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2002/11/03 update

 北海道 里親の少女暴行事件 
平成11年(1999年)7月2日

1999/07/02(金) 北海道新聞
里子の少女に暴行*道警*自殺の里親を送検
全道朝刊朝社 P291360字

 国の「里親制度」に基づいて行政機関から里親を委託された道内在住の五十歳代の男性が、里子として預かった少女に性的関係を強要し、妊娠させていたことが、一日までの道警捜査一課などの調べで分かった。里親は里子の妊娠が発覚後、自殺したが、同課は同日までに、婦女暴行の疑いでこの里親を被疑者死亡のまま書類送検した。
 調べによると、この里親は十年以上前に行政機関から里親の認定を受け、事件当時、被害者の少女を含めて複数の里子を養育しており、この少女に対して自宅で性的関係を強要していた疑いが持たれている。 今年に入り少女が体調不良を訴え、病院で診察を受けたところ妊娠していることが分かり、関係者が道警に連絡、事件が発覚した。
 道警では、少女や関係者から事情を聴くなどして里親の婦女暴行の疑いを強めたが、里親本人は道警が事情を聴く直前に自殺。その後、最新のDNA鑑定などでこの里親と少女の妊娠との因果関係が立証されたため、同容疑での書類送検に踏み切った。
*踏みにじられた善意の制度 家庭と行政に距離
 家族のぬくもりに包まれるはずの里子に、里親が性的関係を迫った−。第三者の目が届きにくい、「家庭」という閉ざされた環境で起きてしまった今回の事件は、善意で里親を務めている圧倒的多数の里親の長年の努力を踏みにじり、新たな親子関係の橋渡し役をした行政機関にも強い衝撃を与えた。
 ある里親は「今回の事件は異例中の異例」とショックを隠さず、「里親制度の後退を招くようなことがなければよいのだが…」と多くの里親たちの気持ちを代弁した。
 里親は、公的機関の仲立ちで預かった子供の人生を左右する重要な役目。厚生省の要綱に基づき、「児童の養育についての理解と熱意および豊かな愛情」を条件に認定され、五年ごとに調査の上で再認定を受ける。
 書類送検された里親は、養育歴十年余りの“ベテラン”だった。認定窓口となった児童相談所は今回の事件について「想定外であり非常に残念。魔が差したのか、としか言いようがない」と戸惑う一方、「実績がある人だけに、里親としての資質や人格に問題があるとは思わなかった」と釈明した。
 ただ、里子を託された家庭からすると、行政機関との距離は意外に遠く、接点が薄いという声は少なくない。道内のある里親は「年月がたてば家庭や子供の状況は変わる。行政が、それに対応しているとは言えない」。別の里親経験者も「里親の大変な仕事を、行政が日常的にバックアップしてくれているという実感は薄かった」と打ち明けた。再認定の際、行政側から継続を拒否される事例はまずないという。
 この里親を担当した児童相談所では、事件を契機に家庭訪問や個別面談の回数を増やし、里親・里子との意思疎通を図る取り組みを始めた。「委託先の家庭とわれわれとの信頼関係をより強くすることで、万が一にもこうした事件が起きないよう努力する」と語る。
 道内には現在約六百二十組の里親がいるが、五年前よりも百組近く少なくなり、里親のなり手不足は深刻だ。
<用語解説>
*里親制度
 児童福祉法に基づき、家庭に恵まれない子供を里親が家族の一員として迎え入れ、養育する公的制度。児童相談所が窓口となって里親希望者を募り、経済状況などの適性を審査したうえで、都道府県知事や政令指定都市の首長が認定する。


1999/07/02 共同通信ニュース速報
里子の少女を暴行後に自殺 北海道

 北海道内の五十歳代の男性が国の里親制度に基づいて養育していた少女に性的関係を強要し妊娠させた後、自殺していたことが分かり、道警は二日までに、婦女暴行の疑いで里親の男性を被疑者死亡のまま書類送検した。
 道警などによると、今年三月に少女の体調が悪くなり、病院で検査したところ妊娠が発覚、病院から連絡を受けた道警が捜査を始めた。男性は四月に自殺したが、道警はDNA鑑定の結果などから男性の暴行を裏付け、書類送検に踏み切った。
 男性は十三年前に里親として認定を受け、事件当時は複数の里子を養育していた。

2002/11/03 sido