２．自治体によって、こんなにも違う里親委託（都道府県政令市の里親数、委託児童数、委託率）

　里親に登録され、研修を受け、子どもの委託を待ち望んでいる里親家庭も多いと思います。児童養護施設は満杯と聞き、すぐにでも、子どもが委託されるかと思っていると、なかなか子どもが委託されない里親家庭が大半です。委託率は、全国平均で26.2％です。里親になっても、４分の１の家庭にしか子どもが委託されません。

※都道府県政令市の里親数、委託児童数（　→　表　、　グラフ　）

●　委託率の順位

　ところが、都道府県政令市ごとに委託率を見ると、委託率が大きく変わってきます。委託率の最高は、仙台市の55.6％、最低は、佐賀県の2.8％と実に52.8ポイントもの差があります。子どもが家庭で育つ権利は、大きな地域格差があります。
　厚生労働省は、平成１４年度の里親制度の改正要旨での中で「里親か施設かという二者択一という捉え方ではなく」と表現していますが、子どもにとっては、二者択一ですらない厳しい現状があります。

●　自治体別　委託率区分の割合

　また、委託率が50％未満の自治体が、94.9％あります。里親のなり手がいないのではなく、里親になっても、子どもを委託しないため、登録を取り消す里親がいるのではないでしょうか。
　児童養護施設がいっぱいだというのに、里親への委託率を上げずに、施設を新たに作るのは、「子どもの家庭で暮らす権利」「パーマネンシー（永続的信頼関係）」が念頭にないとしかいえません。これでは、児童相談所は、親が育てられない子どもを施設に送り込む機関でしかありません。

区分	自治体数	割合
10％未満	4	6.8%
20％未満	20	33.9%
30％未満	20	33.9%
40％未満	8	13.6%
50％未満	4	6.8%
50％以上	3	5.1%
合計	59	100.0%

●自治体別　平均委託児童数の割合

　児童の平均委託数は、全国平均で1.34人です。ひとつの里親家庭に平均で1.34人の子どもが委託されている計算です。
しかし、平均委託児童数が１人未満の自治体が７つもあります。（山形県、石川県、京都府、兵庫県、奈良市、広島県、福岡県）
　これは、他の自治体の里親に子どもを委託している場合、県内の委託児童数が、県内の委託里親数より少なくなるために、一人未満の委託数が出てきます。委託率が少なく、委託児童数が少ない場合、１人か２人、自治体の域外へ転出しただけで、このような現象が起きます。

区分	自治体数	割合
１人未満	7	11.9%
1〜1.5人未満	41	69.5%
1.5〜2人未満	7	11.9%
2〜2.5人未満	3	5.1%
2.5〜3人未満	0	0.0%
3〜3.5人未満	0	0.0%
3.5〜4人未満	1	1.7%
合計	59	100.0%

　また、政令市を含む道府県の場合は、セットで平均委託児童数を考える必要があります。この場合、平均委託児童数は1.08人〜1.86人になります。