚えているよ。 帰ってきたら「○○ちゃん、おかえり」って声をかけてあげる。 ごはんの時は、お茶わんやはしを並べたり、保母さんのお手伝いもよくするよ。 きなこごはんやお漬物は好きだけど、野菜はちょっと苦手。 それでも、みんなが「頑張れー」って励ましてくれるから、大きく口をあけてパクッと食べちゃう。 おはしだってすぐに上手に使えるようになったんだから。
 好きな遊びはね、手提げ袋に紙やブロックをいっぱい入れて歩く「お出かけごっこ」。 アンパンマンの歌を歌って踊ったり、ミッキーマウスの三輪車に乗るのも好き。 でも、やっぱり一番は、くまのプーさん。 かわいいもん。 私の写真もかわいく撮れているかな。
 身長93・5センチ、体重14キロ。 養子縁組をして下さる方を求めています。
   ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 12月4日(金)まで10時〜17時。

【寄贈】5000円=石堂芳信、匿名▽1000円=杉野初美、竹島永福、武本明夫▽8000円=(有)村田新商店▽2000円=菅野信二▽2万円=雀部真理▽1万円=匿名▽20万円=匿名(敬称略)

◆きずな
 23日にトリイ・ヘイデン来日記念講演会に行ってきました。 ヘイデンさんはベストセラーである「シーラという子」という本を書かれた心理学者です。
 情緒障害児教室に通う子どもたちが、彼女とのかかわりの中で虐待という事実を乗り越えていく過程がノンフィクションで描かれています。 彼女の実践に基づいた「虐待」の理論にただただ納得し、彼女の人となりに触れた一日でした。  【家庭養護促進協会・T】

毎日新聞社


1998/11/28 読売新聞 里親

劇団「花組芝居」が「怪誕身毒丸」を7年ぶり再演 衣装や音楽を一新/大阪
大阪夕刊 11頁 写有 (全754字)

 ◆12月1日から近鉄小劇場で

 「ネオ歌舞伎」を提唱する劇団「花組芝居」が、劇団のアンケートで常に再演希望の高い作品「怪誕身毒丸(かいたんしんとくまる)」を、12月1日から4日まで大阪・上本町の近鉄小劇場で上演する。

 7年ぶりの上演。 インドの天上界に住む神々の最高位、シヴァ神の突然の死によって、夫人だったカーリー(黒色の女神)の実子、インドラ(帝釈天)が後継者に選ばれる。 しかし、病のために面相が崩れ、失明寸前のインドラは、実母カーリーの異様なほどの求愛に、嫁・ヤマ(閻魔(えんま)天)と天上界を脱出する。 2人を追うカーリー、それを追うシヴァの第一子で半神半人のシッタルダ(釈迦(しゃか))。 4人はカーリーの里親、ブラフマー(梵天(ぼんてん))とサラスバティー(弁才天)の住まいで鉢合わせする。

 劇団主宰の加納幸和が、義太夫節の太ざおの音色をふんだんに使った芝居を作りたいと、書き下ろした。 インドの仏教説話をもとにした謡曲「弱法師(よろぼし)」や説教節「しんとく丸」の集大成ともいえる義太夫節「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」がベースになっている。 初演は1986年。 タイトルは「JOHRURIしゅんとく丸」だったが、88年に改題、再演を重ねてきた。

 今回は、衣装を新調し、音楽も太ざおの魅力をさらに引き出すために、エジプトの古典の曲やトルコ、韓国などシルクロードでつながる国々の民族音楽を取り入れる。

 演出もする加納は「善悪ひっくるめた愛情の表裏一体の怖さに共感してもらえるのだと思う。 音楽を変えたことで土俗的な舞台になりそうだ」と話している。

 劇団員を2班に分けて、日替わりで上演する。 1日と3日は加納、ほかは八代進一が主演する。

写真=「怪誕身毒丸」でカーリーを演じる加納幸和

読売新聞社


1998/11/22 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1711 さつきちゃん(6カ月) /大阪
地方版/大阪 25頁 写図有 (全814字)

 真っ白なお肌にクリクリおめめ。 記者さんたちに「まるで白雪姫みたい」なんてほめられちゃって、うれしいような恥ずかしいような……。 初めて会った人は、この瞳(ひとみ)でじっと見つめちゃう。 人見知りはまだなのよ。
 おもちゃを両手に握ったり、口に持っていったりして遊ぶことが多いけど、人がいなくなっちゃうと甘えて泣いちゃう。 でも、とても元気よ。 寝返りは自由にできるし、手をついてお座りだってできるの。 足をピンと伸ばして床をどんどんしたりもね。 写真を撮っている間は、ずっとお座りしていたからちょっぴり疲れちゃったけど。
 そうそう、2週間ほど前に離乳食を始めたばかりなの。 上手に食べるってみんなほめてくれるのよ。 早く大きくなって白雪姫みたいになりたいな。
 身長66・6センチ、体重6930グラム。 養子縁組をして下さる方を求めています。
   ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 27日(金)まで10時〜17時。

【寄贈】20万円=T・I▽1万5000円=K・M▽2万2400円=匿名▽2万円=匿名▽5000円=浜田、矢花敏明▽5万円=匿名▽1万円=伊東憲秀、大念仏乳児院、岡品光、逸見 ▽4000円=陶山実登志▽3000円=岸本重子、中西麗子▽500円=藤原秀明 (敬称略)

◆きずな
 3歳7カ月のA君を引き取って3週間の里親さん。 A君の猛烈な抱っこ攻撃にヘトヘト状態です。 A君は、生まれてすぐに施設に入りました。 心ゆくまで思い切り抱っこされた経験が無かったのでしょう。 今、それを取り戻すかのように甘えているのです。 約15キロの体重をすっかり預けて「赤ちゃん」のやり直し。 A君の気が済むまで里親さんの悲鳴は、しばらく続きそうです。 頑張れ! 【家庭養護促進協会・S】

毎日新聞社


1998/11/15 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1710 ふうちゃん(3歳4カ月)/大阪
地方版/大阪 27頁 写図有 (全841字)

 いつも明るく、元気いっぱい。 笑顔もかわいいでしょ。 保母さんに「天真らんまんな子」って紹介されて、なんだか照れちゃった。 恥ずかしいと顔を隠して寝たふりしちゃう癖がつい出ちゃう。
 でも、お姉さんらしいしっかりしたところもあるのよ。 ちっちゃな子の面倒も見てあげるし、おむつ替えの時は横に座ってお手伝いもするの。 いつも大好きなセサミストリートのアーニー人形でおむつを当てて遊んでいるからだいじょうぶ。 アーニーには、「めんめ」「ねんね」って言い聞かせたりもしているんだから。
 はしもうまく使えるよ。 好きな食べ物はサラダとブドウ。 あ、ミカンも好き。 ミカン狩りに行った時は8個も食べて、みんなをびっくりさせちゃった。 食事の後は、ボールをけったり投げたりして遊ぶの。 このヘルシーさが笑顔のもとかな。
 身長93・4センチ、体重13・2キロ。 養子縁組を前提に大切に育てて下さる方を求めています。
   ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 20日(金)まで10〜17時。

【寄贈】1500円=荒川晃治、鈴木康三▽1000円=北川信子、陶山実登志▽2000円=小糸逸弘、宮尾俊孝、伊勢本誠、町井輝美、田中修、宮部千佳子、渡辺俊行▽7000円=浜田高子、中嶋真佐子▽4万8500円=北村俊則▽1万円=岡田博男▽3500円=渡部むめ乃(敬称略)

◆きずな
 小春日和の8日、協会は「おやこDE運動会」を開催しました。 里親子、養親子、実親子などさまざまな形の親子が200人近く集まり、秋晴れの空の下、心地よい汗を流しました。 長年、子どもに恵まれず、「わが子」の運動会に行きたくてもかなわなかった養親さんにとっては格別だったようで、元気に駆け回る「わが子」の姿を本当にうれしそうに見つめる様子が印象的でした。 【家庭養護促進協会・Y】

毎日新聞社


1998/11/19 読売新聞 棄児

都筑区の捨て子事件 母親を起訴 生活援助の相手とは別の男性が父親=神奈川
東京朝刊 32頁 (全1009字)

 ◆この子の幸せどこに… 母親「今は引き取りたい」

 産婦人科医院の前に、赤ちゃんを置き去りにして、保護責任者遺棄の疑いで先月、逮捕された横浜市旭区内の露天商の女性(31)が十八日、起訴された。 「生活費の援助を受けている男性とは別な男性との間にできた子供。 困って捨てた」と供述していた母親は、現在、「子供を引き取りたい」と話しているという。 しかし、児童相談所では「母親の生活力などを判断するため、裁判が終わるのを待ちたい」として、赤ちゃんの引き渡しについては結論を出していない。 一方で、赤ちゃんの里親になりたいという申し出も全国から寄せられている。 (今井正俊)

 この赤ちゃんは、戸籍法の規定で、発見場所である都筑区の池田武文区長(54)が名前を付けた。 池田区長は「感性豊かで明るい子に育ってほしいと願いを込め、名前を考えた」と話す。

 現在は、市内の乳児院で育てられている。 三か月前まで二千五百グラムに満たなかった体重は四千二百五十グラムまで増えた。 乳児院の施設長(60)は「抱くと笑うようになった。 ミルクもたくさん飲んでいる」と話している。

 赤ちゃんが見つかったのは八月十六日夜。 都筑区の産婦人科医院の当直の看護婦が、玄関先に置かれたダンボールの中に、産着とタオルケットに包まれた赤ちゃんを見つけた。

 母親の供述では、前日の夕方、自宅アパートのふろ場で出産、へその緒ははさみで切ってカットバンで血を止めたという。 アパートの家賃などを援助してくれている男性とは別の男性の子供を身ごもってしまったが、生活を守るために、出産を明らかにするわけにはいかない。 それが赤ちゃんを捨てた動機だった。 しかし、母親は今、「子供を引き取って何とか自分の力で育てていきたい」と話し始めているという。

 ◆児童相談所「育てる力なければ」

 これに対し、市内の捨て子の保護業務を扱う市北部児童相談所の岡田建三所長(56)は「母親の意思は尊重したい。 しかし育てる力がなければ、引き渡すことはできない」と話す。

 今回のケースでも、母親が裁判後に釈放されても、子供を育てる力がないと判断されると、赤ちゃんは二歳まで乳児院に預けられ、その後は、児童養護施設に移される。 岡田所長は「今後、母親から事情を聞くが、施設の方が子供にとって幸せなケースもある。 母親が一日も早く生活のことを考え、子供の幸せを考えてくれることを願っている」と話している。

読売新聞社


1998/11/11 毎日新聞

兵教組文化賞 家庭養護促進協会など2団体、3人が受賞/神戸
地方版/兵庫 23頁 (全414字)

 兵教組は教育、文化、芸術の創造・発展に寄与した人をたたえる今年度の兵教組文化賞を次の2団体、3人に贈ることを決めた。 13日の県教育研究集会全体会で表彰す る。

【社会文化賞】家庭養護促進協会(今井鎮雄理事長、神戸市)36年にわたり、家庭に恵まれない子供と里親をつなぐ活動を続けてきた、民間としては唯一の団体。

【社会文化賞奨励賞】宝塚文芸の会(宮岡憲次郎代表、宝塚市) 教職員と地域住民が協力し地域の創作民話集の発行や朗読活動などを行い、地域文化の発展に寄与。

【教育文化賞】橋尾信子さん(加西市) 民話や仏教説話などを基にした創作童話や、阪神大震災を題材にした作品「紙しばい」を発表。

【同】大久保庄造さん(市島町) 兵教組副執行委員長などを務め、教育課程を中心とした研究に携わり、教育改革運動の発展にも貢献。

【芸術文化賞】藤原向意さん(加古川市) 版画、オブジェなどで高い評価。 県立ろう学校、盲学校で美術を通じた人間教育にも尽力。 【辻加奈子】

毎日新聞社


1998/11/10 毎日新聞

秋空に里親や子らの歓声響く 平野区で「おやこ運動会」 /大阪
地方版/大阪 22頁 写図有 (全345字)

 家庭に恵まれない子どもたちのために里親探しの運動を続けている家庭養護促進協会大阪事務所(岩崎美枝子所長)主催の「おやこDE運動会」が8日、平野区の市立平野北中学校で開かれ、 養護施設から巣立った子どもたちとその里親ら約200人が元気にグラウンドを駆け回った。
 23回続いた里親主催のおやこ運動会が里親の減少と高齢化のため一昨年で中断。 しかし、全国の里親、養子から運動会の再開を希望する声が根強く、同協会が主催者を引き継ぎ、今年復活した。 養子縁組で府内の養護施設から全国に巣立った子どもたちは“里帰り”の良い機会で、四国、九州、信州から泊まりがけで駆けつけた親子もあった。
 好天に恵まれた秋空の下、玉入れ=写真=、むかで競走、綱引きなどの競技に、里親、子どもたちの歓声が終日響き渡った。  【田畑悦郎】

毎日新聞社


1998/11/08 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1709 けんた君(1歳3カ月)/大阪
地方版/大阪 27頁 写図有 (全867字)

 窓越しに記者さんの顔が見えた途端、「ワーン」と泣いちゃった。 「人見知りがすごいから」って、みんなが心配していた通りになっちゃって……。 でも、後は頑張ったでしょ。 少し慣れたらへっちゃらなんだから。
 遊びはね、ブロック遊びよりもアンパンマンのベビーカーを押して歩くのが大好き。 これで、部屋中をあっちこっち行くんだ。 まだ一人で遊ぶことが多いけど、時々、横で寝ている子の頭をなでたりもするよ。 食べ物はなーんでもだいじょうぶ。 おなかがすいたら「まんま、まんま」って言っちゃう。 コップも自分で持てるけど、まだまだ、こぼしちゃうことも多いんだ。 だから、ただいま練習中。 とにかく「よく動き、よく食べる」がボクのモットーなんだ。
 身長72・4センチ、体重8925グラム。 養子縁組して下さる方を求めています。
   ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 13日(金)まで10〜17時。

【寄贈】3500円=西原二美代、田中加津彦・勝美▽2000円=菅野信二、佐伯雄彦、榎寿雄、渡辺一憲、宮本真弓、安田貴順、松井政雄▽1000円=武本明夫、板原吉男▽3000円=岡部晴子、田中三千子 ▽1万円=匿名、森本寿子、塩見剛也▽2万円=匿名、滝野恵以子▽5000円=米沢修二▽6000円=中野孝子(敬称略)
   ◇   ◇
 今年6月掲載のらいと君は、大阪府のKさん宅に引き取られました。

◆きずな
 施設では無口だったA君。 里親さんに引き取られて半年余りになります。 初めのころは、しかられる度に「施設に帰る」と言い、里父母を不安がらせました。 「あれは試し行動だったのですね」。 今は里母も笑って報告してくれます。 A君もすっかりなじみ、よくしゃべってくれます。
 お互い試し、試されて少しずつ親子のきずなを深めています。 ゆっくりあせらず……。 親子ってそんなものですね。 (大阪府岸和田子ども家庭センター・O)

毎日新聞社


1998/11/04 毎日新聞

扇町公園に音の出る遊具 大阪曽根崎ライオンズクラブが贈る/大阪
地方版/大阪 21頁 (全252字)

 大阪曽根崎ライオンズクラブ(池田好孝会長)は3日、北区の扇町公園に、踏むと音が出る遊具「メロディージャンプ」を贈り、子供たちが初遊びを楽しんだ。
 シートにドレミの8音階の円が描かれ、踏んで音楽を楽しみながら体力をつける仕組み。 音色はピアノやクラリネットなど8種類で、ソーラー電池で動く。
 この日は、神戸の外国人ボランティア団体「ヘブンリーシンガーズ」、家庭に恵まれない子の里親を探す「愛の手運動」を進める家庭養護促進協会の岩崎美枝子・大阪事務所長も招かれ、愛の手運動の趣意書を添えた風車を配った。 【村瀬達男】

毎日新聞社


1998/11/01 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1708 たえこちゃん(3歳1カ月) /大阪
地方版/大阪 25頁 写図有 (全775字)

 アンパンマンのピンクのお洋服がとってもお似合いだね。 お部屋の中ではおとなしかったのに、大好きな自転車に乗せてもらったら、すぐニッコリ。 まだ、三輪車はうまくこげないけど、足で地面をキックしながら乗っちゃうんだ。
 最近は1人でいろいろできるようになってきたのよ。 おトイレだって行けるし、おねしょもしないよ。 おもちゃの片付けもテキパキ、靴も決まった場所に置くんだから。 でも、しかられた時は、かわいく「ごめんちゃい」って謝っちゃう。
 食べ物の好き嫌いはないけど、うどんとトマトジュースとこうやどうふが大好き。 ちょっとシブいでしょ。
 身長約90センチ、体重11・6キロ。 養子縁組してくださる方を求めています。
   ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 6日(金)まで10〜17時。

【寄贈】2万円=匿名2件▽1万円=椋野美智子、斎藤愛子、井上純、赤埼正佳、山本伸治▽3000円=中西麗子、牧衣津子▽5万円=順▽3500円=堂浦公美、皆川恭廣▽7000円=森谷功▽1万3500円=山城哲也▽1万7000円=山口省三(敬称略)
   ◇   ◇
 今年4月掲載のひろ君は、京都府のTさん宅に引き取られました。

◆きずな
 20年以上続けてきた大阪府・市里親会主催の「里親子大運動会」が昨年度から中止になってしまいましたが、運動会を楽しみにしてきた里親や養親から再開を希望する声もあって、 協会主催の「親子DE運動会」を今年から開催することにしました。  8日午前8時30分から夕方の6時ごろまで、運動会を手伝ってくれる若いボランティアを切望しています。 心ある方は、協会までお電話を。 (家庭養護促進協会・I)

毎日新聞社


1998/10/30 読売新聞 養育家庭制度

都の養育家庭制度25年 きょう体験発表と講演/東京・渋谷
東京朝刊 33頁 (全509字)

 児童養護施設などにいる子供を家庭で預かり、家族の一員として育てていく都の養育家庭制度が、今年で二十五周年を迎えた。 これまでに養育家庭のもとを巣立っていった子供の数は八百人を超える。 きょう三十日午後一時半から、渋谷区神宮前五の東京ウィメンズプラザで、「体験発表と子育て講演会」が開かれる。

 同制度は、養子縁組を目的としないで子供を預かる都の里親制度。 〈1〉一か月―二年間、子供を預かる養育家庭〈2〉住居の広さなど必要な条件を備えている家庭を都が指定して四―六人の子供を育てるファミリーホーム〈3〉夏休みや冬休みに数日間だけ子供を受け入れるフレンドホーム――がある。

 都児童相談センターによると、昨年度は四十六組が養育家庭に新規登録して子供を預かった。 ここ十年間を見ると、養育家庭の新規登録は一九八九年のように十七組だけという年もあったが、最近の申し込みは少しずつ増えている。

 体験発表は、二人の子供を預かっている養育家庭やファミリーホームになっている家庭の里親が講師として登場。 日々の生活で作られていく親子の連帯感や新しい家族の形態を語っていく。 入場無料。 問い合わせは同センター((電)3205・7157)へ。

読売新聞社


1998/10/26 朝日新聞

子供への虐待相談が急増 昨年度5352件、7年で5倍 厚生省調査
朝刊 1頁 1総 写図無 (全1381字)

 親が子どもに暴力をふるったり、養育を放棄したりする子ども虐待について、一九 九七年度に全国の児童相談所に寄せられた相談が、調査を始めた九〇年度に比べ約五 倍に増えたことが、厚生省の調査で明らかになった。しかも、その二割は親と隔離し なくてはならないほど深刻な虐待だった。都市化や核家族化の進行で、身近なところ に支援のない母親がイライラなどから手をあげることが多いとみられる。厚生省は 「子ども虐待への認識が広まってきたことの表れ」ともしているが、虐待される子ど もたちの権利をどう守っていくかが今後問われることになりそうだ。

 厚生省の調査によると、九七年度に全国百七十四カ所の児童相談所に寄せられた子 ども虐待についての相談件数は五千三百五十二件。九五年度から前年度比三―五割の 割合で増え続けている。
 この急激な増加について、厚生省は、(1)子ども虐待に対する理解が社会的に深 まり、家族や周囲からも通報が増えるなど、従来なら家庭内で埋もれがちな虐待が顕 在化してきた(2)都市化や核家族化が進み、育児への支援がなく、孤立した母親に ストレスがたまっている、などが要因とみている。
 相談に対してどう対処したかをみると、在宅のまま親に対して面接指導したのが三 千六百二十二件で最も多い。子どもを児童養護施設などに入所させたケースが千百六 十六件あった。里親への委託と合わせると、五人に一人は親と分離せざるを得ないほ ど虐待がひどい状態だったという。
 虐待の種類は、身体的暴力が五二%を占め、食べ物を与えない、医者にみせないな どの放置や怠慢が三二%、心理的虐待九%、性的暴行六%と続いた。
 児童福祉法では、施設への入所は親の同意があることを原則としている。だが、虐 待がひどく、親子一緒に生活させることはできないにもかかわらず、親が同意しない 場合は、児童相談所長が家裁に申し立てし、認められれば施設に入所させることがで きる。
 九七年度はこの措置によって施設に入所したケースが前年度の二倍の三十六件あっ た。以前は「親が強引に引き取りに来ると、拒めない」という意識が現場に根強かっ た。だが、厚生省が昨年、全国の都道府県に対して「親の強引な引き取りに対しては、 き然とした態度をとること」などとする通知を出し、親権より子どもの保護が優先さ れるとの考えを明確にしたことが影響した、とみられる。

 ○まだまだ氷山の一角 駒沢大の高橋重宏教授(子ども家庭福祉論)
 相談件数の増加は、虐待が増えているのではなく、周囲の意識が高くなったことを 示している。今まで見逃されてきたのが表に出てきたということ。例えば、大阪府は 全体の一割以上を占める六百六十七件で飛び抜けている。児童福祉司はすべて専門職 が務めており、弁護士も熱心に活動している成果と考えられる。しかし、全体的には 年間五万件起こっているという推計もあり、まだまだ氷山の一角だ。

 ○児童相談所の充実を 駿河台大の吉田恒雄教授(家族法)
 相談件数が増えるということは、発見されて救出される子どもが増えているという ことで、いいことだ。しかし、逆に今度は、児童相談所の責任が問われてくる。子ど もたちを保護し、きちんとした対応ができるかどうかだ。外国では、相談が増えすぎ て対応しきれないということも起きている。人の配置や力量など、児童相談所の充実 を図る必要がある。

朝日新聞社


1998/10/24 琉球新報

里親を特別功労で表彰/県社会福祉大会を開催
琉球新報朝刊 28頁 社会 (全459字)

里親を特別功労で表彰/県社会福祉大会を開催
 「新たな時代を拓(ひら)く福祉理念の再構築と実践をめざして」をテーマにした第四十一回県社会福祉大会(主催・県、県社会福祉協議会など)が二十三日、那覇市民会館 で福祉関係者ら千五百人を集めて開かれた。
 長年、里親として子供たちの養育に力を尽くした大城文男さん(五七)・恵子さん(五一)夫妻=今帰仁村=が特別功労で表彰されたほか、三百五十八人、四十四団体に県 知事表彰や大会長感謝状が贈られた。
 式典に引き続き行われた記念講演で、読売新聞社論説委員(医療・福祉)の岸洋人さんが「少子・高齢化社会と福祉制度」と題して講演した。
 岸さんは、国民所得の伸びが低迷した場合、それに占める社会保障費の負担率が二〇二五年度には三五・五%に上るという試算などを紹介。「この数字は将来、どの程度 まで負担できるか、というもの。逆を言えば、どの程度の福祉を(国民が)要求するのかが一番、問われるのだが、それがない。社会保障がこれだけ必要だから負担もどこまで 必要だと求める政治家もいない」などと指摘した。

琉球新報社


1998/10/21 毎日新聞

[コンサート]TAMAKIチャリティーコンサート /神戸
地方版/兵庫 23頁 (全146字)

◆TAMAKIチャリティーコンサート
 25日14時、明石市二見町東二見の玉木整形外科内の玉木サロン「アサヒ」。 里親運動に取り組む「家庭養護促進協会」を支援する催し。 神戸プリランテオペラ協会の中嶋常乃さんらが出演。 ジャズギターやホルンの演奏。 入場無料だが、電話予約(078・943・5555)を。

毎日新聞社


1998/10/20 中国新聞

第43回 中国社会事業功労賞 受賞者の業績と横顔 恵まれぬ子に深い愛情 前鳥取県里親会会長 小 川祝子さん(69) 米子市蚊屋
中国朝刊 特集 特集 写有 (全753字)

 戦前、祖父母は親をなくした地域の子供を引き取って育てた。「わが家の伝統が自然に引き継がれたのでしょう。祖父母から三代にわたる受賞と思います」
 里親のきっかけも親元から。里帰りの折、里子の男児に気に入られ、自宅に連れて帰った。中学生の長女の参観日、教室に同伴したら「お姉ちゃん、しっかり勉強せいよ」と 大きな声。「いたずらっ子だったが、すっかり自分も子供好きになって」。間もなく里親登録し三十数年間、恵まれない子供たちの養育に尽くしてきた。
 合わせて五人の里子を引き取ったほか、「一時里親」として年末年始に児童養護施設の多くの子供を家庭に預かった。「どういう状況の子供でも、母親の良い思い出を私に話 してくれる。子供ってありがたいとつくづく思います」
 たくさんの里子たちも出席した母親の葬式。その時、小川さんを初めて実子と気づいた近所の人も多かった。「子供を差別せず、みんな同じように愛した母の偉大さが分かりま した」
 最近、不登校の子供二人を預かり、近くの学校に通わせた。心をいやして一年後、親元にそれぞれ帰った。「何度も振り返った子供が、涙をポロポロ出している…」
 「子供は神様からの預かり物。きついお産を免除してもらって、大きくなった子をいただいたと思っている。里の親と書いて『里親』。古里のような親の優しさが今、必要かもしれ ません」
 キャンプなどで里子家庭の面倒を見る夫の薫さん(72)と自宅の畑で育てた野菜を、児童養護施設に贈り続けている。
 おがわ・ときこ 1929年5月8日、米子市生まれ。64年に里親登録。鳥取県里親会伯西部会会長などを経て、94年から県里親会会長。若い里親を開拓する県里親促進事 業推進委員も務める。保護司も23年間続けた。社会福祉功労で県知事表彰などを受けている。

小川祝子さん(前鳥取県里親会会長)

中国新聞社


1998/10/20 中国新聞

小川祝子さん(おがわ・ときこ)(前鳥取県里親会会長)
中国朝刊 特集人物 特集 写有 (全132字)

 小川祝子さん(おがわ・ときこ) 1929年5月8日、米子市生まれ。64年に里親登録。鳥取県里親会伯西部会会長などを経て、94年から県里親会会長。若い里親を開拓す る県里親促進事業推進委員も務める。保護司も23年間続けた。社会福祉功労で県知事表彰などを受けている。

小川祝子さん(前鳥取県里親会会長)

中国新聞社


1998/10/19 琉球新報

里親や児童らを激励/県、記念品など贈る
琉球新報夕刊 3頁 社会 (全339字)

里親や児童らを激励/県、記念品など贈る
 里親月間の一環として、里親とその児童や家族を激励しようと十八日、那覇市寄宮の知事公舎で「里親激励会」(主催・沖縄県)が開かれた。激励会には、親子、児童相談 所関係者など約八十人が参加。昼食を兼ねた立食パーティー形式で、里親の家族に記念品などが贈られた。
 東門美津子副知事は「里親らの日ごろのご苦労をねぎらい、子供たちの健やかな成長を願っている」とあいさつした。参加者は、児童相談所職員による踊りや楽器演奏の余 興で楽しいひとときを過ごした。
 県内の里親は一九九八年八月現在、二百八十六人が登録している。そのうち実際に児童を預かっている里親は六十二人、養育を受けている児童八十三人となっており、登 録数、里親数、児童数とも全国平均を上回っている。

琉球新報社


1998/10/14 毎日新聞

大阪市の「きらめき賞」 岩崎美枝子さんと2団体に 17日、東淀川で贈呈式/大阪
地方版/大阪 22頁 写図有 (全491字)

 男女平等に向けて活動を続ける女性に大阪市が贈る「きらめき賞」の今年度の受賞者が13日決まった。 受賞が決まったのは、家庭養護促進協会大阪事務所長の岩崎美枝子さん(57)▽おんなの目で大阪の街を創る会▽高齢社会をよくする女性の会・大阪。 贈呈式は17日午後1時半から、東淀川区のクレオ大阪北で行われる。 【松本泉】

 岩崎さんは1967年から、里親探しのための民間社会福祉機関である家庭養護促進協会に勤務。 家庭に恵まれない子供たちに里親を探し、里親家庭を支援し続けてきた。 毎日新聞大阪面に長期連載している「あなたの愛の手を」などとも連動し、これまでに1000人近い子供たちが里親に引き取られている。 また88年には思春期妊娠危機センターを設立し、性の問題に悩む若者もサポートしている。
 また、「おんなの目で大阪の街を創る会」は、すべての人にやさしい街づくりを女性の視点でとらえようと学習会を開催したり、地下鉄全駅の実態調査などを実施、提言を続けている。 「高齢社会をよくする女性の会・大阪」は、高齢者の自立支援と介護の社会化をテーマに、講演会やシンポジウムの開催、介護活動の実態調査などを行っている。

毎日新聞社


1998/10/07 琉球新報

20世紀 未来への記憶 <25> 暴力から優しさへ 男性革命 「父の役割」崩壊と模索 心の弱さを出せ ず虐待 「パパとパパ」の家族も
中国朝刊 特集連載 特集 写有 (全2985字)

 観光客であふれる米西海岸のサンフランシスコ国際空港。そこからほど近い所にカリフォルニア郡刑務所がある。
 リオ・ヒラノ・ブルーエンは、毎週月曜と水曜の夕方、ここにやって来る。体育館ほどの大きさの雑居房。この日も半円形に取り囲んだ囚人を相手にどうすれば暴力性を克服で きるか、話し始めた。
 柔和な表情とは裏腹に、その生い立ちは暴力に満ちている。不動産業者の父親は、怒りがわき上がると何も言わずにリオを殴りつけた。
 リオが七歳の時だった。父親の頭の近くで小旗を振った。そんなささいなことで、逆上した父親は、リオを家中、追いかけ回した。
 「父は内心の弱さを出せず、暴力でしか自分を表現できない。典型的な男文化をしょっていたんです」
 やがて両親は離婚。格闘技を習っていたリオはギャングの仲間に入り、三回、逮捕された。「暴力の文化」は、父から息子へと世代を超えて伝わっていく。
 結婚も暴力が理由で五年で破局に。その後、同居していた別の女性を家の前の路上で突き飛ばしてまた逮捕された。
 保護観察処分中に課せられたのが暴力克服プログラム。そのステップの一つは、暴力を振るう原因となっている「男は女よりも偉い」「家庭内のサービスは妻がやって当然」と いう信念体系を変えることだ。暴力を振るった自分を客観的にとらえるために、仲間の暴力体験にも耳を傾けた。
 やがてリオは不動産の仕事をやめ、暴力克服プログラムのスタッフに加わった。
 「自分が変わるだけでなく、ほかの男たちが暴力性を克服する手助けをしたいと思ったんだ」と、その動機を説明する。
 講義が休憩に入った。ローリー・ジョーダンと名乗る未決囚が寄ってきた。「おれの家は父がいないので、母親が父親の役もやっていた。仲間とけんかすると、母親が『男は泣 くな』ってね。このクラスを受けるようになって初めて、人前で泣くことができるようになった」
 「人間は皆、優しい面を持っている。問題は、それが文化によって抑圧されていることだ。男も弱さを出していいということを教えていきたい」とリオ。
 リオが立ち向かっているのは、二十世紀の男たちが抱えてきた暴力性の問題だ。中でも荒っぽい西部開拓史を引きずる米国の男たちは「強くあれ」という「男らしさの文化」を 植え付けられてきた。こうした文化こそ、まさに暴力の温床なのだ。
 また、産業社会の成立後、企業戦士となった父親たちは、どこの国でも子育てにあまり参加しないばかりか、子供たちと喜びや悲しみを分かち合う機会を持たず、家庭の中で の存在感も希薄だった。
 今、米国社会ではそうした「父不在」が青少年の犯罪などの原因になっているとして、父親の役割を自覚する人たちが増えている一方、強い父親の復活を説く動きが出てき た。
 例えば昨秋、ワシントンDCで男性数十万人の大集会を開いた宗教団体「プロミスキーパーズ」も後者の一つだ。この団体は、キリスト教の教えに従って、妻や子供を愛し、強 い父親、よき夫として家族をリードしていくことを呼び掛けている。
 カリフォルニア州ミルバレーで骨とう店を営むビクター・コルテスは、こうした「男らしさ文化」の再構築とは違う方向で、子育てを大切にする”優しい男”だ。
 未婚の父であるビクターには、マライアという三歳の娘がいる。彼女が生後六カ月の時、母親と暮らすことになった。
 「養育権を要求しても、父親が単独で養育権を得るのは難しく、僕の今の経済状態では裁判所が認めてくれない」とビクターは語る。
 「時代は女性のほうに振り子が振り過ぎている」。一九七〇年代には、フェミニズム運動に多少はかかわったというビクターは、こう主張する。
 マライアに会えるのは火曜日と水曜日の週二日だけだが、自宅に連れて来て本を読んであげたり、美術館に連れていったりして過ごす。だから、その間、店は休業状態だ。
 「僕は娘に伝えたいんだ。僕がどうやって生きているか、人とどうかかわっているか。娘が大きくなったとき、いかに娘を愛していたかって分かってもらいたいからね」
 ビクターの言葉には、娘を育てることで自分を再生したいという思いが響いているようだった。
 サンフランシスコの対岸、バークリー市に住むゲイのカップル、ジョナサン・ローガンとケビン・ウッドワードは同居して十四年。リリーという四歳の娘がいる。
 子供を持ちたいと思い始めたのが四、五年前。養子あっせん所で紹介されたリリーの母親に手紙を送り、百二十人の里親希望者から二人が選ばれた。
 「子供の面倒をみるということは、とても人間的な営みだと思う。自分の深い部分を見つめることになるしね。それによって、さらに繊細で、優しい人間になれると思うんだ」と、 自宅で投資の仕事をしているジョナサンは語る。
 保育園に通うリリーに、「どうしてママとパパのいる家族や、パパとパパの家族があるの」と聞かれたことがある。「リリーに言うんです。『家族ってみんな違うんだよ』って。うち は、たまたまパパとパパの家族だけど」と、マッサージセラピストのケビン。
 「リリーにとっては、いわば多様であることが当たり前なんです。多様性こそ、異なった生き方をしている他者を理解することにつながると思いますね」
 電子メディアが地球を覆う脱産業社会の到来によって、かつて農業など第一次産業を担った「男らしさ」は揺らいでいる。暴力性を否定し、子供たちとの関係に居場所を模索す る彼らは、次の時代のパイオニアかもしれない。(文・鷲見徹也 写真・藤田尚人)

 ▽きっかけは女性運動
 「米国では少なくとも過去三世代、父親は不在だった。父親は感情的なかかわりを子供たちと持てず、感情表現ができないことが暴力につながった」と、サンフランシスコのセ ラピスト、ドロシー・ボアスティーは分析する。
 男たちが、自らの暴力性を認識するきっかけになったのが一九六〇年代半ばからの女性運動と、女性の社会進出だ。「男は仕事」「女は家庭」といった伝統的な性による役割 分担意識が変容し、女性の生き方の選択肢が拡大するにつれ、それまでは「家庭の秘密」にされてきた家庭内暴力にも女性たちが声を上げるようになってきた。
 父不在と家庭内暴力は、ようやく日本でもクローズアップされている。日本の社会は、企業への帰属意識や、性別役割意識が強く、米国よりむしろ父不在だと言っていい。若者の非行や社会意識の欠如など、そのつけが回ってきている。一方、「男も女も育児時間を!連絡会」「メンズリブ東京」などの男性解放団体も登場、育児休業する男性も現れ るなど、「男らしさ文化」の問い直しは始まっている。
 毎週水曜日に掲載します
                  70 メンズセンターがカリフォルニアで発足
                  79 米映画「クレイマー、クレイマー」公開

「男も女も育児時間を!連絡会」発足 80

 映画「家族ゲーム」公開      83
                  90 全米父親業センターが発足

メンズセンターが大阪で発足     95 D・ブランケンホーン著「父不在のアメリカ」出版
                  97 プロミスキーパーズがワシントンで大集会

米国北東地区ボディービル・コンテストで、鍛えた体を披露する参加者たち。今どきの若い女性たちにはあまり受けが良くないが、筋肉もりもりは彼らにとって自己顕示欲の発露 か、男らしさの象徴か?(米・ニューヨーク市内)

お父さんに片手で、「高い高い」をやってもらって大喜びの坊や。戦争という男の暴力性の頂点が、こんなのどかな光景を襲ったのは、ほんの少し前のことだ(ボスニア・ヘルツェ ゴビナの首都サラエボ)

中国新聞社


1998/10/04 毎日新聞

[あなたの愛の手を]/1704 はるなちゃん(2歳6カ月) /大阪
地方版/大阪 25頁 写図有 (全766字)

 いつもにこにこ施設の庭を「せんせぇー」としっかりしたかわいい声を出して走り回っていたね。
 20〜30センチの高さからはぴょいと降りて、運動神経のよいところもみせることもあるんだって。
 砂場では、スコップ、バケツ、プリンのからなどを使って、かた抜きを上手にするんだよね。 三輪車も好きかな。
 コミュニケーションも、泣いて意思を伝えるのではなくて、言葉で上手に表現できるんだってね。  かわいいほっぺとおめめがチャームポイントかな。
 90センチ、13・5キロ。 養子縁組をしてくださる方を求めています。
   ◇   ◇
 正式に養子縁組が決まるまで、生活教育費月額約4万8000円、里親手当2万4000円などが支給されます。 医療費(実費)は公費負担。 申し込みは家庭養護促進協会(天王寺区東高津町12の10、市立社会福祉センター2階。 06・762・5239)。 9日(金)まで10〜17時。

【寄贈】2000円=村司路子、堂後邦子、野田匡男▽3000円=中西麗子、東大阪市N・M、J・N、岸本重子、岡部晴子、中西克己▽5000円=池田一亜、匿名、岸本美代子▽5680円=平井純貴▽10万円=(株)点天▽1万円=赤崎正佳、岡品光、(株)向井珍味堂、匿名▽1000円=武本明夫、竹島永福▽1500円=大念仏乳児院 (敬称略)
   ◇   ◇
 今年5月掲載のあきちゃんは群馬県のMさん宅に引き取られました。

◆きずな
 愛の手の取材にいくと施設の子どもたちは「だれのお母さん?」と尋ねてきます。 普段面会に来ているのは家族なので、新聞記者や協会職員は珍客。 その都度「Aちゃんに会いにきたの」などとあいまいな返事をしてしまいますが、子どもたちの目にはどのように映っているのでしょう。 取材される子ども自身が写真を撮られることをどんなふうにとらえているのか、取材の度に気になっています。
【家庭養護促進協会・N】

毎日新聞社


1998/10/03 中国新聞

里親募ります/関係団体がチラシ配布
琉球新報夕刊 3頁 社会 写図表有 (全328字)

里親募ります/関係団体がチラシ配布
 沖縄県里親会(上間啓聖会長)と県社協、県福祉保健部、民生・児童委員、各福祉事務所は、里親月間の二日午後、宮古を除く県内全域で里親への理解を深め、里親を求 めるチラシ配布を行った。
 那覇市のパレットくもじ前で行われたチラシ配布には県里親会顧問の大田啓子さん(知事夫人)、上間会長、平良健康県福祉保健部長ら各機関から約七十人が参加。
 配布に先立ち出発式があり、上間会長は「県里親会は創立二十五周年を迎えた。家庭に恵まれない子に愛の手を差し伸べていただきたい」とあいさつ。続いて、大田顧問、 平良部長が参加者を激励した。
 里親についての問い合わせは県中央児童相談所098(886)2900、コザ児童相談所098(937)0859。

琉球新報社


1998/10/01 琉球新報

きょうから里親運動月間
琉球新報朝刊 31頁 社会 (全353字)

きょうから里親運動月間
 県福祉保健部児童家庭課は一日から三十一日まで「一九九八年度里親を求める運動」月間として広く里親を募集する。期間中、各地で里親への理解を求めるちらしを配布す るほか、里親研修会や激励会、県里親会創立二十五周年記念芸能公演などを開催する。
 里親制度は児童福祉法に基づいて親や身寄りのない子ども、家庭があっても親の病気や家出、虐待などの理由で親のもとで育つことができない子どもを、里親の温かい愛情 と家庭的な雰囲気で養育することを目的にしている。
 県内の里親は九七年度末現在で登録者二百九十一人、実際に児童を預かっている里親が五十八人、養育を受けている児童が乳児から高校生までの七十九人で、登録数、 里親数、児童数とも全国平均を上回っている。
 問い合わせは県里親会(098・867・1441)。

琉球新報社


1998/10/01 琉球新報

いつでも帰って来られる場所に/迷った時は頼って/2人の子の里親・末吉重昭さん
琉球新報朝刊 31頁 社会 写図表有 (全345字)

いつでも帰って来られる場所に/迷った時は頼って/2人の子の里親・末吉重昭さん
 【宜野湾】宜野湾市志真志で保育園の園長をしている末吉重昭さん(五六)は、二人の男の子を迎えて、八年目になった。末吉さんは「子供にとっていつでも帰ってこられる場所でありたい」と語った。
 一九八八年に里親制度に登録。初めて受け入れたのが二人の男の子で、現在、中学一年と小学五年になる。
 末吉さんは、「私は子供たちが自分で判断し、行動できる人間になってほしい。人生には、いつか立ち止まったり、迷うときが来る。そのときは私たちを頼ってほしい」と語る。
 その子供たちに料理、洗濯、掃除などを教えたのは妻の初子さん。二年前に五十七歳の若さで亡くなったが、「子供たちへの影響は、私より妻のほうが大きいくらいです」と話 していた。

琉球新報社


1998/09/23 琉球新報

親子の愛観客の目に涙/名護/「まことからの手紙」を上演/県里親会創立25周年芸能公演
琉球新報朝刊 22頁 市町村 写図表有 (全616字)

 【名護】沖縄県里親会創立二十五周年記念芸能公演(主催・県里親会、共催・県社会福祉協議会など)が二十日、名護市民会館大ホールで開かれた。
 里親会の存在とその活動を広くPRすることを目的に、舞台では、里子への出生の秘密の告知を描いた演劇「まことからの手紙」を上演。琉球舞踊、太鼓演舞なども披露さ れ、会場に詰め掛けた多くの人に感動を与えた。
 「まことからの手紙」は同会の上間啓聖会長の脚本、演出によるもの。上間会長の主宰する劇団「翼」の団員十六人がボランティアで出演した。
 劇では、両親と離れ、本土で生活する゛まこと゛が「今まで隠していたが、自分の息子と娘は里子」と両親への手紙で告白。さらに秘密であったはずの゛まこと゛自身が里子で あることを、本人が知っていたことでドラマが展開する。
 両親にあてた手紙で「だれもが生きる権利を持ち、だれもが幸せになる権利を持っている」と訴える゛まこと゛。劇中で繰り広げられる血縁関係を超えた親子の愛情の深さに、 目頭を熱くし、ハンカチで涙をぬぐう観客の姿も見られた。
 また、この日は鼓衆「若太陽」による太鼓や沖縄新進芸能家協会の琉舞、地元グループによる出し物が披露。全国里親会の渥美節男会長、名護市の岸本建男市長も来場 し、来賓祝辞を述べた。
 公演は十月十四日に那覇市民会館、十一月三日に沖縄市民会館でそれぞれ上演される。

琉球新報社


1998/09/06 中国新聞

虐待受けた子に心理療法 児童養護施設にセラピスト配置 厚生省方針
中国朝刊 二社 (全469字)

 家庭内で虐待を受けた子どもたちの深い心の傷をいやし、回復への手助けをするため、厚生省は五日までに、児童養護施設にセラピストを配置して、心理療法を導入する方 針を固めた。
 計画では、大学で心理学を学んで心理療法の技術を身に付けている人や、児童相談所OBをセラピスト要員として確保。全国の児童養護施設五百六十カ所のうち、被虐待児 童が十人以上入所している約百施設に、非常勤のセラピストを一人ずつ配置する。
 全国の児童相談所に寄せられた虐待に関する相談は、一九九〇年度の千百一件から年々増加し、九六年度は四千百二件、九七年度は「確実に五千件を超える」(同省家 庭福祉課)情勢だ。
 子どもの生命に危険が予想されるケースなど、親と引き離さなければならない場合には、子どもを児童養護施設などの福祉施設で保護したり、里親に預けるが、こうした子ど もの数は九六年度だけで九百二十三人に上っている。
 虐待を受けた子どもたちは、体の傷だけでなく、「心的外傷」も負っている場合が多く、放置すれば心身の発達に深刻な影響が出るため、適切な心のケアが必要という。

中国新聞社


1998/09/06 西日本新聞

虐待受けた心の傷治療 児童養護施設にセラピスト配置 厚生省方針
朝刊 30頁 0版30面1段 (全653字)

 家庭内で虐待を受けた子どもたちの深い心の傷をいやし、回復への手助けをするため、厚生省は五日までに、児童養護施設にセラピストを配置して、心理療法を導入する方 針を固めた。
 計画では、大学で心理学を学んで心理療法の技術を身に付けている人や、児童相談所OBをセラピスト要員として確保。全国の児童養護施設五百六十カ所のうち、被虐待児 童が十人以上入所している約百施設に、非常勤のセラピストを一人ずつ配置する。
 全国の児童相談所に寄せられた虐待に関する相談は、一九九〇年度の千百一件から年々増加し、九六年度は四千百二件、九七年度は「確実に五千件を超える」(同省家 庭福祉課)情勢だ。
 子どもの生命に危険が予想されるケースなど、親と引き離さなければならない場合には、子どもを児童養護施設などの福祉施設で保護したり、里親に預けるが、こうした子ど もの数は九六年度だけで九百二十三人に上っている。
 虐待を受けた子どもたちは、体の傷だけでなく、「心的外傷」も負っている場合が多く、放置すれば心身発達に影響が出るため、適切な心のケアが必要という。
 これまでも心の傷の程度が重い子どもたちについては、情緒障害児短期治療施設に保護して精神科医らが治療に当たる例があったが、心の傷が中等度で、主に児童養護 施設に保護されている数多くの子どもたちには対応が手薄だった。(共同)

    ×      ×
 福岡県中央児童相談所によると、県内の虐待に関する相談も一九九二年度は四十八件だったが、九六年度は二百二十六件と五倍近くに急増しているという。

西日本新聞社


1998/09/06 産経新聞

児童養護施設にセラピスト配置 厚生省方針
 東京東京 25頁 第3社会 (全388字)

 家庭内で虐待をうけた子どもたちの深い心の傷をいやし、回復への手助けをするため、厚生省は五日までに、児童養護施設にセラピストを配置して、心理療法を導入する方針を固めた。
 計画では、大学で心理学を学んで心理療法の技術を身に付けている人や、児童相談所OBをセラピスト要員として確保。全国の児童養護施設五百六十カ所のうち、被虐待児童が十人以上入所している約百施設に、非常勤のセラピストを一人ずつ配置する。
 全国の児童相談所に寄せられた虐待に関する相談は、一九九〇年度の千百一件から年々増加し、九六年度は四千百二件、九七年度は「確実に五千件を超える」(厚生省家庭福祉課)情勢だ。
 子どもの生命に危険が予想されるケースなど、親と引き離さなければならない場合には、子どもを児童養護施設などの福祉施設で保護したり、里親に預けるが、こうした子どもの数は九六年度だけで九百二十三人に上っている。

産業経済新聞社


1998/08/09  読売新聞 里親文学

[編集手帳]美智子さまのすばらしい英訳力
東京朝刊 1頁 (全513字)

 「赤毛のアン」は孤児院から引き取られて来たとき、丘の上から村を眺め、里親の家を言い当てる。 何度も聞かされた話が、豊かな想像力でぴたりと像を結んだのだった。
 みずみずしい感受性があふれんばかりの少女アン。 この春の記者会見で、ある女性の言葉から連想したのはまさにこのアンのことだった。 女性は英国訪問前で訪問国の児童文学について聞かれた。
 「子どものころに読んだ話はみな懐かしく、私は英国人を知る前に、英国人の筆が作りだしたクマやヒキガエル、アナグマ、クロヒョウなどと知り合いになっていたということになります」。
 女性は「ぞうさん」で知られるまど・みちおさんの詩の英訳を手掛け、まどさんはその訳詩で、四年前に国際アンデルセン賞を受賞した。 審査員は「もともと英語で書かれた詩のようだ」と評した。
 その中の十数編を集めた日英対訳絵本「ふしぎな ぽけっと」がこのほど日米で共同出版された(米での発売は九月)。 日本語の擬声を巧みに生かし、ときに韻も置く。 確かに見事な英語力だ。
 女性の名は美智子。 英語圏の子どもたちがその人が実は日本のエンプレス、皇后さまと知ったらどう反応するだろう。 アンのように、日本への楽しい想像を大きく膨らませるに違いない。

読売新聞社


1998/08/08 中国新聞

何して遊ぼうかな 福山 施設の子ら 里親と交流 初日は海水浴楽しむ(広島県)
中国朝刊 福山/尾三 写有 (全332字)

 養護施設の子どもたちと、夏休みの一時里親の対面親睦(ぼく)会が七日、福山市鞆町後地の国民宿舎仙酔島であった。県東部地区里親連合会(友井一三会長、二十九世 帯)の主催。
 福山乳児院など県東部の三施設などで暮らす高校生までの四十二人と、受け入れ家庭三十五世帯の計約百人が参加。対面式で照れくさそうにしていた子どもたちも、海水 浴や宝探しゲームを通じて次第に打ちとけ、はしゃいでいた。
 連合会は、家庭生活を味わってほしいと毎年夏と冬の二回、一時帰省を引き受けている。今回子どもたちは一泊二日の親睦会のあと、十七日まで十日間過ごす。
 府中市木野山町、造園業河本律子(51)さん宅に泊まる小学六年常森麻衣ちゃん(11)は「一緒に川で遊ぶのが楽しみ」と笑顔を見せていた。

里親と対面し、海水浴を楽しむ子どもたち

中国新聞社


1998/08/03  読売新聞 その他 鈴虫の「里親」

[ティータイム]「リリーン」 第一声楽しみ
大阪朝刊 17頁 (全540字)

 いつもこの時期、鈴虫の幼虫の世話に、明け暮れています。 今年は、例年になく一か月も早くふ化し始め、三つある飼育ケースは満杯です。
 日に日に大きくなって、ただ今、小学生ぐらいってところ。 まだ羽が生えていないので、オスメスの区別はつきませんが、白くて長いヒゲがとても立派。

 「今のところ順調です」と言いたいのですが、先日、虫の知らせか、大きいケースだけが気になり、「ふうー」と息を吹き掛けても、みんな元気がありません。 その時、突然、大きなクモが飛び出してきてびっくり。 とっさに外に放り出しました。
 天敵が住み付いているとも知らず、このケースは広々しているから、と何回も幼虫を移していた私。 今、思い出しても胸が痛みます……。 幼虫たちに「元気に育ってね」と今日も、とりたてのナスを入れ替えてやりました。

 お盆が近づくころ、「リリーン、リリーン」の第一声を合図に、友人知人、近所の子どもたちみんなに里親になってもらうのです。
 特に、一人暮らしのおばさんは「家族が増えてにぎやかになった」とニコニコ顔で迎えてくれます。 今年もまた、みんなの笑顔に会えるのを楽しみに……。 鈴虫の子どもたち早く大きくなりなさい。

               松本 加代子(奈良県大淀町、主婦・51歳)
読売新聞社


1998/07/29 中国新聞

里親制度の発展を誓う 浜田で県大会(島根県)
中国朝刊 島A (全341字)

 県里親大会は二十八日、浜田市野原町の市総合福祉センターで開かれ、参加者は「地域社会に密着した里親制度の発展を目指そう」と誓い合った。
 大会には、関係者約八十人が出席。田中重義・県里親会長が「与えられた責務を精いっぱい果たして子供を育て、社会に送り出そう」とあいさつした。里子を育て、会の運営 に尽くした夫妻に感謝状を贈った後、出雲地区里父と浜田地区里子が体験談を発表。家庭養護促進協会の岩崎美枝子・大阪事務所長が「親子になる―出会いから告知まで」 と題して講演した。
 感謝状を贈られた夫妻は次の通り。(敬称略)

 ▽知事贈呈 森脇博夫・伸子(大原郡大東町下阿用)、有光勝美・チヅ子(邑智郡邑智町粕淵)▽会長贈呈 若槻明禅・百合子(安来市植田)、土橋隆義・雪子(簸川郡多伎 町小田)

中国新聞社


1998/07/29 読売新聞 養親

[?????]夫婦の笑顔 養親講座で
大阪夕刊 18頁 (全537字)

 「子連れで近所を歩いていて、質問されたらどう答えたらいいのか」「いい子が来たんですと、誇らしげに説明してあげなさい」――養子縁組を希望する夫婦が、親となる心の準備をする。 家庭養護促進協会(大阪市)が開設する「養親講座」の一コマだ。

 30歳代から40歳代の夫婦15組が、将来起こりうる家族問題を相談している。 真剣だが、どこか楽しそうでもある。

 事情があって親と別れて暮らす子供たちを引き取る里親制度。 今年は、戸籍上で「実子」と「養子」の表記に大きな区別をなくした特別養子縁組制度ができて丸10年。 最近は未婚の母、10歳代の親も増え、養親を求める子供は常にいる。 だが、里親の希望者は高度経済成長と共に減少した。 大阪府では昭和40年代に里親希望者が年間約1000人いたのに、ここ10年は400人台止まりだ。

 家族関係の希薄さ、不妊治療の進歩も里親離れの背景にあると聞く。 虐待や養育遺棄など子供を巡る暗い事件が続いているが、参加した夫婦らは「本当に我々を必要としてくれる子供がきっといる」と、晴れやかな笑顔だった。 (竹)

社会部06・311・3111 FAX06・361・0733
電子メールはosaka2@yominet.or.jp

読売新聞社


1998/07/28 中国新聞

里で 里親の家庭で 思い出の夏を <三次>(広島県)
中国朝刊 北B (全252字)

 北備地区里親会(牧田繁喜会長、三十一家族)は二十七日、東広島市西条町の児童養護施設・広島新生学園(上栗哲男園長、七十四人)の園生を夏休み一時里子として 招いた。八月二日までの一週間、会員宅で過ごしてもらう。
 里子で訪れたのは、幼児から小学生までの園生十八人。上栗園長らの引率で三次合同庁舎に到着。出迎えた牧田会長たちが「家族同様、お手伝いなどしながら、思い出を たくさんつくってください」と歓迎した。
 園生代表も「楽しみに待っていました」とあいさつ。一〜二人に分散して、十四家庭に引き取られて行った。

中国新聞社


1998/07/28 琉球新報

里親と子供たちが交流/先島地区里親交流会/バーベキューなど楽しむ/伊良部町
琉球新報朝刊 16頁 市町村 写図表有 (全559字)

 【伊良部】夏休みを利用し、各地の里親と子供たちが集まって交流を深める先島地区里親会交流会(県里親会主催、県社協共催)が二十五日、伊良部町佐和田の浜であり、 石垣島や沖縄本島を含め四十七人が参加し、ボランティアの協力でバーベキューやレクリエーションを楽しみ親ぼくを深めた。年に一度、夏休みに行っている交流会で、先島地 区は今回が五回目。
 国内での里親制度は一九四八年にスタート。県内では復帰後の七三年に始まり、ことし二十五周年を迎える。県内の里親活動は活発で毎年十月の里親月間などで活動をP Rしているが、普段は゛縁の下の力持ち゛としてあまり表に出てこないため県民の認識も薄いのが現状だ。県里親会の上間啓聖会長は「県内は高い離婚率や経済不安などで 家庭崩壊する要因がある。そのような中で子供たちは傷ついている。この現状を理解し、子供たちを受け止めてくれる里親が増えてほしい」と里親制度への理解を呼び掛けて いた。
 県里親会では、二十五周年記念事業として九月から十月にかけて名護市と沖縄市、那覇市で里親をテーマにした演劇や舞踊など芸能祭を開催する。宮古地区での開催も計 画している。県内の会員は二百八十六世帯で、うち先島地区は宮古、八重山を合わせて五十世帯。

琉球新報社


1998/07/24 西日本新聞

九州地区里親研修大会始まる
朝刊 37頁 0版37面1段 (全186字)

 九州地区里親研修大会(西日本新聞民生事業団など後援)が二十三日、福岡市中央区の福岡山の上ホテルで始まった。九州各県の里親ら約二百三十人が参加。制度充 実などについて二十四日まで論議する。
 最近は児童虐待や離婚家庭の増加など家庭の養育力低下で里親の需要は高まっているが、里親の登録者は減っているという。大阪家庭養護促進協会の岩崎美枝子さん が「里親の子育て」について講演した。

西日本新聞社


1998/07/24 朝日新聞

里親ら集い意見交換 子育てめぐり交流 福岡で九州地区研修 /福岡
朝刊 66頁 福岡版 写図無 (全568字)

 様々な事情で実の親と暮らせない子どもたちを預かる里親たちの九州地区研修大会 が二十三日、福岡市中央区であった。九州各県の里親登録者や福祉行政の関係者、民 生委員らが参加。「里親の子育て」について、記念講演や分科会を通して日ごろの問 題を語り合ったり、情報交換をしたりして理解を深めた。
 この日は、全国里親会の渥美節夫会長が、里親制度に関する法律などの動きについ て報告。アメリカでは里親が十六万人、里子が三十万人、またイギリスでも里子が六 万人おり、日本が福祉国家として遅れている現状を指摘した。
 また、長年、里親の開拓や里親制度の啓発活動をしている民間団体「家庭養護促進 協会」の大阪事務所長、岩崎美枝子さんが里親の子育てについて記念講演した。
 岩崎さんは、「一人の子どもが育つには、特定の大人との安定した関係が長く継続 されることが大事」とした上で、養子縁組した場合、短期、長期の場合などのケース ごとに、子どもとの信頼関係をいかに築くかを、実例をふんだんに織り交ぜながら紹 介。「子どもには何が起こるかわからない。でも、それを承知でかけてみよう、喜び を共有しようと思った里親たちのお手伝いをしたい」と話した。
 この後、実の親との交流や、里親であることの告知、学校や友達とのかかわりなど の分野に分かれて分科会で意見交換を行った。大会は二十四日まで。

朝日新聞社


1998/07/22 朝日新聞

2男3女の里親に誇り 福岡市の小糸一子さん(報!) 【西部】
夕刊 1頁 1総 写図有 (全1738字)

 福岡市南区の小糸一子さん(五〇)一家は「合体」家族だ。里親の夫婦のところに 次々に子どもがやって来て、今では二男三女に増えた。おばあちゃん役のおばも加え て八人で暮らす。「みんなで大きな山を一歩ずつ乗り越えてきた……」。そんな体験 文が今年、生命保険会社の外郭団体主催の懸賞論文に入賞し、六月中旬に発行された 一九九八年版の厚生白書の一ページにも紹介された。血のつながりにこだわらず、支 え合って生きる。家族の絆(きずな)が薄れがちな時代に、家族のあり方を考えさせ られる。(社会部・藤原泰子)

 自宅を訪ねた日の午後三時すぎ、子どもたちが次々帰って来た。家族のアルバムを 見せてもらっていると、小学一年の三女(六つ)が口をはさんだ。「この写真に、あ たし、いないねえ」。小糸さんは別の写真を指して言った。「ああ、このときにはも ういるよ」。三女はキャッキャッと笑った。
 子どもたちは長女(一八)、長男(一三)、次女(一〇)、次男(九つ)、三女と、 年を追って増えてきた。

 ○3人以上「逆に楽」
 夫婦は結婚して十年間子どもに恵まれなかった。小糸さんは三十歳で里親になるこ とを決意。二年間保育短大で学んで、当時住んでいた東京都で登録を受けた。八一年 六月、一歳九カ月だった女児が長女になった。「子どものためには、おじいちゃん、 おばあちゃんもいた方がいい」。福岡市にいたおば夫婦に頼み込んで、八六年に引っ 越し、市の里親として登録された。
 最初は「三人ぐらい」と考えていた。しかし、「縁があって気が付いたら増えてい た」。小糸さんは「三人以上になると逆に楽。上の子が下の子を育ててくれる」と言 う。

 ○父としての“自覚”
 同居を始めたころ、明治生まれのおじは、酒を飲むたびにこぼした。「親類の子も たくさんいるのに、なぜ血のつながらない子を……」。しかし、そのうち、自分の土 地に二世帯住宅も建てさせてくれた。子守もした。九三年、がんで亡くなる前には 「あんたたちがいて心丈夫だった」と言ってくれた。
 息子に対して夫のしつけは厳しかった。ある日、本箱の隅に「父親の責任について」 「父親は息子に何を教えるか」という本を見つけた。父としての自覚がそうさせたの か、と小糸さんは納得した。

 ○隠し事はもたない
 里親が抱える一番の問題は「血がつながっていない」という告知だ。「親子の間で 隠し事を持たないことは信頼関係を築く上でとても大切だ」。小糸さんは、子どもた ちが三歳ぐらいになって話すように心掛けた。
 次男が小学三年だったころ、学校から帰って来て、言った。「友達がボクのことを 『もらいものか』って言ったよ」。「何て答えたの」と聞くと、次男は「『そうだよ』 って言ったよ」。小糸さんは、次男に拍手したい気持ちになった。
 子どもたちは「産んでくれたお母さんに会いたい」という。そんな気持ちを大事に してやる。「私の気持ちも複雑だけど、将来自然な形で親もとに帰っていくことがあ ってもいい」
 保育の道に進みたいという長女は「実の親に会っても、やっぱりここに戻ってくる と思う」と話す。

 ○子どもの幸せ第一
 以前は寺の住職や篤志家が里親になることが多かった。最近では少子化を反映して、 養子縁組を念頭に置いて里親を希望する人も多い。しかし、子どもの意向と合わずに 断られるケースもある。
 小糸さんは「子どもの幸せが一番。前向きに一生懸命家族をつくっていくことに誇 りを持ち、続き柄とか血のつながりとかにとらわれず胸を張って堂々と生きていきた い」と話している。
 小糸さんら福岡市里親会が中心になって二十三、二十四の両日、同市の山の上ホテ ルで九州地区里親研修大会を開く。

 <里親制度> 様々な事情によって実の親と暮らせない子どもたちを預かって育て る制度。厚生省によると、一九九六年度末現在、全国で七千九百七十五人の里親が登 録され、うち千八百四十一人が、二千二百四十二人の子どもの養育を委託されている。 一家庭で一人から二人の子どもを育てているケースが八割以上を占める。児童相談所 では、里親の希望がある場合には、養子縁組もあっせんしている。

 【写真説明】
 焼きたてのパンが朝食の食卓を飾り、にぎやかに一日がスタートする/撮影・山本 壮一郎=福岡市南区で

朝日新聞社


1998/07/17  読売新聞 海外援助

[ぷらざ]里親継続 がんばらなくちゃ
東京朝刊 27頁 (全405字)

 民間の国際里親制度を通じて、フィリピンの子供に学資援助をしている。 私たちの“里子”、エドワード君から、ハイスクールを卒業したと、お礼の手紙を受け取った。 援助を始めて9年、待ちに待ったうれしい便りだ。

 わが家の末っ子が幼稚園の時、同じ年ごろの子供たちが、貧しさのために小学校にも行けないという話を聞き、ショックを受けた。 家計をやりくりして里親制度に参加することを決めた。 毎年、送られてくる成長記録や彼からの手紙を、わが家の子供たちも心待ちにしていた。

 エドワード君は卒業したが、再び別の子を援助することにした。 届いた新しい“里子”の記録には、「ナタニェル君。 9歳。 恥ずかしがり屋で素直」と記載されていた。

 今度は彼が勉強を続けられるように頑張らなくちゃ。 かわいい坊やが家族の一員に加わったのだもの。 里親制度のおかげで、いつまでも若いお母さんでいられるような気がする。 (神奈川県大和市・斎藤真由美 46)

読売新聞社


1998/07/02 西日本新聞

佐賀県/「次郎物語」題材に読書会 千代田町 下村湖人の生家で など
朝刊 26頁 0版26面1段 (全889字)

 ●「次郎物語」題材に読書会 千代田町 25日から4回、下村湖人の生家で 学ぶ大切さ考えよう 小中生の参加募集
 作家で教育家の下村湖人の出身地、千代田町は二十五日から湖人の代表作「次郎物語」をテキストに、小中学生を対象にした「子ども読書会」を同町の下村湖人生家で開 く。教育の荒廃が指摘される中、「次郎」の姿を通して子どもたちに学ぶことの大切さを訴える狙い。十七日まで、参加者を募集している。
 今年三月、全国からの募金で湖人生家が改修されたのを記念して、初めて企画。今回読むのは、「次郎物語」の第一部。反抗を繰り返しながらも、里親や小学校の教師に励 まされて中学進学を目指す主人公・次郎の姿を、同生家の北川信幸館長と県母と子の読書会協議会の境ツヤ子会長の指導で読み進め、感想を述べ合う。
 読書会は二十五日と、八月八日、二十二日、二十九日の午前十時から。対象は小学四年生から中学三年生まで百人(小学生は親子同伴)。希望者ははがきに住所、氏名、 電話番号、学校名、学年、郵便番号を明記して〒842―8502 千代田町直鳥一六六―一下村湖人生家保存会事務局に申し込む。参加費は無料。申し込み多数の場合は、 募集定員を広げ、午前・午後の部に分けて行う。問い合わせは同事務局=0952(44)2384。
    ×      ×
 ●次郎のように元気に育って 千代田町出身の島さんがたこ寄贈
 下村湖人「次郎物語」の次郎のような元気な子どもに育って、との願いを込め、佐賀市本庄町の島尊さん(61)が、次郎をデザインしたたこを作り、湖人の出身地・千代田町に 寄贈した。
 島さんも同町出身。所長を務める佐賀市の金立教育キャンプ場で三年前から、子どもたちにたこ作りの指導を始めた。古里の子どもたちにも楽しんでもらおうと、約六十センチ 角の三点を製作。元気に遊ぶ次郎をイメージし、デザインした。
 たこは町役場の町民ホールと特別養護老人ホーム「コスモス苑」、次郎の森公園の休憩所に展示。訪れた人の目を楽しませている。島さんは「冬には千代田の子どもたちと たこを揚げたり、作り方の指導ができたらいいですね」と話していた。

西日本新聞社


1998/06/05 読売新聞 養親

養子を育てたい人をサポート 家庭養護促進協会が講座を開催/神戸
大阪朝刊 31頁 (全232字)

 子どもと里親、養親家庭を結び、サポートする家庭養護促進協会は13日と20日の2回、神戸市中央区東川崎町の市総合児童センター(こべっこランド)で「養子を育てたい人のための講座」を開く。
 両日とも午後2時から。 1回目は「養親、養子とは何か」をまとめたビデオを観賞し、懇談する。
 2回目は制度や養親の条件などを学ぶ。 定員は夫婦15組(1人でも可)。
 受講料は1組5000円、1人3000円(資料代、お茶代含む)。 申し込み、問い合わせは同協会(078・341・5046)へ。

読売新聞社


1998/05/31 毎日新聞

[記者が行く]「週末里親」に協力を 小学校高学年から中学生、慢性的に不足/大阪
地方版/大阪 25頁 写図有 (全1201字)

 「週末里親」を知っていますか?
 さまざまな事情で施設で暮らしている子どもを、月に1〜2回引き取って、家庭生活を経験させようという制度だ。 大阪市が週末里親への助成事業を始めて4年になる。 この間、150人の子どもが、“家庭”を体験した。 しかし、里親登録者の希望は偏りがちで、“家族”のぬくもりを待ちわびている子どもも多い。  【山手秀之】

 市が1994年7月から行っている週末里親事業は、児童福祉施設に入所している1〜18歳の子どもを、週末や長期の休みに引き取る家庭への助成制度。 年間30日を限度に、子ども一人につき1日1500円と交通費が支給される。 施設がそれぞれ、ボランティアに依頼していたのを、市がバックアップする形でスタートした。
 窓口になっている家庭養護促進協会大阪事務所には、4年間で約500件の問い合わせがあった。 現在は104家庭が登録、32人の子どもが、家庭で週末を過ごしている。 毎日新聞の「あなたの愛の手を」で毎週紹介している子どもの多くが、養子縁組してくれる里親を求めているのに対し、週末里親は身近な“おじさん”“おばさん”のような存在 だ。
 「小さくて可愛い女の子を紹介して」。 週末里親を申し出る家庭の半数が希望する。 協会は、家庭環境などを十分に検討し、子どもに最適な家庭を選ぶが、小学校高学年から 中学生の子どもたちの週末里親は慢性的に不足している。
 ひで君(10)=仮名、小学5年=は施設に入って3年。 仕事が忙しい父親は、盆と正月くらいしか面会に来れない。 同じ施設で暮らしている姉と妹は、週末里親の元に通っている。 うらやましくて仕方ない。 でも、大人に甘えるのは苦手だ。 あきちゃん(11)=同、小学6年=も、施設に預けられて6年。 両親はいるが面会はない。 本当は、おしゃべりな のに、おとなしい子ね、といわれることが多い。
 施設での集団生活では、ひで君や、あきちゃんだけを見つめてくれる人はいない。 職員は、「みんなの」先生だ。 家庭のぬくもりを知らないまま、社会に出ると、どんな家庭を築 いていいのか、戸惑うことになる。
 大きくなってから週末里親に預けられると、テレビゲームやマンガ漬けになる子が多いという。 施設から離れて羽を伸ばしてみたいらしい。 そんな時期が何カ月も続いて、ようやく信頼関係が生まれる。 週末里親の研修会では「子どもを受け入れるようになって、家族の結びつきが強まった」という声も出た。
 岩崎美枝子・大阪事務所長は「“ダメ”を言いそうになる親と、子どもの間でクッションになってくれる中高校生がいる家庭が、週末里親に協力してほしい」と呼びかけている。
 問い合わせは、家庭養護促進協会(06・762・5239)へ。

◆「記者が行く」へのご意見、感想、「取材してほしい」という注文などをお待ちしています。 〒530―8251(住所不要)毎日新聞社会部あっとおおさか係へ郵送かファクス(0 6・346・8186)で。

毎日新聞社


1998/05/29 中国新聞

里親制度再認識へ大会
中国朝刊 二社 (全273字)

 里親制度の現状を話し合い認識を深めようと、第四十五回中国地区里親大会(中国地区里親会、山口県里親会など主催)が二十八日、防府市八王子二丁目のデザインプラ ザ防府で始まり、関係者二百二十人が参加した。
 山口県里親会の松田美代子会長が「里親制度のあるべき姿を話し合い、社会の理解が大きく広がることを願っている」とあいさつ。
 続いて、全国里親会の渥美節夫会長の情勢報告や、山口市の住職宮原隆史氏の「生きている素晴らしさ、見つけた」と題した講演があった。大会は最終日の二十九日、会 場を同市内のホテルに移し、中国五県の里親会の事例報告や全体会がある。

中国新聞社


1998/05/28 毎日新聞

「里親開拓と交流に力」 神戸家庭養護促進協が総会開く /神戸
地方版/兵庫 23頁 (全315字)

 親と暮らせない子どもの里親活動に取り組んでいる、社団法人、家庭養護促進協会の今年度の総会が27日、神戸市中央区橘通の市生活学習センターで行われた=写真。
 総会には会員ら117人が参加。 今井鎮雄理事長らのあいさつなどのあと、新年度の事業計画を討議。 「設立から35年以上たち、その間に社会・親子関係が変化して里親希望者が減少している。 新たな里親開拓とともに里親家庭のケアや交流にも力を入れてゆく」の方針が採択された。
 同協会は、事情があって親が養育出来ない子供を家庭に近い環境の中で育てようという目的で1961年に設立され、里親制度を広めてきた。 現在会員は約2400名。 大阪と神戸に事務所があり、毎年交代で総会を開催している。 【井出晋平】

毎日新聞社


1998/05/09 朝日新聞

スーパー置き去りの赤ん坊、原田選手にちなみ命名(98事件)/群馬
朝刊 74頁 群馬版 写図無 (全821字)

 生後まもない男児が、渋川市金井のスーパーで見つかったのは二月二十七日の午後 だった。
 男児は当時、身長約五〇センチで、体重約三〇〇〇グラム。クマとひよこの絵柄の ある白いベビー服を着て、白いバスタオルに包まれ、店内の身体障害者用の洋式トイ レの便座の上に、あおむけで置かれていた。体には、ちぎられたらしい「へその緒」 が残ったままだった。通報を受けた渋川署員がすぐに保護して同市内の病院に運んだ が、男児に特に異状はなかった。
 このトイレは、玄関から五メートルほど離れた人目につかない場所だ。ただ、トイ レの前にはゲームコーナーがあり、同コーナーに子どもがよく遊びに来る。
 同署は、「赤ん坊を置き去りにした母親は、自分が目撃されるのは困るが、赤ん坊 は早く見つかってほしいと願い、この場所を選んだのではないか」と分析する。
 男児は戸籍法により、置き去りにされたスーパーの住所(渋川市)を出生地とし、 登坂秀・渋川市長が名付け親になって、戸籍登録された。長野五輪直後だったため、 スキーのジャンプで活躍した原田雅彦選手にちなんだ名前がつけられた。原田選手の 競技ぶりから、苦境に立たされてもそれを跳ね返して幸せな人間に育ってもらいたい との願いをこめたという。
 男児は現在、乳児園で保護されている。大きな病気もなく、ミルクもたくさん飲み、 元気そのもので日々成長しているという。
 中央児童相談所によると、乳児園は二歳くらいまでの子どもを預かる施設で、それ 以後は別の施設に預かってもらうか、同相談所を通じて、里親に引き取ってもらう。
 同相談所は「選択肢はいくつかあるが、とにかく本当の母親が現れてくれるのを一 番願っています」と話す。
 同署や同相談所の話では、五月上旬までに、テレビなどの報道を見て「赤ん坊を引 き取りたい」という問い合わせが計約六十件はきているという。
 同署によると、赤ん坊の母親には刑法の「保護責任者遺棄」の疑いがあるが、母親 に関する有力な情報はない。

朝日新聞社


1998/04/29 毎日新聞

春の叙勲 「信愛学園」の指導員、上崎温子さん 勲章は里親さんたちに/神戸
地方版/兵庫 23頁 写図有 (全684字)

◆勲六等瑞宝章
 養護施設「信愛学園」の指導員、上崎温子さん(60)=神戸市灘区
 「仕事としてやってきたこと。 受章の感想といっても“福祉のために”、なんて大それたことも言いたくありませんし」とほほ笑む。 社会福祉法人「信愛学園」(神戸市東灘区)は、家庭の事情などで家族と離れて暮らす3〜18歳の子どもが入所している学園と、乳児院、保母養成機関から成る。 大学で心理学を学び、大学院に行くつもりだったが、心理学が生かせる、と当時の教授の紹介で同園へ。 「養護施設という言葉を知らなかったくらい」で、全く未知の世界。 園内を駆け回り、夢中で仕事をこなしてきた。 地域の人に同園を知ってもらいたい、と月1回、園の様子などを書いた機関紙を発行。 園生や職員への心理指導、保母の援助、カウンセラー的な役割も果たす。
 昔と比べ豊かになった分、子どもを置き去りにする、ということは減った。 だが、離婚や死別など入所の事情はさまざまだ。 子どもたちが里親ボランティアの家族と過ごして、帰ってきた時のうれしそうな表情は印象的だ。 「自分だけを見てくれる大人を求めているのだな」と感じるという。 「里親さんたちにこそ勲章を」と話す。
 「自分の親を知らないという事は、自分の中心がないような、いかんともしがたい悲しみだと思う」と上崎さん。 しかし、くじけずしっかりと人生を歩む子も多くみてきた。 「結局はその子自身の力なのです。 胸を張って生きなさい、と言うつもりもありません。 私は自然に子どもに寄り添っていたい、と思うだけです」と話す。 園を出て、ケーキ屋を開き成功した人ら、園生の現在の活躍ぶりを聞くのが喜びだ。 【岡村恵子】

毎日新聞社


1998/04/04 朝日新聞

施設の子に親の味 活動27年、育つ「ミニ里親会」 /愛知
朝刊 19頁 愛知版 写図有 (全1660字)

 学校が休みになっても親元に帰れない養護施設の子どもたちを、休み中だけ家庭で 世話をする「ミニ里親会」の活動が始まって二十七年になる。長年、決まった家庭で 過ごすうちに、施設では難しい家族の役割も身につく。施設の子どもが大人になって、 わが子も施設に入れるケースも少なくないともいわれる。短くても、長年決まった家 庭で過ごすことは大切だという。会は「休日里親」を募っている。

 「パパ、ママ。ただいま」。緑区の会社員谷崎敏裕さん(四七)宅に、同区内の養 護施設から四歳の女の子が帰ってきた。子どもに恵まれない谷崎夫妻は二年前、転勤 で名古屋に住むようになってから、彼女の休日里親をしている。
 「最初は不安がって、トイレの中までついてきた」と妻朋子さん(四二)。テーブ ルのミカンを見て、「これだれの」としきりに聞く。集団生活では常に物の所有者が はっきりしているからだ。食事の時には、「お台所のおばちゃん、ありがとう」。家 庭の食事も、炊事係のおばさんが作ると思っていたようだ。
 養護施設から通う幼稚園の運動会や父親参観にも谷崎さんは参加する。「私の顔を 見つけると、急に張りきる」。正月休みは、朋子さんの九州の実家に連れていった。 「おばあちゃん」の味も体験させたかったからだ。
 休日里親は、世話人の豊明市の元会社員橋詰四郎さん(七二)ら数人が「正月だけ でも家庭の味を」と、一九七一年に始めた。その後、春、夏、冬休み、連休、土、日 曜と期間が長くなった。現在は、二十七世帯の会員が県内六つの施設の子どもたち二 十数人の里親をしている。
 ふだんはおのおの活動しているが、年に一回は全員でお互いの体験を報告したり、 問題点を話し合ったりする。イモ掘りや潮干狩りなどの交流会やチャリティコンサー トを開き、会報も発行している。
 創設時からの会員で、二男一女の実子のいる港区の大学職員片岡満雄さん(六六)、 英子さん(六四)夫妻は十数人を引き受けてきた。みんなオムツの時期から施設を出 るまでの長いつきあい。今いる高校一年と中学三年の姉妹は姉が三歳、妹が二歳半の 時からだ。「正月は彼女たちにおせち料理の作り方や味を伝えたい」と二十七年間、 家族旅行をしたことがない。
 七八年から活動する昭和区の元会社員福井清さん(七〇)、典子さん(六一)夫妻 は五人を世話し、最初の女の子が結婚する時は親代わりも。
 瑞穂区の大学教授町田隆哉さん(六七)、玲子さん(六六)夫妻は長男(三六)が 高校卒業後、活動に参加。十八年間に二組の姉妹を預かった。小学三年と一年だった 最初の姉妹は二十六歳と二十四歳になり、姉の方は結婚して三児がある。「お盆と正 月には外孫が来る」と笑う。
 もう一組の姉妹も姉は高校を出て美容師として自活。高校二年生の妹は今も休日を 町田家で過ごす。「姑と実母の介護が重なった時期は大変だったが彼女たちは、おば あちゃんと呼んで手伝ってくれた」 子どものない春日井市の元会社員馬場勝幸さん (六五)、とみゑさん(五七)夫妻は九年前、二歳十カ月だった女の子の休日里親に。 小学六年生になる彼女は、休みに入るとすぐに馬場家に帰ってくる。「子育て経験が なくて戸惑ったが、いまはすっかり娘」
 休日だけの「里親」から毎日生活をともにする人もいる。豊明市の公務員上杉孝男 さん(五一)、けい子^さん(六二)夫妻は里親として接してきた二人の姉弟を施設 から引き取った。弟(一二)は小学入学時から。施設暮らしを選択していた姉(一五) も今春の高校入学を機に上杉家で生活を始めた。
 入所児を託している緑区の養護施設施設長三井真さんは「施設でどんなに家庭的に 接しても、家庭でしか身につかないこともある。続けて、特定の家庭で過ごすことに 意味がある」と、この活動に期待する。
 年会費千二百円。活動費は全額里親負担。連絡先は橋詰四郎さん(〇五六二―九二 ―五二五七)へ。

 【写真説明】
 高校生になる姉(後ろ姿)と中学1年の弟(左から2人目)の里親の上杉夫妻。休 日には実子の長男一家もやってきてにぎやかだ=豊明市で

朝日新聞社


1998/03/31  読売新聞 里親誤使用

JR運転ミス後絶たず 京阪神などでオーバーラン32件 この1年、例年の3倍
大阪朝刊 35頁 (全1007字)

 ◆停車駅通過は19件 “うっかり”が大半 若手指導を徹底

 京阪神近郊などのJR線で、電車の停車駅通過やホームの停止位置行き過ぎなどの運転ミスが後を絶たず、今年度だけで計三十二件に上っていることが三十日わかった。
例年のほぼ三倍のペース。 停車駅をそのまま通過してしまったケースも十九件あり、京阪神エリアだけで乗客計約二万一千六百人が影響を受けている。 若手運転士が基本を怠ったことによるミスが多かったことなどから、JR西日本は、ベテラン運転士が親代わりとなって若手を育てる「里親のような制度」(同社幹部)の導入を奨励するなど、お粗末ミス追放のための特別指導に乗り出す。

 駅を通り越し、後続列車が接近してきたなどの理由で後戻りできなかった「停車駅通過」は、昨年四、五月に東海道、片町線で計五件が集中発生。 七月に福知山線、九月は草津線、十月には山陽線でも起こり、今年二月には東海道線山崎駅で快速が、今月十五日には福知山線生瀬駅で普通電車がそれぞれ駅を通り過ぎて後退できなくなり、降車予定の乗客は次の停車駅から引き返すはめになった。

 後戻りでき、乗客の「積み残し」や「引き返し」を回避できた「停止位置誤り」は昨年十月に福知山、片町、東海道、山陽線で一気に四件発生。 今年一―三月にも四件相次ぐなど計十三件あった。

 オーバーランした運転士らは同社の調査に「一時的に通過駅と勘違いした」「一瞬、ほかの考えごとをしてしまった」などと説明。 京阪神エリアで起きた駅通過、停止位置誤りは計二十四件あり、十三件は普通電車を運転中で、完全なうっかりミスが大半を占めていることも判明した。

 同社は、運転士が緊張感や集中力をどう維持するかが課題とみて、ホームの停車位置付近に各支社の幹部を立たせ、運転席に同乗させるなどの方策のほか、とくに若手運転士の意識を高めるため、四十歳代後半から五十歳代のベテランが二十歳代の運転士数人を預かり、悩みごとの相談も含めて面倒を見る「里親制度」を各現場に奨励。 技術面では昨年末、JRグループで初めて運転実技競技会を開催し、向上心を高めさせるなどあの手この手の再発防止に躍起になっている。

 ◆“特効薬”なく…

 同社運輸部は「残念ながら特効薬は無い。 しかし、硬軟取り混ぜた指導を粘り強く続けることで、オーバーランを一件でも減らしたい」と話している。

図=オーバーランの件数と影響人数(主な線区別)

読売新聞社


1998/03/25 毎日新聞

家庭養護促進協会に愛の手キャンペーンの寄託金9万円贈る−−本社社会事業団/大阪
地方版/大阪 26頁 (全160字)

 毎日新聞大阪社会事業団は24日、家庭に恵まれない子供たちの里親探し運動を続けている社団法人「家庭養護促進協会大阪事務所」(天王寺区)に9万5598円を贈った。
 同協会に協力して毎日新聞の地域面に掲載している「あなたの愛の手を」キャンペーンに共鳴した読者らから同事業団に寄せられた寄託金で、同事務所は運営資金などに役立てる。

毎日新聞社


1998/03/21 中国新聞

県児童福祉審を社福審に統合へ 行政事務を効率化(島根県)
中国朝刊 島B (全260字)

 県児童福祉審議会(米田淳雄委員長)がこのほど開かれ、県社会福祉審議会に統合することを了承した。県は条例改正案を六月に開く県議会に提案し、可決されば八月一 日から審議会を統合する。
 障害の種別を超えた施策の推進や行政事務の効率的運営を進めるのがねらい。全国では、三十一府県が既に統合している。
 統合後は社会福祉審議会の児童福祉専門分科会に移行。有害図書などを審査する「健全育成審査」、児童福祉施設への入所措置や里親の認定などについて審議する「児 童処遇」、母子保健について調査・審議する「母子福祉」の三部会が置かれる。

中国新聞社


1998/03/21 毎日新聞

明石海峡大橋眺め共に歌おう 復興願い「海の音楽祭」 /兵庫
地方版/兵庫 26頁 (全530字)

 明石海峡大橋の景観を楽しみながら一緒に歌いましょう――。 明石大橋開通を記念し、震災復興を願うチャリティーコンサート「海の音楽祭」が28日午後2時から、大橋を一望できるロイヤルパレス(明石市大蔵中町24の12)で行われる。 入場無料。
 神戸ブリランテオペラ協会主催。 里親探しをしている家庭養護促進協会の「愛の手運動」に共感した同協会代表の中嶋常乃代表が、寄付を募るために15年前から阪神間で毎年2回続けているチャリティーコンサートを、架橋のお祝いと合わせて大規模に開催するもので、当日は愛の手運動のチャリティーボックスを会場に回し寄付を募る。
 コンサートは、プロの演奏・独唱・斉唱の後、参加者と一緒に歌う2部構成。 出演者は、こうべどうようの会会員▽中嶋さん(ソプラノ)▽門口千賀子・明石芸術家協会理事(同)▽武田省二・大阪音楽大教授(バリトン)▽大橋邦康・相愛大音学学部講師(ピアノ)▽京都市交響楽団チェロの高瀬恵理也さん▽中嶋将晴・明石芸術家協会代表(ホルン・演出)。 参加者と歌う曲は、うみ▽赤いくつ▽みかんの花咲く丘▽かもめの水兵さん▽われは海の子▽青い目の人形――など。
 電話予約で先着700人。 申し込みは神戸ブリランテオペラ協会(078・918・0967)まで。

毎日新聞社


1998/03/13  読売新聞 里親の映画

[映画]「グッド・ウィル・ハンティング―旅立ち」=米国 人生の真実突く会話
東京夕刊 15頁 写有 (全732字)

 病んだ現実社会の反映なのか、最近の映画では幼児期の悲惨な体験に長く苦しみ、心を病んだ人たちをよく目にする。 この映画もその一つだが、登場人物がここまで真剣に内面を見つめ、裸の自分に向き合おうとする作品は少ない。 米アカデミー賞で九部門にノミネートされた注目作だ。

 ウィル(マット・デイモン)は天才的な数学の素質に恵まれながらも進学せず、夜遊びやけんかに明け暮れていた。 だが、高名な数学者ランボー(ステラン・スカルスゲールド)に見いだされ、彼のもとで学び始める。

 ランボーは、過去をひた隠しにするウィルに精神分析の治療を受けさせる。 しかし、ウィルは固く心を閉ざし、逆に奇弁でやり込める始末。 困り果てたランボーは友人の分析医ショーン(ロビン・ウィリアムス)に相談する。 妻を亡くしたショーンは、ウィルが里親から虐待されたことを知り、同じ心の傷を持つ者として彼の心に少しずつ入り込んでいく。

 主人公を始め、登場人物の設定は極端で図式的ではあるが、決して現実離れした感を与えない。 というのも、彼らの言葉一つ一つが人生の真実を鋭く突き、生き生きとして人間味にあふれているからだ。 特にウィルとショーンが、やがて真情を吐露するまでの息詰まるような応酬は、この会話劇の白眉(はくび)だ。

 主演のデイモンは学生時代に書いた戯曲を基に、この映画の脚本を友人と共同で書き上げた。 長い時間をかけて練り上げた人物像だからこそ、感動も深い。 俳優だけでなく脚本家としても注目すべき新星だ。 ガス・バン・サント監督。 二時間七分。

(多葉田聡)

 ――有楽町・丸の内ピカデリー2などで上映中。
 写真=ウィル(マット・デイモン=左)はショーン(ロビン・ウィリアムス)に少しずつ心を開き始める
読売新聞社


1998/02/22 毎日新聞

3月、養子を育てたい人のための講座−−西宮市 /阪神
地方版/兵庫 29頁 (全326字)

 家庭を失った子どもたちに里親を求める活動を続けている社団法人「家庭養護促進協会」(今井鎮雄理事長)が3月7日と14日、西宮市総合福祉センター(同市染殿町8、JR西ノ宮駅か阪神西宮東口駅下車)で連続講座「養子を育てたい人のための講座」を開く。
 両日とも午後2時から同4時半まで。 1日目はビデオ「ドキュメンタリー親子むすび」の上映と懇談、2日目は養親の子育て体験談、制度・手続きの説明、受け入れ後の諸問題についての話し合いがある。
 定員は夫婦15組(1人でも可)。 受講料は資料代、お茶代を含め夫婦1組5000円、1人の場合は3000円。 問い合わせ、申し込みは神戸市中央区橘通3の4の1、神戸市総合福祉センター内、家庭養護促進協会(078・341・5046)へ。

毎日新聞社


1998/02/21 琉球新報

幸せですか/■36□/第3幕 大人たちへ/苦悩/本人のため思い施設へ/里親がぎりぎりの選択
琉球新報朝刊 28頁 社会 (全1028字)

 東正信さん(五十歳代)=仮名=は夫婦で育てた里子の琢也(中学生)を、施設に預けた。十年近くも共に歩んできた、息子との別れ。夜遊びや盗みといった問題行動が激しさを増し、「このままだと琢也にとって取り返しがつかなくなる」という決断からだった。
 不登校など琢也の心が揺らぎだしたのは、この一年ほどの間。「それまでは毎日、家庭生活もしっかりして逆に周囲から中学に入ると大変だよ、と゛助言゛されたくらい。学校の担任でさえそう心配はしていなかったのに…」と大きく息をついた。
 そばで、夫人の文代さんがまだ幼いころの息子を思い起こす。「私たちが受け入れた当初゛(身重の)お母さんは、赤ちゃんが生まれたら迎えにくるって゛と自分に言い聞かす ようにしょっちゅう話してました。そして゛いつ、来るのかなあ゛って」
 小学校の高学年になった琢也に、実母とやっと会える日が来た。なぜか出かけるのをためらう琢也を、「本当は会わせたくなかった」という文代さんが励まして、家から送り出 した。だが数年ぶりに再会した実母の反応が、琢也の「期待」を打ち砕く。
 「ずっと゛母親恋し゛だったのに。母親から一緒に住めないと言われたようで…」と文代さん。琢也が受けたショックに自分自身も肩を落とした。
 その出来事からしばらくして、今度は実父が突然、訪ねて来た。東さんは「何の連絡もなしに。琢也を引き取ろうとしたんだけど」と言い、ひと呼吸した。「(実父に)だめだとは 口にできなかった」
 琢也の実の両親は別れて暮らしている。東さんの目に映る実父はまだ、「大人」になりきれていない。琢也も実父をどこか拒んでいる。「託された子供を立派に育て、バトンを 渡す。実の親が引き取れる時期がきたら返してあげる」と里親の信念を持つ東さんは「引き取るにしても、よく時間をかけてください」と続けるのがやっとだった。
 東さんは言う。「琢也は敏感だ。二度も親に捨てられたと思ったのだろう」。琢也の゛揺らぎ゛と二つの出来事は時期が重なっていた。
 「育ての親」である自身の内側に「里親」の自分を明確にすえた、ぎりぎりの選択が施設入所だった。「でも分からない。どうしていいのかさっぱり。本当に難しい」と苦悩する。 だが、琢也とのきずなが切れたわけではない。「まだ里親(の自分)は続いている」。常に前向きな東さんの表情に戻った。(「幸せですか」取材班)

琉球新報社


1998/02/21 毎日新聞

[イベント]チャリティー映画会「グース(日本語吹き替え版)」
大阪夕刊 13頁 特集 (全129字)

 3月15日13時半開演、神戸市中央区楠町4、神戸文化ホール。 キャロル・バラード監督作品、出演はジェフ・ダニエルズ、アンナ・パキンほか。 前売り券900円。 収益は里親運動をすすめる「愛の手運動」に充てる。 問い合わせは家庭養護促進協会(078・341・5046)。

毎日新聞社


1998/02/09 毎日新聞

[支局長からの手紙]豊島真介・高松支局長 オークション /香川
地方版/香川 (全1175字)

 毎日新聞には誇らしい事業がたくさんあります。 大阪本社社会部などが中心になって支援している「愛の手運動」もその一つ。 家庭に恵まれないで施設で暮らす子供たちに里親を紹介して家庭を与えるというのが、この運動の趣旨です。 今は里親希望者が減り、養子に紹介するケースがほとんどです。
 毎日新聞の大阪面などに、施設で暮らす子供、幼い子がほとんどですが、写真入りで、子供の特徴、ミルクをよく飲んで元気だとか、少しヤンチャだけどえくぼが可愛いとかの紹介文を付けて、里親を募集します。 1962年に神戸面でスタートし、64年に大阪面でも紹介を始めました。 この記事のタイトルが「あなたの愛の手を」なのです。 社団法人・家 庭養護促進協会がこの運動を進めていますが、民間のボランティア団体ですから資金は乏しい。 大阪府、市などからの補助金や、民間からの寄付金で職員の給料は細々払えてもボーナスまでは手が回りません。 そこで社会部は毎年年末に社内でチャリティーオークションを開いて売上金を協会に寄付、これが職員のボーナスになっています。 毎年10 0万円を超す売り上げがあります。 オークションに出す商品は社会部員が自分の持ち場を回って集めます。 企業の販促品の余りなどがほとんどです。 これにヒントを得て、3月14日に高松市の「丸亀町Let’s」で、不登校の子供たちのフリースクール「ヒューマン・ハーバー」支援チャリティーオークションを開くことにしました。 私の社会部当時の経験でも、商品集めには苦労が付き物です。
 私は79年に社会部に異動し、すぐ大阪市内の港方面の警察署回りを担当しました。 工場地帯とか大阪港が守備範囲。 オークションの大事さは分かっていても、持ち場に大企業も大きな商店街もありませんし、商品の入手には困り果てました。 オークション当日の昼になっても何もなし。 頭を抱えながらバスに乗っていて、ふと窓の外のストリップ劇場 の看板が目につきました。 これだとひらめきました。 劇場の支配人を訪ねて愛の手運動を説明、ついてはオークションの商品に踊り子さんのブロマイドと劇場の入場券を提供して、と持ちかけたのです。 支配人は「ヨッシャ」と胸をたたきました。 「家庭に恵まれなかった踊り子は多い。 わけを話したら、必ず協力します」というのです。 その日もらった商品は踊り子さんの口紅がべったり付いたブロマイド20枚、無料入場券5枚、さらに踊り子さんの派手な衣装もありました。 この年のオークションはおかげで大変な盛り上がりようでした。
 ハーバーのオークションでも支局員が商品入手に走り回ります。 どうか、読者の皆さんもご協力ください。 本社運動部の同僚に声をかけて、プロ野球のイチロー選手のサインボールも入手の予定です。 このほかにどんな目玉商品が登場するか。 期待半分、恐怖半分で当日を待ちます。 【豊島真介・高松支局長】

毎日新聞社


1998/02/20 毎日新聞

里親になりませんか 家庭養護促進協会が3月、西宮市などで講座開く/神戸
地方版/兵庫 27頁 (全373字)

 家庭を失った子どもたちに里親を求める活動を続けている社団法人「家庭養護促進協会」(今井鎮雄理事長)が3月7日(土)と14日(土)、西宮市総合福祉センター(西宮市 染殿町8、JR西ノ宮駅か阪神西宮東口駅下車)で連続講座「養子を育てたい人のための講座」を開く。
  両日とも午後2時から同4時半まで。 第1日目はビデオ「ドキュメンタリー親子むすび」の上映と懇談、第2日目は養親の子育て体験談、制度・手続きの説明、受け入れ後の諸問題についての話し合いがある。
 定員は夫婦15組(1人でも可)。 受講料は資料代、お茶代を含め夫婦1組5000円、1人の場合は3000円。 問い合わせ、申し込みは神戸市中央区橘通3の4の1、神戸市総合福祉センター内、家庭養護促進協会(078・341・5046)へ。
 3月21日(土)と28日(土)には、姫路市自治福祉会館でも同様の講座がある。

毎日新聞社



1998/02/05 毎日新聞

[女の下克上]難民孤児を養子に /愛知
地方版/愛知 写図有 (全819字)

 結婚していたとき、子どもを産みたいとは思わなかった。 妊娠から出産、乳幼児期の育児にかかる時間を考えると、自分のやりたいこと(仕事、趣味、旅行など)の足を引っ張るだけとしか思えなかったのだ。 でも、子どもを育ててみたいという好奇心はあった。 だから自分に大人としての自覚ができたら、養子をもらうのもいいなと考えていた。
 これを言うと、友だち全員が「自分で産んだ子じゃなきゃイヤ」と反論したが、別に他人が産んだ子どもでも、子どもは子ども、おんなじじゃーん、「生みの親より育ての親」っていうしね、などと思っていた。
 最近は子どもがほしくても、養育費や教育費が不安で子どもを作らない夫婦が多いという。 偉い人は「将来の日本にとって少子化は困ったことである」と言いながら、具体案を打ち出そうとしない。
 そこで提案。 そんなに少子化を憂えるなら、アメリカみたいに養子制度の枠を緩和して、外国の子どもでも受け入れられるようなシステムにしたら?
 そして個人資産をいっぱい持っている人に、難民の孤児を10人でも20人でも育ててもらう(日本人の純血が……なんて言わないで下さいね。 国技の相撲だって、いーっぱい外国から力士を連れてきてるじゃありませんか)。
 理想は、自分たちの子どもが巣立って、身体的にも資産的にもまだまだ体力のある老夫婦。 なんといっても日本では1200兆円の個人金融資産の6、7割以上を老人が抱え込んでいるそうだから。 もちろん、老後の面倒をみてもらえるなら……なんて不純な動機はダメ。 無償でやってもらう。 わたしたちの世代と違って年金は保障されてるんだから、下手に株なんかに手を出して散財するより、里親になって子どもを育てた方が100倍も「世のため人のため」になるじゃありませんか。 育児という生きがいも持ってもらえて、高齢化対策にもなる。 人道的な国際貢献にもなって、一石三鳥。 我ながら、なーんてグッドアイデアなんでしょ。 (フリーライター、蒲生あつ子=タイトルも)

毎日新聞社


1998/02/01 琉球新報

児童虐待 年々増加する相談件数/命奪われる危険性も/7割が小中学生/最も多い実父の虐待/あす 昼、シンポ/パレット市民劇場/県児童家庭課
琉球新報朝刊 25頁 社会 (全1027字)

 年々増加している児童虐待の相談件数。那覇とコザの両児童相談所には本年度も多くの相談が寄せられており、過去最高だった前年度の六十四件を「上回るのは確実だ」 (県児童家庭課)という。相談内容をみると身体的暴行が半数を占めているが、性的暴行、養育の放棄、心理的な虐待など深刻な事例が相次いでいる。同課では「児童虐待は 子どもの心や体に深い傷を残すだけでなく、発見が遅れると命が奪われる危険性もある」として、社会全体で同問題への理解を深める必要性を説いている。県は二日午後一時 半、那覇市のパレット市民劇場で「子ども虐待シンポジウム」(入場無料)を開催する。
 県内の児童虐待の相談件数は一九九三年十二件、九四年三十七件、九五年五十一件、九六年六十四件と年々増加している。九六年の相談内容をみると身体的暴行が三 十三件と最も多く、性的暴行十五件、養育の放棄や怠慢十四件、言葉などによる心理的虐待一件、学校に行かせない事例一件となっている。
 被害を受けた子どもの世代では小学生二十六人、中学生二十一人と小中学生が全体の七割を占めている。ゼロから三歳未満が四人、三歳から学齢児童が四人、高校生な どが九人となっている。
 主な虐待者は実の父親が三十八件と最も多く、実の母親十二件、そのほか十一件、それ以外の父親二件、それ以外の母親一件と続く。相談処理をみると在宅による面接指 導二十八件、親ではなく親類に預けるなどの措置が二十二件、養護施設入所が十二件、里親委託が二件となっている。
 事例をみると父親から数年間にわたって性的暴行を受けていた女児の場合は「本人が幼かったため、父親からこうした行為を受けるのは当たり前だと思っていた。中学生にな って異常なことだと知り、家出して事態が表面化した」(同課)という。
 また養育の放棄で長年にわたって十分な食事が与えられず、成長障害を起こしている児童もいるという。同課では「児童虐待は家庭の密室の中で行われるので、なかなか表 面化しにくい。多くの人に関心を持ってほしい」として、現在、児童虐待の手引集の作製を進めている。
 二日に開かれる「シンポジウムでは十三年にわたって児童虐待の取材を続け、「凍りついた瞳」などの著書がある椎名篤子氏が基調講演を行うほか、県内で児童虐待に取り 組む関係者による討論会が開かれる。

琉球新報社


1998/01/10 毎日新聞

今宮の十日戎で愛の福あめ売り−−家庭養護促進協会/大阪
地方版/大阪 19頁 写図有 (全215字)

 家庭に恵まれない子どもたちの里親探し運動を続けている家庭養護促進協会(天王寺区、06・762・5239)の福あめ売り=写真=が9日、今宮戎神社参道で店開きした。 「十日戎」の参拝客でにぎわっている。
 協会の活動資金をまかなうための恒例行事。 神社南裏と東参道の2軒で、里親らのボランティアと協会職員が交代で店先に立ち、200〜500円のあめを売りさばいた。 11日まで、午前9時開店。 10日は真夜中まで、11日は売り切れまで。  【山手秀之】

毎日新聞社


1998/01/05 朝日新聞

家族崩壊 心のぬくもり求めて(瞳はみつめる:1) /広島
朝刊 82頁 広島版 写図有 (全1900字)

 アキコ(一五)は中学三年生。幼いころ、家では両親のけんかが絶えなかった。母 はアキコと五歳年下の弟を連れて家を出た。母子寮で三人の生活が始まった。

 ○三食食べられる
 母親は病弱だった。働くこともなく、家事もしなかった。三度の食事も取れないこ とが多く、アキコは弟と母子寮の女性職員の自宅で、夕食をごちそうになるなどその 日その日を過ごした。
 母親とは、よくけんかした。母子寮を飛び出し、父親の元に行ったこともあった。 しかし、そこにも居場所はなかった。再び母子寮に戻ったが、生活は変わらなかった。 ある日、母子寮に出入りする民生委員の家に駆け込んだ。ただ、泣きじゃくった。
 「これはいけん」
 みかねた民生委員が児童相談所の一時保護所に預けた。相談所の紹介で、弟と一緒 に廿日市市地御前の児童養護施設「光の園摂理の家」に入った。アキコ八歳、弟三歳。 小学二年生の終わりのことだった。
 「三人で生活していたときは、洗濯も食事も弟の面倒も、みんな私がした。一生懸 命に『いい子』を演じていた。ただただ、追いかけられている感じで、プレッシャー に押しつぶされそうだった。時々爆発して、おかあさんとけんかした」
 光の園での生活は、間もなく七年になる。両親は面会に来ない。集団生活について は「一年中、修学旅行」と表現する。多くの人に囲まれた生活をしていると、ほっと する。「学校に通えるし、三食きちんと食べられるのもいい」
 今、一番ほしいのはPHSとポケットベルと「彼氏」。早い門限と化粧禁止が不満 という。月三千円のこづかいの金額を上げてほしいとも思っている。
 光の園では、「再び一緒に暮らしたい」という親の意向で、実家に帰っていく子ど もも多い。何度もここから出ていく友だちを見送った。そんなときは、「家に帰りた いな」と思ったりする。

 ○けんかが絶えず
 高校三年生のユキ(一八)は、光の園に入って七年になる。正月、大阪府池田市の 里親宅で鍋(なべ)を囲んだ。
 里親に初めて会ったのは、三年ほど前。光の園にボランティアで来ていた夫婦だ。 盆と正月、里親の家に遊びに行くようになった。子どもや孫が集まると、十四人の大 家族。その中に放り込まれ、面食らった。「なに、このうるさい家族」と、最初は思 った。
 鍋を家族で囲んだことは、それまでなかった。里親宅では、家事も担当する。家族 の一人として扱われている、という実感がある。「今は、里親からの愛情を感じる」
 広島市西区で三人の妹とともに住む両親の元には、もう何年も帰省していない。 「母親は私を嫌っている。妹のことを愛している」と、今でも思っている。
 小学校三年生のころのことだ。色黒で背が低いというだけで、いじめられた。学校 に行かなくなった。母親とけんかが絶えず、家出もした。
 最初は味方だった父親も、やがて母親の肩を持つようになった。「こんなとこにい るくらいなら、野たれ死んだ方がましだ」。そう思った。
 「施設に行け」「行きます」。母親とのけんかのとき、売り言葉に買い言葉で施設 に入ることを決意した。小学校六年生に進級するのを直前に控えた春だった。
 施設に入った後、盆に実家に帰省した。そのとき、「あんたが原因で、妹がいじめ られるんだ」。母親に殴られた。担任が「あの子(ユキ)は施設に行った」と級友に 話したことで、学校中に知れ渡ったのが原因だと、あとで知った。
 「もう家に帰りたくない」。だれも信じられなくなっていた。
 「最近は落ち着いてきた」とユキは言う。
 高校卒業後は、大阪の美容院で見習いとして働きながら、美容師を目指す。里親の 紹介だ。「将来は、ファッションデザイナーと組んで、店を持ちたい」と、夢を語る。
 「結婚? 早めにしたいな。家族が仲良く一緒に暮らす幸せな家庭をつくりたい」

 ○親子関係修復を
 光の園の田中輝義園長は話す。
 「家庭の中で自分の存在さえ否定され、深く傷ついた子どもが多い。養護施設の役 割はこれまで、社会で自立するのを助けることだった。今では、親子関係の修復を助 け、子どもが家庭に帰れるための支援も必要になった」(林尚行)

 <光の園摂理の家> 一九四七年、原爆孤児の養護施設として開所。今年で設立五 十一年目を迎える。社会の変化を受けて、今や「親のいる子」がほとんど。両親の離 婚や家庭内暴力などが、家庭崩壊の主な理由だ。施設を取り巻く状況は厳しい。光の 園では、子ども六人に対して、職員は一人の割合。家庭崩壊で心の傷を負った子ども のケアに追われる職員の負担は大きい。

 【写真説明】
 「光の園摂理の家」の夕食風景。小さい子から中高生までそろって食事をとる=廿 日市市地御前で

朝日新聞社


1998/01/01 毎日新聞

[新教育の森]わが家の教育方針/1 牡鹿・寄磯地区(その1)/宮城
地方版/宮城 写図有 (全2025字)

◇牡鹿・寄磯地区にみる風習−−「子はみんなの宝」と愛情を注ぐ
 子供の数が少なくなり、経済的に豊かになっているのに「家庭の教育力が落ちた」との指摘が相次いでいる。 特に、しつけや生活体験面で子供に力がついていないとされる。 背景に「父親の不在」や「かつてはよその子も同じに大人がしかった地域社会の変質」などがあると言われるのが常のこと。 それでは家庭教育の今はどうなっていて、どうすれ ばよいのだろうか。 県内のさまざまな家を訪ね、「我が家の教育方針」を聞いた。 【仙台支局・新教育の森取材班】

◇「泥棒だけはゆるさない」 体罰加え、しかりつける−−鈴木家
 「子は宝。 里子であっても子供に対する愛情は実子と同じ」。 牡鹿町寄磯浜の鈴木慶市さん(67)は正月の準備も一息ついた昨年末、鈴木家に2人いる里子=里親制度参照=の1人、星勇(ほしいさむ)君(17)に肩をもんでもらいながら、目を細めた。
 鈴木家の実子は1男3女。 将来、漁船漁業を継ぐ長男の片腕になってもらえればと、里親になることを決め、3歳だった金子正明さん(26)を預かった。

◇「子育てを苦と感じない」
 妻しのぶさん(63)は「13歳の長女を頭に4人の子供と幼児の正明を背負い、夫の浜仕事の手伝いと家事と子育てに追われたが、苦労とは感じなかった」と子供たちの成長ぶりを楽しそうに語る。
 勇君は児童相談所の要請でやはり3歳の時に預かった。 正明さんを含め5人の子供たちとは年齢的に差があったため、6人目の末っ子として兄弟たちがうらやむ可愛がりようだ。
 しかし、鈴木家の子供のしつけは実子も里子も分け隔てなく厳しい。 悪い事をした時はたたくなど、体罰もある。 末っ子として甘やかされてきた勇君も例外ではない。 特に、鈴木家の教育方針である「泥棒だけは許さない」を破ると大変だ。
 勇君が小学5年の時、近所の友達数人と地域の数カ所の神社からさい銭を盗み、慶市さんに大目玉を食った。 慶市さんは、お金を盗むことの罪の深さを切々と言い聞かせ、体罰を加えながら厳しくしかった。 勇君はこの時以来、人のものに手をつけるようなことはなくなったという。

◇実子も里子も正月は勢ぞろい
 寄磯地区は、江戸時代から里子の受け入れが盛んで、多い時は30人を超す里子があった。 このため、学校や地域でも「あの子は里子」と後ろ指をさすような人はいない。 里子たちは幼いころから周囲からも実子扱いされ、伸び伸びと育ってきた。 勇君も、中学時代の同級生から高校の修学旅行の土産が届けられるほど、地域の人気者だ。
 里子を預かるのは、多くが男の働き手のない家。 こうした家では養子縁組したり、別家として独立させて家業を継承してもらう。 そのほかの里子はおおむね高校卒業と同時に里親の元を離れ、社会人として独立している。 もっとも、なかには「古里」が恋しいのか一度就職しても「親や兄弟と一緒に働きたい」と里親の元に戻る里子もいるという。
 鈴木さん方では、同居している正明さんには、長男の片腕となって働いてもらえるよう別家として独立してもらい、高校受験に失敗した勇君には就職してもらいたいと考えている。
 しかし勇君は「まだ当分家にいたい」と里親の元を離れる気持ちはないようだ。 アワビ漁などの家の手伝いをし、地域の青年実業団に所属。 12月中旬から毎晩、地域に古くから伝わる正月の伝統行事「獅子舞」の練習に汗を流している。
 歌手の鳥羽一郎の大ファンで「将来は歌手になりたい」という勇君。 「気持ちは幼いが兄弟の中で一番素直に育った。 本人の意思は尊重してやりたいが…」と、しのぶさんは末っ子の将来をちょっぴり心配そう。
 人口500人足らずの寄磯には正月になると、浜を離れた兄弟や里子たちが一斉に里帰りする。 鈴木家でも兄弟らが勢ぞろいして新年を祝い、再会の一時を楽しんでいる。 【鈴木家取材・石川忠雄】

◇里子の習慣、江戸期から−−牡鹿町
 牡鹿町は太平洋に突き出た牡鹿半島の突端部に位置し、金華山などの島も含む。 人口は5580人(1997年7月1日現在)。
 町の面積の8割以上は山林で、水田や畑地はわずか。 海岸はリアス式の典型。 大小の湾が入り組んだ複雑な地形で、ホヤなどの養殖業やアワビ採取、イサダなどの沿岸漁 業が盛ん。 産業別でも水産業従事者が半数近くを占める漁業のまち。 マグロやサンマなどの大型漁船乗組員の人材供給地でもある。
 町を代表する鮎川港からは、最盛期の1950年代には南氷洋に捕鯨船団が出たといい、同港は「鯨の港」として繁栄を誇った。 名残として、町営の博物館が観光客を楽しませているほか、盆と正月の2回、調査捕鯨で取った鯨の肉が町内で安価に配布されている。
 一方、牡鹿半島と里子の関係は古いとされ、社会福祉協議会の関係者の中には「土地の人に聞くと、江戸時代から県北の農家の二男らを預かっていたようだ」と指摘する人もいる。 【岩崎誠】

■写真説明 写真は伊達家の家紋の「竹に雀」
■写真説明 育ての親、鈴木慶市さんの肩をもむ星勇君

毎日新聞社


1998/01/01 毎日新聞

[新教育の森]わが家の教育方針/1 牡鹿・寄磯地区(その2止) /宮城
地方版/宮城 写図有 (全2551字)

◇よくかみくだいて、物事の善しあしを話して聞かせる−−菊地家

◇「手がかかったが一番いい子に」
 ゴールデンウイークに入った1996年4月末。 村田町の温泉宿に宮城県里親連合会会長、菊地吉(よろし)さん(76)の一家が集合した。 吉さんと妻つねよさん(73)の金婚を祝うために子供たちがセットした。 吉さんは、ほろ酔い加減の家族をとらえたその時の集合写真を見ながら、「ありがたいことだった」と感慨深げに話した。 金婚祝いは、2人目の里子として中学に入る時に菊地家に預けられた星健一さん(32)がその年(96年)の正月、集まった家族の前で言い出した。 「お父さんいつ結婚したの。 もう50年? じゃあ、兄ちゃん、お祝いしてやっぺ」。 健一さんが弾んだ声で持ち掛けた。
   ◇  ◇
 菊地さん夫婦の実子は年の順に上から3人が女で4人目が男という、1男3女。 これに里子の西岡通さん(38)と星さんが加わった。 「女ばかりなので男の兄弟が欲しい」と常々言っていた長男、吉昭さん(46)の願いを吉さんが聞いた。 西岡さんが3歳の時に仙台の施設から丸森町の自宅に引き取られてきた。
 里子が預けられる場合、通さんのように物心がつかない時か、遅くても小学校に入る前が多い。 学校に入って人格が形成され始めた子供は、「育ての親」になじみにくいからだ。
 しかし、健一さんは母が早世し、父親が蒸発するなどの家庭の事情から小学校を卒業した時点で行き場を失い、仙台の中央児童相談所の計らいで菊地さん宅に預けられることになった。 まさに12歳。 吉さんは「実子でも思うように育てられないのに、反抗期に入るところで引き取るのは正直言って自信がなかった」と振り返る。
 「お父さん」「お母さん」と呼ばせるのに半年かかった。 朝、吉さんが庭に隠れる。 そこへ「『お父さんご飯だよ』と呼んできて」と妻つねよさんが星さんに頼むという工夫を重ね、少しずつ「お父さん」と言えるようになった。
 比較的おとなしい子供だった健一さんの態度が高校に入って変わってくる。 成績が落ち、夜に外出するようになった。 学校には遅刻をし、部活に出ない。 学校が認めていないオートバイの免許を「アルバイトをして取る」と言って聞かなくなったところで、吉さんは夕食後の居間で健一さんと話し合おうとした。 菊地家の教育方針は「よくかみくだいて物事の善しあしを話して聞かせる」だ。 しかし、健一さんは無言。

◇「不満があるなら個条書きに」
 「そんなに不満があるなら個条書きにして出せ」と吉さんが言った。 その翌朝、健一さんが「何かにつけ無責任と言われるのが腹立つ」など13点の不満を書いて出してきた。
 その晩、13点について親子で話し合った。 吉さんが「自分も反省すべき点は直すが、校則を破るオートバイは認められない。 どうするか」と聞いた。
 健一さんは「高校をやめて就職する」と答えた。 数日後には「規則ばかりあって自由がない。 義務教育でもない」などとした「退学理由」なる手紙を吉さんに渡した。
 そこで吉さんは「一刻も早く学校をやめろ」と迫り、「皆が法律を守るから社会が成り立っているのは、原付きバイクに乗っているお前なら分かるはずだ。 皆が車を左側に走らせるから事故が起きないんだ」と付け加えた。
 さらに数日たった夕食後、健一さんが吉さんの前で涙を流して「学校に通わせてください」と言って和解した。 無事卒業し、陸上自衛隊に入隊した。 初めてのボーナスは菊地さん夫婦へのプレゼントに使った。
   ◇  ◇ 
◇離婚歴ある女性を入籍
 健一さんは97年5月、付き合っていた女性と入籍した。 女性には離婚歴と男の子があった。 その時、健一さんの子供も身ごもっていた。 入籍前、健一さんは吉さんに「どちらの子供も我が子のように育てるから認めてくれ」と話した。 吉さんは祝福した。 「健一なら子供の気持ちを分かってやれる」
 つねよさんは「いちばん手がかかったけど、健一は一番いい子になった」と語る。 その顔は末っ子を可愛がる母親の思いで満ち、実子と里子の分け隔てはなかった。 【菊地家取材・岩崎誠】

◇最近、著しい児童数低下−−里親制度
 保護者がいなかったり、家庭崩壊・幼児虐待などで保護者に育てさせるのが不適当と認められた子供の養育を、都道府県知事が適当と認めた人(里親)に児童相談所が委託する制度。 恵まれない子供のための施策の一つとして1948年、児童福祉法の施行とともに発足した。
 里親の希望者は居住地の県福祉事務所に登録を申し込み、児童相談所が申請者の家庭が子供を預けるのに適当かどうかを調査。 調査結果を地方社会福祉審議会が審議し、報告を受けた知事が認定すれば、里親として登録される。
 児童を里親に委託する権限を持つ児童相談所は、登録された里親と、乳児院や養護施設などにいる家庭に恵まれない子供との適合性を判断し、委託する。
 里親には月額4万7640円の一般生活費や学校教育費(中学生で月額4150円)などが公的に支給されている。
 里子になった場合、縁組と同時に姓が同じになる養子と違い、姓を変えず本名をそのまま名乗ることになり、一家族の中に里子の数だけ姓が増えることになる。
 登録里親、委託児童の数は50年代後半から60年代前半にピークを迎え、ともに減少しているが、少子化社会を反映し、登録里親に対する子供の数が減る傾向となっている。
 厚生省によると、委託児童数が最も多かったのは58年度末の9489人。 その後10年余り4729人(70年度末)に半減。 さらに減少が続き、96年9月末では2280人だった。 登録里親数は62年度末に1万9275人で最高を記録。 その後15年かけて半減した(77年度末、9714人)以降は、減り方が緩やかになり、96年9月末で8093人となっていた。
 県内でも減少傾向は同じ。 97年3月末で登録里親133人、委託児童29人だった。 93年3月末の登録里親160人、委託児童57人と比べ、特に児童数の低下が著しい。 登録しても、なかなか子供を預かれない里親希望者からは「家庭に恵まれない児童が少ないことは望ましいことですが……」とため息が漏れている。 【岩崎誠】
 (この記事には図「菊地夫婦の金婚式祝いでの記念写真」があります)
■写真説明 菊地夫婦の金婚式祝いに集まった家族=村田町で1996年4月

毎日新聞社



1998/01/01 毎日新聞

[家族の伝言]/1 段ボールの向こう側 お父さん、やり直すよ
東京朝刊 31頁 社会 写図有 (全2414字)

<親と子のパスワード>
◇娘に堂々会いたい/ぬくもりが欲しい/ホームレスの誓い
 時代が内向きになったとき、人は「家族」に回帰する。 そこに、確かに信じられるものを求めるからだ。 会社が揺らぎ、世相が混迷する中で明けた1998年も、そんな風が吹きそうだ。 しかし、気が付くと、安らぎの場所だったはずの私たちの「家族」の姿までが、いま、ぼやけ、かすんで見えはしないだろうか。 親から子へ、子から孫へと紡いできた絆(きずな)は、幻影だったのか。 記者たちが、自らの生き方を重ね合わせて、家族の「現場」を歩いた。 最初に、父や母の話から始めたい。

 「娘のこと、頼むよ」。 別れ際に私の肩を揺すって訴えた、あの男との約束を果たさなければならない。 年の瀬の寒い日、私は憂うつな気持ちで東京・下町の一軒家の前に立った。 意を決して玄関先に歩み寄る。 郵便受けの家族表示に確かに「娘」の名があった。
 ◇  ◇
 男に出会ったのは新宿駅西口だった。 「新築」4日目というハコから声を掛けてきた。 「娘を捜してくれないか」と言った。
 数日前から私はホームレスが集まる「段ボール村」で取材を続けていた。 段ボール1枚の仕切りだけで世間と絶縁したようにみえる彼らに、家族や仕事の話を聞きたいと思ったからだ。
 44歳の男には離婚した妻との間に一人娘がいた。 もう25歳になる。 幼時の面影しか知らないが、男は娘がどこに住み、どんな姓か、おぼろげに知っていた。 自分で捜して会いに行くよう促す私に男は目を伏せた。
 「この姿だけは見せたくないよ。 『パパだよ』って言う資格がない」
 くすんだジャンパーにペンキに汚れたズボン。 「娘の写真をハコの中に張って見てたら、少しハリも出てくんだろうなあ」。 ひげ面が夜のビル群を見上げた。
 家路を急ぐ会社員の革靴。 ショッピングバッグを提げた女性のハイヒール。 無数の靴がうずくまる私たちを通り過ぎて行く。 舗道の冷たさがしりから全身に上る。 私は同じ姿勢でホームレスたちと話し込み、腰痛が続いていた。
 男は半生を語り始めた。
 ◇  ◇
 炭鉱が閉山した北海道の町に生まれた。 事情が分からぬまま親から手放され、幼時には養護施設にいた。 何度も里子に出され「名字を五つ持った」と男は言う。
 中学を出ると最初の里親を頼り上京、バーを任された。 だが数百万円の借金でつぶれ、生活が荒れ始める。 そのころ結婚した5歳上の妻との間に娘が生まれたが、10代の父に家族を顧みる気はない。 離婚。 妻は娘を連れ再婚した。
 日当払いの仕事を転々としていたある日、東京の雑踏で別れた妻子と偶然顔を合わせた。 立ち話の間、3歳の娘が無言で見上げていた。 「パパだよ」と切り出せずに去りかけ た時、娘は泣いた。 父と感じ取ったのかもしれない。 その姿に男は自分の少年期を重ねた。
 幼い日、男は実の母を捜した記憶がある。 最初の里親の元を飛び出し、上野から無賃乗車で3日かけて故郷に着いた。 母と同じ姓の家を訪ね歩くうち、1人だけ模型飛行機を 買い与えてくれた女性がいた。 プロペラを回し「こうやってブーンって飛ぶんだよ」。 あの言葉を忘れない。 「もしかしたら、あれがおふくろなのか」。 再び会えなかったが、思いは募った。
 捨てた親を恋しがった自分なのに「まともな親」になれなかった。 薬物に手を出し、警察ざたを繰り返し、いつしか路上に暮らすようになった。
 ◇  ◇
 男がふと黙りこくった。 「……こんなこと、だれにも打ち明けられない。 知れたら、また娘と会う日が遠ざかってしまう……。 だけど、ざんげしなくちゃならない」。 またしばらく黙り、唇を震わせて言った。
 「放火で家を燃やしちゃったんだ」
 昨年10月、男は都内の無人の工場にライターで火を放った。 その日は日当払いの仕事が回ってきたのだが、条件が折り合わず、すっぽかした。 歩くうち、街角から帰宅を急ぐ子供たちや一家だんらんの声が漏れ聞こえた。 「仕事にあぶれ、家族も失った身がのろわしかった。 ムシャクシャした」と男は言う。
 「警察に自首したい。 あんた、一緒に来てくれ」
 12月7日深夜。 警察に私は同行した。 供述は裏付けられ、男は逮捕された。 思いもかけぬ成り行きに、私はぼうぜんとした。
 娘や母への思いを口にするうち男は「やり直そう」と考えた。 警察に行く道すがら、男は自分の人生をボートにたとえた。 「オールを必死で漕(こ)いでも、後ろ向きで進む方向が見えない。 思ってもいない場所にたどり着くんだ」
 そして言った。 「娘と会う時は、ちゃんとした格好で会いたい」
 ホームレス支援団体が出す「新宿ダンボール村通信」に読み人知らずの「路上川柳」が並ぶ。
<わが子見て あわててにげる ホームレス>……。 私が「村」で会った元板前(54)は「支えは大阪にいる娘だ」と言った。 元オウム信者という青年(28)は「母親を自殺に追いやった」と悩む。 そこに見えたのは肉親への純粋で焦がれるような思いだった。
 家路を常に思いながら、そこへ足を踏み出せなくなった男たち。 「家族」「家庭」と最も無縁のところにあると映る人々が、その重みをだれよりも知る。
 男の話を頼りに探し当てた家の前で私は自問自答を繰り返した。 「約束」とはいえ、記憶のかなたの父の消息を、見知らぬ私から聞いて娘はどんなに動揺するだろう。 郵便受けには今の父母姉妹の名も並び、そこに全く別の家族の営みがあることを語る。 そのだんらんを思い、なぜか私の2歳の息子の面影もよぎった。
 私は立ち尽くしたまま、ついに呼び鈴を押すことができなかった。 【岩崎信道・35歳】=つづく
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1998/01/01  読売新聞 里親家庭

[やぁ兄弟姉妹](1)戸籍上は他人でも会えば打ち解ける(連載)
東京朝刊 32頁 写有 (全2152字)

 ◆里親制度で家に来た“妹” 反発の日々…今は思い出

 「きょうだい」って不思議だ。 大げんかをしていたかと思えば、もう仲良く遊んでいる。 ひっついたり、反発しあったりとまるで磁石のよう。 そんな兄弟姉妹がどの家にもたくさんいて、台風のようだった日々も、もう遠い昔のこと。 少子化が進む現代は、人付き合いの苦手な子供たちの姿も見え隠れする。 そうした時代にいま一度、様々な「きょうだい」に会ってみたくなった。

 自分より二つ年下という「妹」は、緊張した顔つきで目の前に立っていた。 「ぶさいくな顔だなあ」とまず思った。
 この子が私の妹になるのか。 膨らんでいた期待は、みるみるしぼんでいく。 私は「妹」にあこがれていたんだぞ。 それに背も小さいじゃないか――。
 だが、妹の方も、硬い表情の「姉」を見ながら思っていた。 「大きくて太ってて、かわいくない」。 この人が私のお姉ちゃんなのか、嫌だなあ――。

 高野由三子さん(32)は思わず言っていた。 「へえー、順ちゃんも、あの日、私のことをそんな風に見ていたんだ!」
 こたつの上で、二人の笑い声がはじける。 立川市にある実家で、由三子さんと鈴木順子さん(29)の、二人が初めて出会った日の打ち明け話が進む。 あの日からもう二十一年。 甘酸っぱい思い出の一つひとつも、今なら楽しく分かち合える。

 血のつながりはない。 けれど、「自分たちは間違いなく姉妹だ」と思っている。 二人で長い坂を上ってきたのだから。

      ◆   ◆

 小学五年生の夏休みまで、由三子さんは一人っ子だった。 弟や妹が欲しい、といつも思っていた。 だから、よく近所の年下の子と遊んだものだ。

 そんな一人娘の姿を見るにつけ、父親の等さん(62)と、母親の正子さん(61)は悩んだ。 二人ともきょうだいの多い中で育った。 できることなら由三子に弟や妹を。 でも、もう十年以上も子宝に恵まれない。 「何とかならないものか」

 施設の子どもを預かる里親制度があると聞かされた。 養子縁組を前提としないという。 考えた末に、等さんは申し込んだ。 「娘と年齢が近い、年下の女の子」が希望だった。

 連絡がきた。 親子三人で都内の施設に向かう車中、ワクワクしていたのを由三子さんは覚えている。 「私にも妹ができるのかな」。 どんな子かな。 胸は高鳴り、期待で膨らんでいた。
 だが、九歳の順子さんの胸中はもっと複雑だった。 生後すぐに施設に預けられ、一人でずっと暮らしてきた。 でも、これからは違う。 見ず知らずの人の家で暮らすのだ。 怖かった。

 対面から二か月後、姉妹は、都営住宅の2DKの四畳半の部屋で暮らし始めた。

 「一緒に行こうよ」。 姉らしいところを見せたくて、由三子さんは何度も順子さんを遊びに誘った。 でも、「妹」は首を横に振るばかり。
 待ちに待った妹は生意気で、言うことをちっとも聞いてくれない。 なのに、お姉さんの鉛筆や消しゴム、おもちゃは黙って使ってしまう。 憎らしい。
 このころの順子さんは、食事をとってはもどしてしまうことを繰り返していた。 両親を困らせて楽しむそぶりも見えた。 静かだった家庭には波風がたち、騒々しくなった。

 由三子さんが小学六年生の時だ。 夕食時、反抗的な順子さんは、いつものようにしかられていた。 黙って見てきた姉が、この時、初めて仲裁に入った。
 「大人は勝手だよ。 順ちゃんだって一生懸命やってるじゃない。 もう怒るのやめなよ」。 きょとんとする両親に、由三子さんは声を張り上げた。
 何が、由三子さんに声を上げさせたかは分からない。 でも、由三子さんの中で何かが変わった。 以後、しかられる妹に助け舟を出すのが役目になった。 由三子さんは姉になっ
ていた。
      ◆   ◆
 思慮深く内気な由三子さん、勝ち気で活発な順子さん。 姉妹の性格は正反対だ。 高校時代の由三子さんの海外留学を境に、二人はまた別々に暮らすようになった。

 結婚は、妹の方が先だった。 当時二十歳だった順子さんは、勤め先の同僚だという男性を連れてきて、「この人と結婚したい」と言った。
 披露宴に、由三子さんは姉として出席した。 もちろん、両親も親代わりで出た。 隣の席で、父が打ち明けた。 「正式に決まる数日前だったかな。 心配して『断られても泣くなよ』
と言うと、順子は『彼の方が“捨てないでくれ”とすがってくるもん』とケロリとしてるんだ」
 目頭を押さえながら話す父の傍らで、由三子さんは、出会ったころの妹の顔を思い出していた。 順ちゃんらしい、と思いながら胸が熱くなった。
 「お姉ちゃん」とはついに呼んでもらえなかったけど、由三子さんにとっては、順子さんは今もかわいい妹だ。 自分も結婚した今は、もう年に数回しか会えないが、会えば話がはずみ、打ち解け合える。

 「戸籍上は赤の他人……。 でも、順ちゃんと出会って、思いやりとか忍耐とか、教えられたことも多いのよ」。 そう語りかける由三子さんに、「ゆみちゃんはいつも優しくしてくれた。 大好きです」と順子さんは笑顔でこたえた。

 写真=出会ったころの高野由三子さん(右)と鈴木順子さん
 写真=実家のこたつを囲んで家族の話が弾む(左から、妹の鈴木順子さん、姉の高野由三子さん、父の等さん、母の正子さん)

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