カウンタ
12・8 宇都宮 里親傷害致死事件を考える緊急集会の報告

資料
1.プログラム(PDFファイル 46KB)
2.資   料(PDFファイル 260KB)
3.緊急要望書(PDFファイル 15KB)

音声ファイル
 第1部 (MP3ファイル 12,892 KB)
 第2部 (MP3ファイル 28,152 KB)

 このシンポジウムは、11月13日の福祉局長への要望書提出の後、都庁の食堂でお茶を飲んでいたら、会長が宇都宮の事件で何か行動を起こしたいと言われたのが発端でした。その夜に、あちこちに電話をし、急遽シンポジウムを行うことにしました。
 アン基金プロジェクトの方に会場の予約をお願いし、パネリストをお願いし、チラシを準備していたら、ヘネシー澄子先生を呼びたいという意見が出てきました。ダメもとで電話をしたら、他の予定を変更して参加して下さるとのこと。ヘネシー先生の「里親さんのためなら、何でもします。どこにでも行きます」この言葉に、涙が止まりませんでした。
 また、パネリストに都の児相関係者をお願いしました。きわどいテーマだけに、受けて下さるか心配していましたが、さすがに東京都です。逃げずに、このシンポジウムに養育家庭支援担当課長自ら出席して下さいました。下手すれば、児相批判が渦巻くかもしれないシンポで、堂々と行政としての意見を述べて下さいました。養育家庭、行政、市民の立場を超え、子どもの幸せのために、それぞれの立場で何が出来るのか、それを考えたいと企画したシンポでしたので、都の課長の個人的意見も含めた話には、本当に感謝しております。

 当日のシンポジウムは、参加者(大人)が100名でした。子ども(里子)が7名で、高校生や大人の元里子たちもお手伝いしてくれました。保育は準備していなかったのですが、子どもたちでずっと遊んでくれて、静かに、しかし、熱気のあふれるシンポジウムとなりました。
会場が65名しか席がないので、お願いして、いすを25席出して貰ったら、それでも足りなくて、丸椅子を15脚出して頂きました。
1時15分に予定通りに開会しました。最初は、栃木の現地報告をしていただき、その後、ヘネシー澄子先生に「愛着障害」についての基調講演をして頂きました。アメリカの事例などを交え、本当にわかりやすく話をして頂きました。

 15分の休憩の後、パネルディスカッションを行いました。
虐待防止センター理事の広岡智子さんは、「里親に必要なものは休息」と話され、今回の事件について「里親だから問題なのではなく、里親だから支援が与えられないことが問題である」と話されました。

 八王子で養育家庭をされている坂本洋子さんは、被虐待児、ADHD、知的障害の子どもなどを6人育てています。ボランティアが大勢手伝いにみえ、複数での関わりをしていること。土日はご主人が子どもの世話と食事の支度を行い、完全に離れることが出来ること。つらいときに「つらいよねー」と共感してくれる人がいたこと。などが18年間続けることが出来た理由であると話されました。
 宇都宮で自立援助ホームを運営している星俊彦さんは、自らを「里親型自立援助ホーム」と紹介されました。幼児期から育てた子どもが、就学時に里親家庭に委託され、夏休みに「里親不調」として戻り、体中にアザや傷があった話をされました。
 東京都児童相談センター養育家庭支援担当課長の石川守さんは、養育家庭センターを廃止し、児童相談所が直接養育家庭に責任をもって関わるようになった経過などを話されました。
さて、各パネリストが、一人でも数時間以上話す内容と実践を行っていることもあり、パネルディスカッションになるかと心配していたのですが、ヘネシー先生がうまくコーディネートして下さり、会場からの意見を含め、貴重な意見を伺うことが出来ました。
 会場からも、「新しい養育家庭の名簿が連絡会に渡されず、連絡会が関わることが出来ず孤立する」「イギリスでは、里親委託してからの児相の訪問回数の最低基準を定めている」「里親が愛着障害の知識を知らされずに子どもを受託し苦労している」などたくさんの意見が出されました。
 シンポジウムの最後に、「里親制度の充実に向けた緊急要望書」を提案し、本日の意見を反映させ、厚生労働大臣に手渡すことを確認致しました。賛同署名は61名になりました。
 当日は、テレビ局が2局(NHK、TBS)ほか、新聞社が数社きていました。準備期間が3週間しかない中で、お手伝いいただいた方々には、心より感謝致します。(