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都議会 里親ウォッチング

2003/02/25 update

平成9年8月以降の都議会本会議及び委員会の議事録より抜粋
東京都議会HP
注:猫の「里親」など本来の里親と違う不愉快な発言もありますが、併せて掲載いたします。

2003/2/12
平成15年第1回定例会
平成15年 都議会 第1回定例会(代表質問)

百七番(石井義修君)
都議会公明党を代表し、質問いたします。
(略)
 次に、福祉対策について伺います。
家庭的養護の充実に対する取り組みが進む中、知事が昨年訪問された八王子の養育家庭、坂本さんの著書が最近出版されました。この本の中では、著者が社会の偏見と戦いながら、十人の子どもたちと実の親以上のかたいきずなで結ばれ、成長してきた記録がつづられており、私も強い感銘を受けました。
 そこで、まず第一に、知事の養育家庭に対する認識を伺います。
次に、養育家庭制度を再構築して一年が経過いたしましたが、この一年間の実績と、そこで明らかになった課題を踏まえ、養育家庭制度をより多くの都民が参加できるよう拡充すべきであると考えます。所見を伺います。
 養育家庭が預かる子どもは、ほとんどが精神的な傷を負っています。そのために、養育に当たってはさまざまな困難があり、助言が必要なケースも数多くあります。養育家庭の専門性を高めるとともに、手当の増額など、養育家庭を支える仕組みを整備することが必要と考えます。所見を伺います。
(略)

知事(石原慎太郎君)
石井義修議員の代表質問にお答えいたします
(略)
 次いで、養育家庭に対する認識でありますが、坂本さんの著書も引き合いにお話しいただきましたけども、本当に私もあの家庭、あのご夫婦の努力を目にして、本当に胸が熱くなる思いがいたしました。昔、大映でしたか、三益愛子さんの主演する母ものの映画がございまして、生みの親より育ての親というのが主のテーマだったと思いますが、やはり子どもというのは、本来家庭の中で愛情に包まれながら成長することが当然でありますし、望ましい。しかし、さまざまな理由で、親とは一緒に暮らせない子どもも、しかし施設よりも、やはりできれば家庭的な環境で、血はつながっていなくても、心の温かい大人の手で育てるべきだと思っております。
 私の旧知の、今、アメリカの国務省の副長官ですが、アーミテージ氏は、ベトナム孤児も含めて、八人かの養子を抱えておられますけども、これまたやっぱり見事な一つの志だと思います。
養育家庭は必ずしも周囲の理解が得られておりません。お金のためにやってるんだなんて陰口をたたく人がいたりして、そういう点で、まだまだ環境としては恵まれておりませんが、しかし、やはりその中でも、私たちもこれからも周囲の理解を積極的に努力してかち得ながら、社会の中でそういった志を持つ大人の方々が、子どもたちを自分の子ども同様に育てていただくことはありがたいし、私たち都民全体、国民全体が感謝しなくてはならないと思っております。
 多くの都民の方々、今後、養育家庭についての本当の理解を深めていただきまして、ご自身がそれを必ずしも行っていただかなくとも、しかし、近所におられるそういう養育の家庭の担い手に理解をいただき、また援助というか、共感も抱いていただきたいということを期待しております。
(略)

福祉局長(川裕康君)
 養育家庭制度など福祉施策に関します五点のご質問にお答えいたします。
まず、養育家庭の拡充についてでございますが、都は今年度から、家庭的養護の推進を図るため、制度の抜本的見直しを図るとともに、さまざまなメディアを活用した周知活動に努めてまいりました。
 その結果、委託児童数の増加など、成果が上がりつつありますが、これをさらに大きくふやしていくことが課題でございます。
 そのため、来年度は、新たに区市町村の子ども家庭支援センターと連携し、養育家庭の開発に取り組むとともに、短期間の委託に限定した養育家庭の募集を行うなど、より多くの都民が参加しやすい仕組みをつくってまいります。
 次に、養育家庭に対します支援等についてでございますが、養育家庭が子どもの状況に応じたきめ細かなケアをしていくためには、専門性を高めるとともに、安心して養育できるよう支援を充実していくことが重要でございます。
 このため、専門養育家庭制度を創設し、被虐待や知的障害を持った子どもへの対応に取り組むほか、養育家庭全体の資質向上に向けた研修の充実に努めてまいります。
また、毎日子どもと向き合って生活しております養育家庭の負担の軽減を図るため、新たに、一時的に子どもを預け、休息できるレスパイトケアを実施するとともに、手当を増額いたします。
2002/10/15
平成14年第3回定例会

 里親制度の充実に関する意見書 →都議会HPへ

 虐待など様々な理由によって親と一緒に暮らせない子どもたちが、家庭的な雰囲気の中で温かい愛情に包まれ、伸び伸びと養育されていくことは、その子どもたちの健やかな成長・発達にとって極めて大切なことである。
 里親制度はこうした家庭的な環境の中での養育の重要性にかんがみ創設された。しかし、我が国においてはこうした子どもたちに対する処遇は、これまでそのほとんどを施設が担ってきたのが実情であり、里親制度は一向に普及せず、むしろ里親の登録数は減少傾向をたどっている状況にある。
 このため、都は、家庭的養護を強力に推進すべく今年度から広報普及活動の強化、年齢基準の緩和、児童相談所の体制強化など抜本的な見直しを図ったところである。
 一方、国も、近年の児童虐待の急激な増加などを背景に、改めて里親制度の重要性を認識し、今般、その大幅な充実強化に向け、抜本的な制度見直しを打ち出した。
 里親には、常に子どもと向き合いながら養育をしていかなければならないという精神的負担や、国で認められたメニュー以外の養育に係る経済的負担が重くのしかかっている。しかし、我が国における社会風土の影響もあって、まだまだ里親への認知度は低く、更なる制度の充実に向け、国の強力な支援が不可欠である。
 また、社会的養護の円滑な推進を図っていくためには、施設による養護と里親制度による家庭的養護とが緊密な連携・役割分担を図りつつ、地域に根差した社会的養護システムを構築していく必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、里親制度の充実に向けて、次の対策を講じることを強く要請する。
1 社会経済状況の変化に即応した社会的養護のこれからの在り方について、
 地域に根差した仕組みへの転換など今後の全体像を明確にし、そのための
 具体的道筋を示すこと。
2 子どもを里親に委託するに当たっての親権者等の同意を得る際に、里親
 と施設の区別なく包括的な同意を得ることができるようにするなど、法的
 制約を緩和すること。
3 里親手当の増額を図るとともに、教育費などの一般生活費等について、
 基準単価の増額とメニューの充実を図ること。
4 里親に対するレスパイトケアの充実を図るなど、里親を支える仕組みの
 充実を図ること。
5 里親制度に対する国民の理解促進を図るため、積極的に広報・啓発活動
 を実施すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 
 平成14年10月15日
              東京都議会議長  三 田 敏 哉

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣
厚生労働大臣  あて提出
2002.9.27
厚生委員会
(第十号)
東村委員
 民間移譲に際して都が助成する際に、今、非常に大事な点をいってくれたと思うんですね。やたらめったら何でも助成するんじゃなくて、都の助成はやはり施設の特性をしっかりと考慮しながらやっていく、ここをやらないと非常に危険になってくると思いますので、ここをぜひともよろしくお願いしたいと思うんですね。
 続いて児童施設についてお伺いしたいんですけれども、今回、都外施設について、いわゆる養育家庭制度の充実や都内の受け入れ施設をしっかりと探して、規模の縮小を図っていくとあります。
 先日、養育家庭制度について、この充実と社会的な養護システムの再構築をすべきではないかという要望書を、国の坂口厚生労働大臣の方に持ってまいりました。坂口厚生労働大臣も非常に興味を示しまして、特に、国として法的規制の緩和などもしていかなければならないということを考えるといっておりました。
 私としても、やはり児童養護施設、規模の縮小を図っていく上で一番大事なのは、家庭的養護を充実させていかなきゃいけない。いわゆる一人の子どもに対する絶対的な愛情を注ぐという意味で、やはりこれからは家庭的な養護をどんどん進めていかなければいけないんじゃないか。
 そこで現在、施設ではなくて養育家庭で養護を受けている児童の割合はどれくらいいて、そして、ある意味で、都は、この割合がどれくらいまで達成されれば家庭的な養護が充実されると考えているのか、答えてもらいたいと思います。

笠原子ども家庭部長
 本年八月現在の養育家庭に委託をお願いしている子どもの数でございますけれども、二百二十五人でございまして、全体に占める割合、これは七・五%となってございます。
 じゃ、この割合をどのくらいまで高めたならば、家庭的養護が充実されたのかというお尋ねでございますけれども、社会的養護のシステム転換を図る上で一つの目安となるのは、本年二月に策定いたしましたTOKYO福祉改革STEP2、この中で、養育家庭とグループホームを合わせまして、家庭的養護の社会的養護全体に占める割合、これをおおむね五年を目途に、全体の二割から三割程度というふうにうたってございます。私どもとしては、この二割から三割は、ある程度中期的な目標であろうというふうに踏んでおります。
 ただ、この割合につきましては、ここ十年来におきます養育家庭にお願いしている子どもの数、これはほぼ二百人前後で横ばいに推移している、こういった状況を見ましても、大変高いハードルであるというふうに私ども認識いたしております。しかし、私どもとしては、これは克服しなければならないハードルであろうと考えてございます。
 このために、東京都は本年度、養育家庭の充実に向けまして、広報活動や児童相談所の体制強化など制度の抜本的な見直しを図ったところでございまして、今後、この目標達成に向けまして全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうふうに考えてございます。

東村委員
 ぜひとも養育家庭の充実を図ってもらいたいんですね。これがなくして児童養護施設の規模の縮小というのは絶対にできないと私は思っております。ここがしっかりしてくれば、ある意味で、都がいっていることも私は理解できるわけです。
 先日、八王子児童相談所にも行ってきました。感心したのは、八王子児童相談所は随分変わったな、よくなったな、非常に意気込みが違ってきているなということを現場に行ってよく感じましたし、東京都が本当に今、養育家庭制度に力を入れているなということもよくわかりました。そういう意味で、しっかりと広報活動も含めて頑張ってもらいたいと思います。
 その上で、都外施設を規模縮小する場合に、都内の施設で受け入れるとあるんですけれども、ある一部のところから、これを受け入れた後、すぐにまた民間移譲しちゃうんじゃないか、結局は同じじゃないかという話が出ているんですけれども、これについてどうですか。

片岡団体改革担当部長
 今回定めました方針は、当面五年後の平成十九年度に向けての取り組みをお示ししたものでございますが、この中で、都内の児童養護施設につきましては、一般の児童養護施設と異なりまして、就労支援のための高年齢児の短期的な受け入れを行っております中井児童学園を除きまして、民間移譲等の対象とはしておりません。
山口委員
 (略)
 続いて、児童養護に関して質問いたします。
 虐待児の受け入れなどで、養護施設の定員がいっぱい状態であると聞いていますが、現状はどのようになっているのでしょうか。

笠原子ども家庭部長
 本年八月一日現在の施設入所率でございますけれども、九六・一%でございます。最近の状況といたしまして、被虐待等による要保護児童がふえておりますことから、入所率が高くなっているのではないかというふうに受けとめております。

山口委員
 こうした養護を必要とする児童への取り組みも、施設から家庭的養育へと変わろうとしています。これは私も大変期待するところですが、養育家庭の現状と今後の見通しについて伺います。

笠原子ども家庭部長
 養育家庭の現状でございますけれども、まず登録家庭数でございますが、昨年の八月、これは二百九十七家庭でございました。本年の八月では、二百九十四家庭でございます。それから、委託家庭数につきましては、昨年の八月が百五十五に対しまして、本年八月は百六十六、それから委託児童数につきましては、昨年の八月が二百八に対しまして、本年は二百二十五人となってございます。
 今後の見通しについてでございますけれども、今年度から社会的養護システムの再構築とするということで、家庭的養護を充実していくために、執行体制の抜本的な見直しを初めといたしまして、いろんな改革をいたしておるところでございます。
 例えば、児童相談所を養育家庭支援の中心に初めて位置づけをいたしました。また、児童相談センターの中に養育家庭を専管とする組織を設置いたしました。それから、児童相談所とともに養育家庭を支える仕組みといたしまして、養育家庭支援センターあるいは養育家庭支援、こういったものも今年度から新しくつくっていくことにいたしました。
 また、こういったことに加えまして、ソフト面では、養育家庭をふやすために、六月に東京都ホームページにPR広告を掲載いたしました。それから、五月から六月にかけましては、電車、バスなどに交通広告をいたしましたし、それから「広報東京都」などのさまざまな媒体を用いまして広報を行いました。また、リーフレットあるいはポスター、こういったものを都の出先事業所あるいは区市町村の窓口、それから民間企業、こういったところにも配布をいたしまして制度の周知に努めてまいったわけでございます。
 こうした執行体制の整備あるいは効果的なPR活動の充実、こういったことに今まで一生懸命取り組んできたわけでございますけれども、こういった取り組みによりまして、今後、養育家庭制度は着実に拡充していくもの、こういうふうに私どもは考えておるところでございます。

山口委員
 また、養育家庭制度とともに、むしろ私は推進しやすいかなと思いますグループホームの現状と見通しについて伺います。

笠原子ども家庭部長
 十三年度末現在でございますけれども、二十六のグループホームが設置されまして、その中では、百三十八名の子どもたちが小集団によるきめ細かな個別処遇により生活をいたしております。
 今年度に入りまして、これに加えまして二つのグループホームが開設いたしました。合計で二十八カ所となってございます。また、新たに国制度の地域小規模児童養護施設三カ所の設置を、現在国に協議いたしておるところでございます。
 今後も社会的養護システムの転換を図る中で、養育家庭の着実な拡充に努めるとともに、グループホーム拡充に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

山口委員
 おおむね五年を目途に、今の七・五%から、二〇から三〇%の子どもたちがこういった家庭的な養育へ移るようにという目的ですが、実際に、ある程度の子どもたちには、子どもたちの意見を聞きながら、また、そのニーズに合った枠組みの整え方というようなことも、調査などを通じてぜひ検討していただきたいと思います。
樋口委員
 それでは、質問させていただきます。
 福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 私どもの民主党では、暮らし部会というのがあります。暮らし部会で、九月の九日、今話題になっております都外施設の視察に行ってまいりました。そして都外施設の中では、千葉の八街学園と、知的障害者・障害児施設である千葉福祉園について視察をさせていただきました。
 八街学園は、千葉県八街市にある大変豊かな自然の中で、十年前、三十三億をかけて建築された、居住棟や中庭に面した大変立派な体育館、野球のできる運動場、プール、テニスコート、そして点在するオブジェ。地域にも一部開放し、交流を図るとともに、児童が豊かな環境の中で生活をしているということがよくわかりました。
 しかし、その中で、二七%の児童が被虐待児であり、施設側の対応、そして努力、また改めてこの問題の複雑さというものに、私は考えさせられてしまいました。
 また、次に訪れました千葉福祉園、そこは袖ケ浦にあるんですけれども、六十年近い歴史を持つ千葉福祉園では、一つの丘、丘というか山なんですけれども、十万坪の広大な敷地の中に点在するいろいろな施設、そこを視察させていただきました。その施設の規模の大きさについて、とても強い印象を持ちました。そこで、陶芸や手芸、そして小規模授産などの作業を拝見し、入居していらっしゃる知的障害者の方々の生き生きとした表情、その表情に何かふわっとした感銘を受けました。定員規模が六百人の大規模施設となっており、さながら一つの町のようになっています。利用者の居住棟が並び、その風景は圧巻といえるものでした。
 しかし、このような施設の姿は、本来望ましい姿であるかどうかということについて疑問を覚えました。これまでの知的障害に対する福祉サービスは、行政の主導により施設を中心に行われてきましたが、現時点では、このようにたくさんの知的障害者や知的障害児の方々を大規模な施設に集め入所させるという考えは、これからの利用者本位の考え方の中では見直す方向にあるのではないでしょうか。
 障害を持つ人が可能な限り地域で自立して生活することこそが、今後の社会には求められていくと考えられます。その点で、現在都が進めている福祉改革の考え方である、地域での自立を支える新しい福祉、それはあるべき姿であり、積極的に推進していくべきものだと考えています。
 しかし、千葉福祉園というのは、障害児で入所された方で最年長の方は三十三歳、三十三年の間そこで過ごされていらっしゃいます。そして、障害者の方では、長い方で五十七年、平均三十年間もその施設で暮らされているという話を聞きました。地域に戻るといっても、結局、その方にとっては地域がそこの施設であり、そこの周りというのがとても都会とはかけ離れた場所なものですから、なかなかそこの地域にまじるということができにくい地域にあります。また、このような大規模な施設が民間で運営できるのかどうか、そのことも大変心配になりました。
 さて、今から、最初にお話をしました八街学園に関連して、何点かご質問をさせていただきます。
 児童虐待防止法が施行されてもなお、虐待問題は深刻化を増すばかりです。次から次へと報道される痛ましい事件に胸が張り裂けそうになり、また私自身、焦りを感じております。その上、東京都の養護需要も逼迫していると聞いています。都内の施設や養育家庭での受け入れなどにより規模の縮小を図っていくと、都は都外児童養護施設について方針を打ち出しております。
 そこで伺わせていただきます。都外の児童養護施設は都内の児童養護施設に比べたとき、どのようなメリット、デメリットがあるのか、お答えください。

笠原子ども家庭部長
 都外に施設があることのよい点でございますけれども、先生、八街学園にいらしたということでございますが、一般的には非常に自然環境に恵まれているということがいえるかと思います。それから、大変厳しい虐待等で、どうしても親から遠く引き離すことを必要とするケース、そういった場合には都外が極めて有効だろうというふうに思っております。
 一方、都外施設のマイナス面といたしましては、一つは子どもの処遇という観点から見ることができるんだろうと思います。大きく三点くらい挙げられるだろうと思っております。
 一つは、距離的な要因によりまして、児童相談所の福祉司さん等がなかなか訪問調査などに行けないということがございます。その結果、その児童処遇に関しますアフターケアだとか、あるいは関係者間のいろんな連携、調整ということが、どちらかというと都内施設に比べておろそかになりがちだということが、一点目として挙げられるというふうに考えられます。
 それから二点目といたしまして、病虚弱児、こういった子どもたちに対します対応でございますけれども、それに必要な小児精神科等の専門医療機関、こういったものはなかなか地方には不足している、こういう状況がございます。
 それから、最終的にその施設で社会的な自立を図るという観点から見ますと、やはり周辺等に就職口が都内に比べて比較的少ないという、就労支援の難しさということも挙げられます。
 それから、そういった子どもの処遇という観点ではなくて、将来の家庭への復帰という観点もやはり考えてみる必要があるんだろうというふうに思います。いろんな子ども、例えば虐待等を受けて、やむなく親元から引き離すという子どもでも、最終的にはやはり親と子が一緒になって家庭の中で過ごしていくということが望ましいわけでございまして、子どもがそれまでの生活の場所から遠く引き離されることによりまして、地域だとかあるいは家族、お友達、そういったものとのつながりというものが希薄になり、その結果、家庭や地域への復帰が難しくなるという点が挙げられるだろうと思っております。
 こんなことを考えますと、やはり都外施設はマイナス面の方が大きいのではないかというふうに考えてございます。

樋口委員
 確かに子どもにとって、小さくなれば小さくなるほど、幼くなれば幼くなるほど、親と離れるのが大変つらいことだと思います。親は子どもにとって絶対であり、そして一番最初に触れた親なんですから、親のそばにいたいという子どもの思いというのは、どんなにか強いものなのではないかと、私自身、子を持つ母親として非常に痛烈に感じております。できるならば親と一緒の生活が望ましいし、それが無理な場合には、なるべく住みなれた環境、住みなれた地域で住み続けることができるようにするなど、心身ともに疲れた子どもたちにとって、それまでの生活や環境を激変させないということは大変大切なことだと思っております。
 で、お尋ね申し上げます。社会的な養護が必要な子どもを、それぞれの状況を踏まえながら、なるべくそれまでの生活環境を変えないようにケアするため、東京都ではどのような方策をとっていくか、お考えをお示しください。

笠原子ども家庭部長
 社会的養護が必要な子どもにおきましても、地域の中で、家庭的な雰囲気のもと、愛情に包まれながら生活することが基本だろうというふうに思っております。こうした考えから、子どもたちが地域に根差した家庭的な雰囲気の中で健やかに育っていきますように、養育家庭や、あるいは小集団によるきめ細かな個別処遇が可能なグループホームなど、家庭的養護の推進に東京都としては積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

樋口委員
 養育家庭やグループホームを活用するというお答えがありましたが、養育家庭もグループホームも、まだまだとてもとても十分な数とはなっておりません。そのために現状では、養育家庭やグループホームに子どもを委託する場合でも、都内とはいっても選択の幅はほとんどなくて、運がよければ住みなれた地域で、でもほとんどが遠く離れた地域の養育家庭やグループホームに委託されると聞いております。こうした状況では、都外施設のデメリットが、養育家庭やグループホームの活用で解決できるとは思えないんです。
 都では今後、養育家庭やグループホームを地域にふやしていくためにどのような努力を行っていくのでしょうか、お答えください。

笠原子ども家庭部長
 先生ご指摘のとおり、今後、養育家庭やグループホームを大きくふやしていくことによりまして、地域の中にこれらがバランスよく存在いたしまして、身近な地域の中で社会的な養育を必要とする子どもたちがはぐくまれていくことが大切でございます。
 養育家庭の登録数、これは平成十四年八月末現在で二百九十四家庭でございます。また、グループホームは都内二十八カ所でございます。今後、地域での自立を支える新しい福祉の実現という福祉改革STEP2で掲げました方向に沿いまして、家庭的養護へのシステム転換の当面の目安でございます家庭的養護の割合を全体の二、三割にする、こういう目標達成に向けまして全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
2002.9.12
厚生委員会
(第九号)
片岡団体改革担当部長
 それでは、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてに関しまして、ご報告申し上げます。
 まず、これまでの経過につきまして、若干ご説明申し上げます。
 都では、利用者本位の福祉を実現するために福祉改革を推進しておりますが、このうち、サービス提供主体の改革に関しましては、有識者等で構成いたします都立福祉施設改革推進委員会及び福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会に検討をお願いし、六月二十七日と七月二日にそれぞれ報告、中間提言をいただきました。
 これら委員会からの報告等を受けまして、七月二十六日に東京都としての今後の取り組みを明らかにしたものが、この福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてでございます。
 では、資料の一ページをごらんください。
 まず、改革の理念でございます。
 都が進める福祉改革は、行政が広範囲にコントロールする既存の仕組みを改め、利用者本位の新しいシステムを構築することを目指すものであり、この改革を進めていくためには、都が福祉サービス基盤を充実させていくとともに、直接的福祉サービスの提供者という立場から、新しい福祉システムを適正に維持、向上させていくことへと、みずからの役割の重点を大きく移していくことなどが不可欠であるとしております。
 また、都立福祉施設及び社会福祉法人について、その果たしてきた役割を評価した上で、社会経済状況等時代の変化に対応し、新しい福祉を担っていくために必要な自己改革を実行していくことが求められているとしております。
 二ページになりますが、福祉サービス提供主体に係る都の施策につきましては、画一的なものではなく、サービス向上に向けた努力が真に報われる仕組みにしていく必要があるとしており、こうした理念に基づき、都は今後、地域のケアつき住まいの整備など、福祉施策の一層の充実を進めるとともに、福祉サービス提供主体の改革について、中長期的視野に立ち、計画的に取り組んでいくこととしております。
 続いて2、改革への取り組みでございます。
 まず、(1)、都立福祉施設改革についてですが、委員会報告を踏まえ、今後、条件整備を図りながら具体化を進めていくこととしますが、その実施に当たっては、現に入所している利用者へのサービス水準を確保いたします。特に都立障害者施設については、重度の障害者を多く受け入れてきた経緯を踏まえ、入所者の状況に即して十分な配慮を行ってまいります。
 その上で、当面、五年後の平成十九年度に向けて中心として取り組む内容を、二ページの下から分野別に示しております。
 まず、高齢者施設では、板橋、東村山の両ナーシングホームについて、大部屋解消等の居室改善を進め、順次規模の縮小を図っていくこととし、次に、三ページになりますが、老朽化の進んだ板橋老人ホームは東村山老人ホームに統合していくなどとしております。
 次に、児童施設ですが、都外の児童養護施設について、養育家庭制度など家庭的養護の充実を図りながら、施設定員の充足状況などを考慮しつつ、都内の施設や養育家庭での受け入れなどにより、規模の縮小を図ってまいります。なお、その際、当該施設に入所している児童本人の意向や学年進行などの状況に十分配慮するなどとしております。
 最後に、障害者施設ですが、比較的規模の小さい小平、町田、日の出の各福祉園や、既に民間法人委託により運営してきている練馬、調布の各福祉園について、民間移譲等を進めるなどとしているところでございます。
2002.06.19
平成14年
第2回定例会(第9号)
◯九十五番(立石晴康君)
(略)
 次に、子育て環境の整備について伺います。
 過日、北京に視察に行った際、中国国内で五つ子が誕生したことが大きなニュースになっていました。一人っ子政策が続く中国でも、子どもの誕生を率直に喜ぶ、人間としての自然の感情なのだなあと改めて感じました。
 中国のように子どもを持つ数に制限がないにもかかわらず、過日の新聞報道にもあったように、合計特殊出生率は一・三三、東京は一・〇という我が国では、少子化に歯どめがかからない状態が続いています。さきに発表された総務省の人口推計でも、総人口に占める子どもの割合は一四・三%と過去最低を記録し、先進諸国の中でも最低の水準となっております。
 その背景には、親の、子育てにかかる経済的負担が大きいという原因に加え、都市化の中で家庭が孤立し、周囲からの支援が余り期待できないため、若い人々が出産や子育てに大きな不安を抱いているという今日の子育て環境そのものがあります。少子化は社会の活力をも低下しかねない重要な問題であり、国を挙げて子育て環境の条件整備に取り組んでいくことが必要であります。
 そこで、まず、都として、少子化に対応した子育て環境の整備についてどのような考え方で取り組んでいくのかお伺いいたします。
 また、その際、親になろうとする若い人々の置かれている状況に的確にこたえていくことは申すまでもありません。働きながら子育てをしようとする人々にはもちろんですが、家庭で子育てをしようとする人々にとっても、近くに相談する人がいない等いろいろなケースに対応した、きめ細やかな支援策が講じられていくべきだと思います。これまで都は、認証保育所制度の創設や、子ども家庭支援センターの設置、促進等、子育て支援のためのさまざまな施策を展開してきました。これからも子育て環境の条件整備に一層積極的に取り組み、国を先導していくことが必要であると考えますが、所見をお伺いして質問を終わります。(拍手)

福祉局長前川燿男君) 少子化に対応した子育て環境につきまして、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境整備の考え方でございますが、少子化にどう対応すべきか、これは大変難しい課題でありますが、子どもを産み育てたいと願う都民が、安心して子どもを育てられる環境を整備することは重要であると考えております。
 そのためには、女性の社会進出が進む中、子育てと仕事の両立を可能とする環境づくりを図るとともに、社会的に孤立しがちな親たちに対し、子育てを地域の中でバックアップする仕組みを構築することが必要でございます。
 こうした観点から、これまで都は、大都市の保育ニーズにこたえる都市型保育サービスの充実に努めるとともに、子育てを地域社会全体で支援するための相談、支援の仕組みの確立に向け努力をしているところでございます。
 次に、具体的な取り組みについてでありますが、昨年八月、都が創設いたしました認証保育所は、この六月時点で八十八カ所、総定員は約二千五百人に達し、そのうち駅前型は四十五カ所となっており、年度内にはさらに多くの開設が見込まれております。
 また、都独自の施策として、子育てを地域の中で支援する仕組みの核となる区市町村の子ども家庭支援センターは、既に三十六カ所が設置され、平成十六年度までに全区市町村に設置する計画といたしております。
 さらに、虐待を受けた子どもなどへの対応を的確に行う体制の整備を図るため、児童福祉司の大幅な増員など、児童相談所の改革を推進するとともに、社会的なケアを必要とする子どもに対しては、都独自の里親制度である養育家庭制度の大幅な拡充に努める方針でございます。
 今後とも、こうした大都市東京の特性を踏まえた独自の政策の展開を図ってまいります。
2002.03.26
平成14年度
予算特別委員会(第6号)
※抜き書きしましたが、わかりづらいので、都議会HPより当該委員会の議事録全文をご覧ください。

◯星野委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 ただいま第一号議案、第十二号議案、第十六号議案、第二十号議案、第二十一号議案、第二十三号議案及び第二十九号議案に対し、かち佳代子委員外四名から編成替えを求める動議が、また、第一号議案、第十一号議案、第十二号議案及び第十七号議案から第三十一号議案までに対し、東村邦浩委員外二十四名から付帯決議案が、また、第一号議案、第二号議案、第十一号議案、第十二号議案、第十七号議案から第二十三号議案まで及び第二十五号議案から第三十一号議案までに対し、大西由紀子委員外八名から付帯決議案が、また、第二十四号議案に対し、青木英二理事外七名から付帯決議案が、それぞれお手元配布のとおり提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 案文の朗読は省略いたします。
(略)
 第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算については、知事は、これを撤回し、別記要領により速やかに編成替えをするよう求めるとともに、(略)、再提出することを求める。
 右の動議を提出する。
(略)
5 福祉費を五百八十億七千六百万円増額する。
(略)
(11) 養育家庭の支援として平成十四年度も養育家庭センターを存続させるため、一億円を増額する。


曽雌委員 私は、都議会公明党を代表して、本委員会に付託されました第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算外三十議案に賛成し、共産党提案の一般会計予算編成替え動議については反対の立場から討論を行います。
(略)
 また、福祉・医療対策について、我が党は、厳しい財政状況下にあっても、一律に削減すべきではなく、時代の変化に的確に対応できる新しい福祉改革を、財源対策も含めて具体的な提案のもとに主張してまいりました。これに対し、都は、我が党の提言を積極的に受け入れ、昨年、福祉改革推進プランを策定し、このプランを具体化、発展させるために、今回、TOKYO福祉改革STEP2を新たに示しました。中でも、認証保育所A型の推進による待機児童解消、養育家庭制度の充実及びグループホームの充実、児童虐待防止、区市町村ネットワーク事業、家族再統合のための治療援助事業、障害者の親亡き後対策としての体験型生活寮モデル事業、痴呆性高齢者グループホーム、生きがい支援型サービスの充実など、我が党の主張を大幅に取り入れております。
2002.03.15
平成14年
厚生委員会
東村邦浩(ひがしむら くにひろ)議員 都議会公明党

東村委員 福祉改革STEP2、ここで養育家庭制度の充実を打ち出されています。私は、予算特別委員会で前川福祉局長の答弁を聞いていて、非常に気持ちがいいくらい、ばんばん明快に、見事に回答されていた。聞いている人にとっては、もっと議員、勉強しろというような聞き方がされるくらい、非常に明快に答えていました。非常にクールな頭脳を持っている前川局長ですけど、私は、前川局長から絶対愛という言葉が出てくるとは夢にも思っておりませんで、見かけから考えられないくらい温かい心を局長はお持ちなんだなということを、最近ようやく認識してまいりました。
 したがって、養育家庭制度の充実、これはまさに絶対愛の世界だと私は思っております。施設偏重主義から、子どもに一番身近な親が愛情を注いでいってあげる、これが本当は大事なんだろうなと。私も三日間、予算特別委員会でホテル住まいをしておりましたので、きのう帰ったら小学校四年生の女の子が飛びついてまいりまして、久しぶりに親子でスキンシップを図ることができました。それぐらい本当に絶対愛という厳しい状況でございます。
 その中で、私は事あるごとに、いわゆる里親の制度を公明党の代表質問で取り上げるようにお願いをしてきましたし、第四回定例会で代表質問いたしました。また、今回の第一回定例会で、東野議員がこの里親制度のことを取り上げてきました。
 実は、一年ほど前に、東京都の養育家庭連絡会で高瀬さんという会長さんがいらっしゃいます。この方と私、初めてお会いしまして、そこから里親制度、何回か回を重ねるごとに深まってきたわけでございます。そういう中で、福祉局長から、第一回定例会の東野議員の質問に答えて、養育家庭の皆さんへの支援を充実するために、養育家庭センターを廃止して、児童相談所が養育家庭に対する指導、支援の中心となる体制を整える、こういう答弁がありました。
 そこで、今までこの養育家庭センターが具体的にどのような業務を行ってきたのか、もう一度ここで改めて問いたいと思います。

笠原子ども家庭部長 養育家庭センターの行っております業務でございますけれども、大きく分けて三点ございます。一つは、養育家庭の開拓、希望者からの相談及び申し込みの受け付けでございます。二点目として、養育家庭への児童の紹介、それから児童相談所長に対する委託の推薦でございます。三点目といたしまして、養育家庭に対する養育の指導と助言でございます。

東村委員 いわゆる登録から委託後の指導まで一貫してやってきた、こう考えてよろしいんですか。
 そこで、この養育家庭センターが養育家庭への支援を一貫して行ってきたということなんですけれども、今後、廃止に伴ってどのような体制としてやっていくのか、これについてお願いします。

笠原子ども家庭部長 養育家庭の支援につきましては、今後は、児童相談所が養育家庭に対する指導、支援の中心となっていくことになるわけでございます。そのため、組織、人員の体制を整えまして、訪問指導、心理的ケア、こうしたことを積極的に行ってまいりたいということが一点でございます。
 それから、子どもの養育の援助や養育家庭相互の交流を支援する拠点としての養育家庭支援センターを設置してまいります。それから、養育家庭が悩みごとを気軽に相談する相手として養育家庭支援員、こういったものを配置いたしまして、児童相談所と連携しながら、総合的な養育家庭を支援していく体制をつくっていくということが二点目でございます。
 来年度からは経過措置といたしまして、現行の養育家庭センターに引き続き、養育家庭からの相談受け付けや支援につきまして児童相談所と一緒に取り組んでもらえるよう、業務委託もあわせて行う予定でございます。

東村委員 前は養育家庭センターというのが一貫してやってきた、今後は児童相談所に移行していくという話です。その中で、かつ、養育家庭相互の交流を支援する養育家庭支援センターですか、それと、養育家庭が悩みごとを気軽に相談する相手としての養育家庭支援員ですか、こういう話がありましたけど、今までの養育家庭センターと、この養育家庭支援センターとは根本的に内容が違うわけですね。
 私は、余りこだわるつもりはないんですが、当初、横文字の名前が出ていたような気がしたんですけれども、前川局長は漢字がどうも好きだという話をお聞きしておりまして、こういう名前になったのかと思うんですが、受ける側からして、従来の養育家庭センターを想定するような名前だと誤解を生んでしまうんじゃないか。養育家庭相談員、これは主に電話ですか、電話の相談なんですかね。(発言する者あり)そうですか。こういう名前は、できれば、もうちょっと実態をあらわすような名前にしてもらわないと、従来の養育家庭センターというイメージで勘違いをしてしまうんじゃないか。このことについて、局長、どうですか。

前川福祉局長 私は、別に漢字でなくちゃいけないというわけでは毛頭なくて、ただ、我々行政をやっている以上、日本語で表現できるものはできるだけ日本語で表現したいなと、若いときからずっとそう考えております。余り安易に片仮名語を使うというのはいかがなものかと思っておりまして、それで、とりあえず今のところ仮称でそういうふうにしているんですが、ちょっとこれもどうかなと、内心、私だけじゃなくて、担当の者もみんな思っているんですけど、ぜひ委員の方でも、いい名前があったらお知恵をかしていただきたいと思っております。

東村委員 私も、ぜひとも考えてみたいと。(「英語を使っちゃだめだよ」と呼ぶ者あり)ステップぐらいだったら私もわかるんですけどね。
 次に、児相中心の指導、支援が行われるということなんですけど、はっきりいいまして、これまでの児童相談所というのは評判が悪いんですね、非常に冷たい。本当に局長の絶対愛が浸透しているのかと思うくらい、余り評判がよくない。そういったところで、養育家庭のお母さん方からこの前お話を聞いたときに、確かに養育家庭センターというワンクッションを置かないことによって、ダイレクトに東京都に意見が聞いてもらえるというのは非常いいことだという話がありました。逆に喜んでいるんですが、一つ懸念しているのが、児童相談所が本当に親身になって、私たちの悩みを聞いて、また、サポートをしてくれるのかということを一番悩んでいるわけなんです。これについてどうですか。

笠原子ども家庭部長 これまで児童相談所は、養育家庭センターがあるために、直接養育家庭からの相談にこたえることができなかったわけでございます。今後、児童相談所が全面的、主体的に養育家庭にかかわっていく、こういう形に変わってまいります。
 児童相談所の体制といたしましては、そのために児童福祉司を大幅に増員してまいります。それから、児童相談センターに新たに養育家庭担当を設置いたします。常勤三名、非常勤二名を加え、養育家庭センターから派遣される三名の指導員の、合計八名の体制で養育家庭からの相談にこたえてまいります。
 また、子どもを措置した児童相談所の児童福祉司、あるいは心理職員、これは養育家庭担当と連携いたしまして、子どもや家庭の状況をきめ細かく把握いたしまして、養育家庭のいろいろな相談に的確にこたえてまいりたいというふうに考えてございます。

東村委員 確かに職員の方の大幅な増員、これは大事なことなんでしょうけれども、何といっても、養育家庭のお母さん方、お子さんのことを一番親身になって相談してくれる人ですから、このことを一生懸命やってくれるような人を、ぜひともここに配置してもらいたいんです。確かに優秀な人がどんどん本庁に集まっているんでしょうけれども、やっぱり第一線の現場というのは福祉にとって一番大事なところなんですね。ここで親身になって相談していかなければ、私はこの制度は恐らくうまくいかないんじゃないかと。また、いろいろなところからつつかれてくると思います、反対しているところから。むしろ、私は、本当にこれからの里親制度を発展させるキーは、現場の児相における担当者がキーになってくるんじゃないかと思いますが、部長、改めてどうですか。

笠原子ども家庭部長 先生がおっしゃるとおりだと思います。体制、仕組みをいかに整えても、最後は人が、組織はやはり重要でございます。新しい体制のもとで、養育家庭制度を遂行していくためには、そこに優秀な人を集めて、立派な新しい養育家庭制度というものにきちんと取り組んでいくような、そういうことをしていきたいというふうに思っております。
 私ども、そのためにいろいろなことを考えてございます。例えば人事・任用制度、こういったものについても抜本的に見直すということも考えてございます。その中で、公募制の問題、あるいは職員の研修、そういったものもきちんとやっていく、こんなことも考えてございます。

東村委員 単なる人事配置の一環ではなくて、ここが大事だということをぜひとも認識してもらいたいし、私たちも認識していきたいと思います。
 里親のお母さん方と話したときに、自分だって病気になるときがある、また、どうしてもやむを得ない用事があるんだ、そういうときに家庭センターの方にお願いしたら、中には対応してもらえなかったこともあったと。そこで、どうしたんですかと聞いたら、自分たちで一生懸命お母さん方と連絡をとって、だから、こういう連絡会をつくったんだと。連絡をとって、その中で何とかその部分、間を埋めてくれませんかとか、お願いして、一生懸命自分たちでやってきたと。今度、児童相談所になって、この部分も今までどおりだったら、余り意味がないんじゃないか、そういった意味で、レスパイトの制度をぜひともつくってくれないかと、こういう声が上がっておりました。この辺については、東京都はどのように考えているんでしょうか。

笠原子ども家庭部長 これまで養育家庭が一時的に子どもを預かってもらおうと思っても、受け入れていただくところはなくて、先生ご指摘のとおり、養育家庭からもレスパイトにつきましては強い要望が出されておりました。今後、新たに設置いたします養育家庭支援センターが中心となりまして、レスパイトの仕組み、こういったものに早急に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 レスパイトの受け入れ先といたしましては、区市町村が行うショートステイ事業、一時保育事業を養育家庭が利用できるようにするとともに、レスパイトを受け入れてくれる施設や家庭を養育家庭支援センターが積極的に開拓いたしまして、養育家庭に提供していく、こんなことも考えてまいりたいと思っております。

東村委員 区市町村の話も出ましたけど、むしろここよりも、私、さっき名前を傷つけちゃって申しわけなかったんですけど、養育家庭支援センターですか、ここが一番中心となって積極的に受け入れる体制をつくってあげてほしいなと思います。
 もう一つ、お母さん方がおっしゃっていたのは、何年かやっていても、今、だんだん子どもも大きくなってきて、思春期の悩みとか、また、社会的にいろいろな環境の中で、それに子どもたちも巻き込まれて、いろいろな悩みも複雑化してきている、どうしても自分たちだけで解決できないようなことが幾つか出始めてきていると。これも本当にお願いなんですけどといわれたんですが、できれば、自分たちがもうちょっと能力をアップするための研修のようなことも都で考えてもらえれば、もっとお母さん方の幅も広がるし、そういうことを宣伝して里親制度も広がっていくんじゃないか、こういう話がございました。これについて、都はどのように考えていますか。

笠原子ども家庭部長 家庭的養護を必要とする子どもの中には、さまざまな事情で親から適切な養育を受けてこなかった子どもなど、きめ細かなケアを必要とする子どもが多うございます。こうした子どもを預かる養育家庭に対しましては、子どものそれぞれの状況に応じた対応ができるよう、養育力の向上を支援していく必要があるというふうに私ども思ってございます。
 来年度からは、新たに委託前の研修、それから専門研修、こういったものを創設いたしまして、子どもの心理面での理解を深めるための研修、あるいは思春期対応の研修、こういったもののほかに、グループ討議、あるいは養育家庭経験者の交流研修、施設での体験などを加えた実践的な研修を行うことによりまして、養育家庭の養育能力の向上、こういったものを側面から支援してまいりたいと思っております。

東村委員 今おっしゃってくださった、本当に側面から支援していくという、この部分は非常に大事なんですね。これは忘れないでもらいたいと思いますし、児童相談所に移るということの、これからいろいろな悩みが出てくると思います。そういう里親さん方の現場の生の声ですから、これを聞いて、里親制度が本当にいい方向に、これから施設からこういう里親さんの方に子どもがどんどん移っていけば──最大のポイントはやっぱり愛情なんですね。私、施設も視察しました。確かに悪いとはいいませんけれども、愛情という部分では、絶対愛という局長がおっしゃったあの言葉には、私は勝てないんじゃないかと感じているわけでございます。どうか頑張ってもらいたいなと思っております。
2002.03.15
平成14年
厚生委員会
小松 恭子(こまつ きょうこ)議員  日本共産党東京都議会議員団

小松委員 それでは、次は、このたびTOKYO福祉改革STEP2というのが、福祉局というよりは、これは東京都ということでしっかり出てきているわけですけれども、ここでは、地域の自立を支える新しい福祉を目指してというタイトルを持ちながら、見てみますと、今までの福祉改革推進プラン、その前に、いろいろと上位計画も含めて具体的に出されてきておりますけれども、改めてここで一言でいうならば、STEP2、スタンスとしては一番求めるところは何だったのか、ねらうところ、ここで一言お伺いしたい。
 それと、この中には、中期的な目標と取り組み、うち十四年度の展開──十四年度は具体的でわかるんですけど、中期的という表現が東京都はどのぐらいをいうのか。
 それから、中には、将来のという、将来を何とかしてという言葉が出てくるんですけど、このSTEP2自体がどのぐらいの期間というんですかね、そういう意味でスタンスということも聞いたんですけれども、その辺を最初にお伺いしたいと思います。
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村山企画担当部長 ポイントといたしましては三つございまして、施設偏重の現状を改めて、地域に住み続けられるような福祉インフラをちゃんと整備しようという、地域における福祉インフラの整備、これが一つでございます。
 もう一つは、そういうインフラ整備という施策の面だけではなくて、サービス提供主体のあり方そのものを利用者本位に改革するということでございまして、それは先ほど支援費に絡んでお答えしたようなこともございます。
 三つ目が、全国一律の国の制度や規制というのは、なかなか東京に合わない、東京でのいろいろな福祉の施策の前進にとって、やや大げさないい方をすれば、一つの桎梏になっているということから、大都市の特性に合った、そういう状況を打破するための都の独自施策を展開する。この三つの点が、大きな物の考え方としての柱になってございます。
 これを各分野において進めようということで、方針と目標を定めたのがこのSTEP2でございまして、方針と目標を定めたということでございますので、そういう意味では、STEP2全体についての期間の定めというのはないということになります。ただ、具体的ないわば実行性といいましょうか、行動性を高めるという意味で、各項目ごとに、先ほどお話しいただきましたように、当面する今後数年間で遂行すべき中期的な目標と、それへの取り組みを提示いたしているわけでございまして、この数年間というのは、これまたそれぞれ分野ごとにテーマとか課題が違いますので、余り一律に年次は定めてはおりませんけれども、おおむね三年から五年程度を視野に入れて目標と取り組みを示しているものでございます。
 巻末のところには、一昨年十二月に定めました福祉改革推進プランをベースといたしまして、その後新たに展開するということになりました事業を付加いたしまして、十六年度までの分野別の事業計画をお示ししているものでございます。
 もう一つ、将来というお話でございましたけれども、将来という言葉は、都立施設改革のところに用いている将来という言葉を指していっていらっしゃるのだろうと思いますけれども、中期的な目標と取り組みの具体化というのは、STEP2の都立施設改革のところの中でお示ししたとおり、来年度検討して定める予定になっておりますので、将来像の具体化の見通しについても、こうした取り組みの中で明らかにしていくべき課題であるというふうに考えてございます。
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小松委員 わかりました。将来廃止にとか、将来は何とかといいながら、その将来というのが来年度というのはちょっとおもしろいですね、後ほどそれが出てきますけれども。
 まず最初は、先ほども質問がありました社会的養護システムの転換というのが、このたびここで明らかになっております。今、るるやりとりがあった中で、来年度からは今までの養育家庭センターから児相に移すんだということで、いってみれば、今まで都立のものはみんな民間にしよう何とかという中で、事このことは、民間などがやっている養育家庭センターを今度は都の児相が引き受けてやろうと。大変おもしろいやり方だなと思っているんですけれども……。
 その内容なんですが、そうしますと、まず第一に、今まで三十年間継続してまいりました養護施設の養育家庭センターをどう位置づけておられたんですか、そして、どう評価されておられますか、まずそこから伺いたいと思います。
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笠原子ども家庭部長 養育家庭センターの評価についてでございますが、三十年近くにわたりまして養育家庭センター、これは養育家庭制度の中核を担い、頑張ってきたということは紛れもない事実だろうというふうに思います。私どもは、その施設、それから、そこで働く職員に対しましては、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思っております。
 しかしながら、そういった養育家庭センター個々の施設、あるいは職員の努力の問題は別といたしまして、制度としては、この三十年間、養育家庭の数あるいは委託児童数、ふえていないという現状はございます。このまま現在の形で養育家庭制度を続けたといたしましても、養育家庭制度の充実は期待できないだろう。こういった考えから、STEP2の仕組みの中の図のとおり、事業廃止をして、児童相談所を中心とする新たな体制といたした、こういうことでございます。
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小松委員 いろいろと問題な発言があって、これから期待できないというような発言があったわけですけれども、そうなると、期待できないから児相にということになるんですか。これは余りにも失礼な発言じゃないか。
 改革後のイメージというところの一七ページですね、ここには、家庭的養護の仕組みということで図面があるんですけれども、改革後だからなのかもしれませんが、先ほどのお話を伺っておりますと、十四年度は一緒に協力してやってもらうんだ、だから事業委託もしているんだとおっしゃっている割に、ここに児童養護施設とか、養育家庭センターとか、そういう言葉も──何かスペースはあるんですよ、ちゃんとスペースはあるんだけど、全然、養育のよの字もないんですね。全く消えちゃって、これで本当にいいのかな、これが本性なのかなと思っていたら、今のお答えの中で、このままじゃ期待が持てないと。
 これは、そういうことじゃないんじゃないんですか。先ほどのお答えの中でも、養育センターがこのままやっても期待が持てないからではなくて、もっと東京都が責任を持ってやる、そのためには児相が本来やっていくべきなんじゃないか──私、ちょっと善意に考えていたのかな。それでも、決め方はちょっと唐突じゃないのなんていうのを後から質問したいんですが、ちょっと今のですね、お答えください。
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笠原子ども家庭部長 改めて、ここではっきりと申し上げておきたいんでございますけれども、本来、養育家庭制度の運営は児童福祉法の二十七条一項三号で、措置権者である児童相談所が責任を持ってやる、これが法の建前でございまして、そういった意味では児相が主体的に責任を持って担うべきものということでございます。
 ただ、四十八年に制度が発足したわけでございますけれども、その発足時にいろいろな事情から、養育家庭センターが担うことに結果としてなった、そして、今日まで続いたということでございます。そこをまずはっきりとご認識いただきたいということでございます。ある意味では、本来、児相が法的には担うものを本来の姿に戻すということでございます。
 しかしながら、現行の児童相談所との二重構造のもとでは、措置権を有する児童相談所と業務が重複いたします。それで、児童相談所が主体的に養育家庭を支援すること、これは不可能だということでございまして、私どもとしては、今後、養育家庭を大幅にふやしまして家庭的養護を強力に推進していくためには、やはり現行システムそのものを抜本的に見直していく必要があるんだろうと。そのためには、児相が法上は担うということになっているわけでございますので、その本来の姿に戻すということ、これをしっかりとまずご認識いただきたいということでございます。
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小松委員 東京都の方針であった本来に戻すというなら、それはそれでわかるわけですから、やはりこの三十年間──部長さんは部長職になられてから何年かわかりませんけれども、これでもう三月終わっちゃうから、四月からかわるんでしょうけれども、一度養育家庭センターで働いてこられた方々の実態をごらんいただきたいと思いますね。夜中でもどこでも本当に二十四時間、いつ電話がかかってくるかわからない、すっ飛んでいく、そして里親さんをヘルプしてこられたという実態ですね、この辺をよくわかっていただきたい。
 と同時に、それでは、そうしたやり方、今おっしゃったような、本来のところに戻したんだと。百歩譲ってそれをよしとして、よしとするというよりもそれをおいておいても、児童福祉司さんというのは、今、具体的には一人何ケース担当していらっしゃるんでしょうね。
 養護施設なんかですと、実際には私立は変わらない。都立でも、実際に指導員という方々はそんなに動かない、同じ養護施設に動くということではあるわけですけど。児童福祉司さんというのは専門職ではありませんよね。ということで、どのぐらいの頻度で異動するんでしょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
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笠原子ども家庭部長 平成十二年度一年間の児童相談所の全処理件数、これは児童福祉司の定数で割り返した一人当たりの処理件数でございますけれども、百七十五件という数字でございます。
 それから、児童福祉司の異動基準、これは原則として五年というふうになってございます。それから、東京都では専門職として採用する制度と設けられていないことから、一般行政職の中から児童福祉司は任用しているということでございます。
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小松委員 一人百七十五件、大変な数ですね。そして、この大きな数を抱えている、これで二十四時間三百六十五日、養育家庭への支援が──今までだって養育家庭への支援をしなくちゃならないという業務があったはずですよ。それが十分できないから本来に戻したとおっしゃるけど、本当にできるんでしょうか。先ほど東村さんの方から、児童相談所は評判がよくないという話がありましたけれども、余り一般的に、一律的によくないといってしまうのは、またどうかとも思うんです。一生懸命やっていらっしゃるワーカーさんもいらっしゃる。しかし、四、五年ではワーカーの積み重ねができないんですよね、これは全く専門的なことです。
 そういう意味では、ワーカーさんの専門職化ということと担当件数を減らす、このことなくして、児相が専任の責任を持ってやるのよといっても、大変危惧を感ぜざるを得ないというところなんですが、所見を伺うと同時に、具体的に児童福祉司さんの今までの、どうだったのか、ちょっと伺いたいと思います。
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笠原子ども家庭部長 専門性の問題でございますけれども、私どもも、児童福祉司は非常に専門性の高い職務、そういう位置づけで考えてございます。そういった児童福祉司の専門性ということを考えたときに、必要となるのは意欲、それから適性、こういうことだろうと思っております。ただ、私どもは資格とか学歴、これはイコール専門性ということには即つながらないというふうに思っております。
 こうした観点から、児相改革の柱の一つといたしまして、来年度、任用制度を抜本的に改革いたしまして、既に新規任用についての公募制による厳格な選考を実施しております。あわせて、研修の充実などを図ることによって専門性を高めていくということも計画いたしております。また、そういった専門性の高い職員ということでは、児童福祉司を計画的に育成していくということも実施していきたいと思っております。
 そういうふうに職員の専門性を高めながら、片方で、養育家庭センターを廃止したかわりを児童相談所が担うわけでございますので、それを担っていけるように、組織、そういったものを大幅に変えます。それから、人員についても児童福祉司を大幅に増員してまいります。それから、養育家庭担当の職員を児童相談センターに配置するということも考えてございます。
 その一方で、仕事のやり方そのものを変えていくということも考えておりまして、児童福祉司と心理職員が養育家庭担当と連携しながら、養育家庭からのいろいろな相談、こういったものに適切に対応していくような、そんな仕組みをつくって、きちんと養育家庭センターを廃止した後の対応を図っていきたいというふうに思っております。
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小松委員 私も、一概に資格と学歴だけを問うというようなことは申しません。しかし、心理療法士さんが専門職としてありますね。それからまた、保健婦さんも専門職、保育士さんもそう。医者とかそういうのになると、全然技術が違ってきますから、余り──その周りにいらっしゃる専門職もいます。やっぱり児相の職員というのも、児童福祉司、ワーカーというのは専門職である必要があると思うんですね。これは過去に全国で、区市町村のワーカーですね、ケースワーカーなんかを専門職で採ったところもあるんですよ。広島とか、東京でいえば小平も前にそういうことがありましたけど、やはり違うんですね、その福祉司さんが。児童福祉司でも福祉司さんでも。単なる資格や学歴と一言でいってしまわないで、児童福祉司というのは大変な専門性を伴う大切な仕事だということで、専門職化。
 それと、どんなに専門職で立派な力を持っていても、ケースがこれだけ多ければやっていけない、回っていかないということですね。ですから、今まで実際に養育家庭制度の中でも児童福祉司の役割はあったはずですけれども、それが全然機能しなかったわけでしょう。児童福祉司さんはサボっていたわけじゃないと思うんですよ。その意味では、言葉だけでなく、専門性というのは、今後、ぜひ専門職の方向に持っていっていただきたいと、これはお願いをするし、また計画的な研修とか、そういうものでぜひ力をつけていっていただきたいと思います。
 でも、それにしても、今回、先ほどお伺いしていますと、十四年度はそういう業務委託をということで、十四年度はといういい方をされていたということですね。経過措置をとったということだけど、これは一年の経過措置なんでしょうか。
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笠原子ども家庭部長 経過措置を設けたそもそもの目的というのは、養育家庭センターが持ついろいろな処遇上のノウハウ等を引き継いで、児童相談所の方で円滑に、新しい体制のもとで事業が実施できるように、そして、そういった体制を整えていくようにということで経過措置期間を設けたわけでございます。経過措置期間の中で、私どもとしては、そういった移行が円滑に図られるだろうというふうに思っております。
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小松委員 どういうふうにやられるか、これからなので、私もしっかり見据えていきたいと思うんですけれども、いかにせん、三十年間続けてこられた養育家庭センターを一年の経過措置で──主役は里親さん、そして、子どもですからね。その子どもたちにとって、里親にとって、安心できる養育家庭制度になっていくのか、非常に疑問を持つわけですね。
 ほかの事業なんかの移行措置、経過措置というのはどうでしょうね、いろいろあります。最近は分権で、例えば区市町村なんかにおりますと、保健所の母子保健が、これもまた衛生局になっちゃったけど、市に移管される、この経過措置は三年間ですよね。そういう形で、三年間とか、五年間とか──一年という、こうやって、まして母子保健なんていうのは、もっと具体的で、最初からそれこそ専門家の方々でやり合うんだけれども、間には子どもというのはあっても、今回は里親さんと児相と養育センターと三つあるわけですね、全部人間の問題。これがたった一年で里親に責任を持って引き継ぎができるのかと、大変疑問に思います。
 と同時に、一年の経過措置なんだけれども、前々からそういう準備をしてきたんだ、今だから一年の経過措置でいいんだ、もうここまでに煮詰まっているんだというなら、私も百歩譲っても納得しましょう。しかし、これはいろいろ伺ってみますと、非常に唐突だという感じは否めないということを現場ではおっしゃっているわけです。センターや里親に、廃止はいつの時点で通知したんでしょうか。
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笠原子ども家庭部長 養育家庭の見直しに当たりましては、養育家庭センターの長、あるいは指導員、そういった人に対しまして数多く会議を重ね、あるいは里親会に対しましても説明、意見交換、こんなものを行ってまいりました。養育家庭センターの問題点、あるいは養育家庭制度の見直しについては、こういうふうにいろいろな説明とか意見交換を通しまして、時間をかけて協議をしてきて、そして、養育家庭センターからも制度の見直しについて、その中でご承認をいただいて、全面的に協力する旨の了解を得て決めたということでございます。
 十一月半ばに、最終的に私の方から、センター長との打ち合わせの会でお話をいたしまして、そういった考え方には、理念には賛意をあらわすというようなお返事をいただいたところでございます。
   〔発言する者あり〕
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小松委員 質問者は私でございますので。東村さんもさっき質問されたから、いろいろ気になるんでしょうが……。
 私が申し上げているのは、どの施設とも納得し合って、いいですよというならいいんです。唐突な話じゃないんだよとおっしゃるならいいんですよ、これは私が受けるわけじゃないんですからね。余分な心配をしなくてもいいんですけれども、それじゃ、本当に私のこの心配というのは余分な心配であって、決して唐突な話ではないんだと確認してよろしいんですね。
 ただ、私は、昨年の十一月とおっしゃいましたけれども、半年前にしてこれを十分理解してもらえたという感覚を持ってもらうと、三十年ですよ、その間やってきたのは。昨年の十一月で、あと半年のところで、この制度は来年の三月廃止よ、十四年度から児相よといわれて、これはセンターの方々というより里親の方々──実際に、私もいろいろ伺っているんですよ。
 これはたくさんありますから、そんなにたくさんいえないんですけれども、例えば、これまで八センター、常勤ワーカー十六名で行ってきた業務を、児相、サポートステーション、児相センターの事業化に分けて、児相の福祉司はこれまでも担当していたわけですし、養育家庭センターの十六名の常勤職員でやっていたことをこういう体制にして、里親の支援が本当に充実するんでしょうかと里親の方が実際におっしゃっているわけなので、今のような質問になったということです。もう一回お答えください。
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前川福祉局長 個別具体的な話ですが、私もちょっと関係しておりますので、お答え申し上げたいと思います。
 里親制度の中の養育家庭というのは、東京都が独自に昭和四十七年に導入したわけであります。そのときたまたま私も採用されて、最初民生局に十年ほどいたんですが、二年目でそこに配属されて、若干創設にかかわったんですが、先ほど説明しましたとおり、本来からいえば法的性格もそうだし、やるべき仕事からいっても児相がやらなくちゃいけなかったんです。
 ところが、いろいろな事情で、余り大した事情じゃないんですが、やや形而下的な事情で、児相が引き受けないと。それで、本来であったら里親制度と矛盾するはずの養護施設に、養育家庭センターを置かざるを得ないという奇妙な話になったんです。この話は突然ではなくて、それ以来三十年間、やれやれといっても、ふえないんですよ。しかも、小松先生も恐らく現場にいらしてお聞きになったと思うんですが、大半の里親さんはそういう点では不満があるんですね。だから、それを変えたいというのが我々の今の発想なんです。
 そこで、確かに一部のセンターの人は反対もしましたが、現実にこうやって動かしていって、今はほとんどの皆さんが納得しているわけですね。三十年来そういう経緯があって、それを踏まえて、東京の子どもの養護をよくするためにはこうするしかないということをみんな感じているから、皆さん、同意してくださっているのであって、そこはぜひご理解いただきたいと思います。
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小松委員 局長も、懐かしい入所というか、最初のころの思い出があると思い、また、本当にいい時期に入っていらしたと思うんですけれども、確かにその経過も私は伺っております。それで、私自身もそういう話も聞きました。それで、一方では里親さんが、本当に養育センターにお世話になって、これで心配ないと。もう一方の方が、いや、養育センターなんか、全然見てくれなかったと、ある方はおっしゃったんです。私、いや、こういう意見もあるよといったら、それはどこの園ですかといわれて、ここで名前は出しませんけど、想像できるでしょう。T園だといったら、あそこは別格ですよ、うらやましいですよ、あそこだったらっていわれたんですよ。そこの里親さんと、我々なんか本当に見てもらえなかったという、確かにそのセンターによって違うんですね。だから、私も一概に申せません。一つ一つ聞いて、全部調べたわけじゃないんですけど、ただ、最小限、去年の十一月でいきなりというのは、一生懸命やっているところは、大変恩恵だと思っているところは、えっというのが多いんですよ。
 ですから、要は里親さんたちに、いや、よかったね、こういうメリットがあるって納得されればいいんです。実際に、またそういう声を聞けば、私も安心します。具体的に、今度こういう体制になって、どんなメリットが出てくるんでしょうか、中心は里親さんにとって。
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前川福祉局長 個別のことですから、内容は部長の方から。
 もう一言だけ申し上げておきたいんですが、発想の原点は、たまたま先ほど東村委員から、ちょっと過褒をいただいたんですが、子どもの養育というのは、本来、家庭的環境、つまり、ある時期、我々、お互いに子どもを育てて、よくわかるわけですけれども、子どもというのは、親の絶対無条件の愛情が必要な時期があるわけですね。これは、自分の実感としても、いわば太陽の光と同じように、それはなくちゃいけない。
 じゃ、自分の子どもを今の養護施設に預けたいと思うかと。率直にいって、それは思いませんよね。それは、決して施設の責任でもなければ、個々の職員の責任でもない、システムとしてやっぱりおかしいと。子どもを施設に入れて管理するというのは、必要やむを得ない最後の措置であって、それ以前に、できるだけ家庭的な環境をつくってやっていきたい、それが我々の発想の原点であります。そのために養育家庭をふやしていきたい。養育家庭をふやすためには、あわせて児童相談所の改革を強力にやらなくちゃいけない。これは何十年来の懸案なんですね。
 まことにいいにくいんですが、ここ十数年、児童福祉司の定数は一人もふえなかったんです。今回二十二名ふやしました。これは、たまたま私は二年前まで人事行政をやっておりましたので、一分野で二十二名ふやすというのは容易なことじゃ──例外中の例外であります。それだけの措置をやって、かつ、任用制度も抜本的に変えて、この四月の任用でも、先ほど先生がおっしゃったように、事務職の出よりも現場の出の人の方が初めて上回るんです、児童福祉司の現実の任用においても。
 そういう形で、児相を抜本的に変えながら、養育家庭も抜本的にふやしていきたい。これは評価していただきこそすれ、決して批判されるべきことではないと私どもは確信しております。
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小松委員 そういう局長の、今まで思いをかけてこられたというのはわからないでもないんですよ。でも、私は現実、現場を実際にこの目で見ながら、感じているそのままを申し上げたんだけど、二十二名ふやしたと、今具体的な数字が出ました。確かに二十二名ぼっとふえたら、大幅にふやしたということになるんですけど、本当に部長、二十二名が純増でふえているんですか。
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前川福祉局長 細かい話で。私は人事行政をやっておりましたので、今回も指示をしました。定数がふえたからといって、現員をそのままにして形だけにするんじゃない。そのために、変な話ですが、現実に過員がいるわけですね、これまでの過員があります。それを減らすなと。そのまま定数増がイコールで上乗せになるかどうかは、過員の数からいったら可能ですけれども、問題は、任用できるだけの資質のある職員をそろえられるかどうかという問題はあります。ちょっと情けないことですが、本当にすぐれた人材がそんなにたくさん一挙に確保できるかどうかという問題はあります。ただ、少なくとも二十二名イコールではなくても、大幅に実質の人員増をすることはお約束いたします。
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小松委員 実態を見ながら、二十二名ふえてはいないんだ、過員がいたんだと。しかし、それでも大変だったんですよ。でも、今回、十六名ですか、十六名の方々は実際にそれぞれ職を失うというのか、急に去年の十一月ですから、ことしの三月でどういう形に各職場がなっているのかということも含めても、たまたまそうやって多くなったからということもあるのかもしれませんけれども、そういうことから見ても、決して大幅な人員増というふうに私も思えていないというのが今の実際なんです。それは実際に見ていただけたら、わかると思うんですね。
 そういう中で、そこは論じていると切りがありませんので、具体的にもとへ戻しまして、里親さんが一体どういうふうに意見をいっているのか。さっき、私、一つホームページなんかから出して見ましたけれども、聞くところによれば、今月の三月九日には里親さんへの説明会もしたということですけど、そうしたところの里親さんの声、もしお聞きできればと思います。
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笠原子ども家庭部長 先ほど人員のことにつきまして、局長の方から、児童福祉司二十二名、定数だけではなくて実質的にというお話がございましたけれども、私ども、児童福祉司だけではなくて、里親担当を五名、新たに増加しております。それから、支援センターの方には三名の職員の増加も考えております。それから、もう一つ、里親支援員のところには十名の職員を考えております。ですから、トータルとしてはかなりの数の増員を図って、全体として、きちんとした対応ができるような人員措置を図っているということをご理解いただきたいと思います。
 養育家庭等からどんな要望が寄せられているかということでございますけれども、養育家庭連絡会からの要望といたしまして、きちんとしたサポートシステムをつくること、それから、養育家庭の交流の場をつくってほしいこと、アフターケアの制度を設けてほしいこと、こういった要望が出されております。
 それから、三月九日の説明会では、緊急時の対応や養育家庭の支援について、児童相談所が責任を持って対応できる体制にしてほしい、それから、専門的なカウンセリングができる体制を整えてほしい、アフターケアの制度を設けてほしい、そういった要望がさまざまな形で出されているということでございます。
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小松委員 先ほど、里親にとってのメリットは何なのかというのは、お答えいただいたかしら。ちょっと私、聞き損なったのでしたら申しわけありません。
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笠原子ども家庭部長 子育て相談、それから里親及び委託児童の心理的ケア、こういったものについて児相が今度はかかわってくるわけですから、児相の専門的な能力、こういったものを使うことができる。
 それから、研修の問題では、新たに里親の委託前の研修、専門研修、こういったものをつくりまして、子どもの心理面での理解を深めるための研修や思春期対応の研修、グループ討議や養育家庭経験者の交流の研修、それから、施設での体験なども加えた実践的な研修を行うことによりまして、養育家庭の養育能力の向上、こういったものを支援していくということ。
 それから、養育家庭支援センターが行うレスパイト支援や学習補助支援、家事援助支援など、養育家庭を支援する新たな仕組みが利用できるということ。
 それから、養育家庭が悩みごとを気軽に相談する相手としての養育家庭の支援員を配置する、そういったものがメリットだろうと思っております。
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小松委員 これ以上、今の再質問はしないけど、ちょっといっておきたいのは、児相の専門的な形でのケアができるというお話なんかは、逆にいえば、養護施設の方が専門家がいるんですよ。指導員も皆さん、指導員として、ワーカーとしての専門教育を受けた方がいらっしゃるんですよ。だから、里親にとっての今回のメリットがそこなのかと。
 それからまた、いろいろな研修とおっしゃっていましたけど、そうすると、今まで研修というのは余りやっていなかったのかと。これは里親にとっては大変なことですね。里親にとっては、素人の里親さんが続けていこうと思えば、研修の中で、ケアを受ける中で子どもとのマッチングもだんだんと密になっていくということでは、今までのことをいってもしようがありませんけれども、ぜひしっかりした研修をやっていただきたいというふうに思います。要望にしておきましょう。
 もう一つ、こうやって児相との関係では、今は実際には、最初にかかわった児相さんとの関係で、それこそ八王子から一番はずれの荒川でも、そういう形で、大変遠くてもそういうかかわりをしていると。そうじゃなくて、地域の児相さんとの関係ということでは、児童福祉司のケース移管というのでしょうか、そういうものも考えるべきと思うのですが、いかがでしょうか。
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笠原子ども家庭部長 子どもの視点に立って考えた場合には、子どもは将来的には家庭に引き取られる、こういうことを考えれば、実親と子どもの居住地の児童相談所がケースに責任を持つべきものだろうというふうに思います。その上で、里親の居住地の児童相談所が里親の支援を行う仕組み、こういったことをつくっていくことを検討してまいりたいと思っております。
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◯小松委員 それにしましても、今、里親の数がなかなかふえないということでは、今の養育センターが悪いというのではなく、都自身、児相自身が養育家庭制度の活用について意識改革をしていただいていけば、養育家庭の数はふえると思うのですが、ぜひお願いしたいと。
 それで、養育家庭さんをふやしていくということでは、数値目標もきちんと持つべきだと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
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笠原子ども家庭部長 先ほどSTEP2のお話がございましたが、その中でも書いてありますように、ケアを必要とする子どものうち、当面、二割から三割程度に対しまして、養育家庭、あるいはグループホームなどで家庭的な養護を行えるような体制整備をする、こういう中期目標になってございます。
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小松委員 ふやすということでは、今回もそうした予算が措置されておりますけれども、これについては、例えば、ふえないふえないというけれども、ホームページを見ても、東京都は、本当に隅々にわたるまで丁寧なホームページがあるんですけど、里親の案内となりますと、これがないんですね。これは、他県なんかがむしろ出ているんです。ぜひこうしたホームページにも丁寧に、今、ホームページを皆さん本当によく見ますからね。PRというなら、お金のかかることじゃないんですから、ぜひそういうのもつくっていただきたいし、それから、この養育制度を進めていくためには区市町村を巻き込んでいかなければだめだと思うんですね。
 その意味では、区市町村の広報を、一回じゃなくてお願いするとか、窓口をお願いするとか、そういったPRということではぜひ努力していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
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笠原子ども家庭部長 やはり里親さんをふやすためには、先生おっしゃるとおり、PRというものが大変重要だろうというふうに思っております。今、インターネットのお話がございましたけれども、私どもとしては、インターネットを使った広報は四月から実施する予定でございます。それから、広報につきましては、制度改正に合わせまして、来年度大々的にやっていきたいと思っております。新聞広告、あるいは駅ポスターなどの大規模な広報活動に加えまして、今先生お話しの区市町村の広報も活用して積極的なPRを図ってまいりたいと思っております。
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小松委員 ぜひお願いします。と同時に、養育家庭さんが本当に明るく、生き生きと里子さんというんですか、育てていらっしゃるのを見て、口コミで広がる、こうあっていただきたいと思いますね。
 そういう意味も含めまして、養育家庭でも専門の里親制度というのが、今動きがあると思うんですけれども、これらも東京都が独自の仕組みって、さっきSTEP2のお話の中にありましたので、ぜひこうした構築もしていただきたいということでは、時間も余りないので、お願いしておきたいと思います。
 それで、そうしたことも含めますと、母体となってきました児童養護施設について、今ここで見直さなければならないのかなという思いがしますので、伺いたいんです。
 ここの一七ページにもありますけれども、現状が、例えば被虐待による社会的養護の必要性が増加していると。措置理由の変化として、昭和五十二年度と平成十二年度では、被虐待児が二・四から一四・六、それに対して親の家出、離婚、死亡というのが、今まで五九・二から七・七と全く逆転しているわけですね。非常にふえているという中で、一方では、養護施設におけます心理療法士とか個別対応職員の配置状況、これは全く設置自体から変わってないと思うんですけれども、今どういう状況にあって、そしてまた、この配置基準というのはいつごろつくられたものなんでしょうね。
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笠原子ども家庭部長 まず、心理療法士でございますけれども、五十六施設のうち、現在二十五施設が対象施設となってございます。
 それから、個別対応職員でございますけれども、現在、十六施設が雇い上げ費加算分設定の承認をいたしてございます。
 それから、配置基準でございますけれども、現在の補助金算定上の児童養護施設における東京都としての基本的な配置基準を定めたのは、昭和五十四年度でございます。
 なお、その後、事務員、それから指導員特別加算、宿直専門員、自立支援指導員、心理療法担当職員、被虐待児童個別対応職員など、国制度に合わせました人員配置も東京としては行ってまいってきております。
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小松委員 今お話がありましたように、昭和五十四年とおっしゃいましたか、そうしますと、これは二十年以上前になりますね。先ほどお話ししましたように、STEP2にも書かれているように、今、養護施設に入ってくる入所理由も、措置理由もこんなに変わってきているんだという中で、非常に専門性も求められるし、非常に難しくなる。まして、これから養育家庭制度をどんどん普及しなくちゃいけない、させていくわけです。そうすると、施設の中に、対応の大変な子が残るというのが目に見えてくるわけですけれども、そういう意味で、施設配置や建物基準などの抜本的な見直しが必要かというふうに思いますので、これはぜひお願いしておきたいと要望します。聞いたところで、きっと──すぐ対応するという答えが今ここで返ってくるといいんですけれど、それは聞かずに、とにかく強い要望をしておきます。
 と同時に、こうやって今の養護施設は大変な子どもたちが多いということは、もう一つ情緒障害児短期治療施設という、情短といわせていただきたいと思いますけれども、この情短施設があれば、これは違うんですね。国は、この情短施設をきちんとやりなさいということを非常にいっているわけです。
 例えば、これも予算に当たってのものなんですが、こういう大変な児童がふえてきているということを書いた後で、これら児童に対する専門的な治療施設として、情緒障害児短期治療施設の整備が急務である、全県に少なくとも一カ所は整備する必要があるということで、もしそういうことをすれば、児童養護施設に対する予算としての融資率も引き上げるよといういい方もしているんですね。
 これは、私、前に質問したときに、東京都はそういう方針にないんだというお答えがあったわけで、なぜか東京都は情短施設を一つもつくってこない。関東近県にも少ないんですが、先日、私、横浜いずみ学園を見てまいりまして、情緒障害児なのかなというぐらい子どもたちが落ちついていました。そして、施設内の学級で、本当は学校に行きたくない子どもたち、行けない子どもたちが、施設内だったら、そうやって学校にも行けるんだということで、大変すばらしい施設だなということを見てまいりました。
 東京都は、かたくなに情短施設はしないんだということではなくて、ここで情短施設──何も私、ここで都立都営を、あったらいいけれども、それに限りなさいなんていっているんじゃないんですよ。例えば、私立でもいい、児童養護施設の中で情短やってもいいよ、そういうところもあるって、これはどこで聞いたかといったら、横浜いずみ学園でいうんですよ。東京都だって、そういう手を挙げる施設はありますよと。だったら、そういうところに、国もそういうところに振り分けてもいいんだよということをいっております。ぜひ情短施設の方向というのを、もう一回聞かせていただきたいと思います。
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笠原子ども家庭部長 今、先生、横浜いずみ学園を視察されたというお話を聞きました。私どもも、担当の課長に横浜いずみ学園を見させました。それで、若干先生とは認識が違うんですが、多園児の在園期間が非常に長期化している。専用のそういった施設を設置しても、結局、利用できる児童は非常に限られた児童しか利用できないというふうに限定される、こう私どもは思います。
 こんなことから、東京都におきましては、情緒的な問題を抱えた児童のケアを専用施設で行う、こういう国の制度の考え方につきましては、東京都の方針としては残念ながらとらない。そして、既存の児童養護施設等において、児童相談所の技術的援助と地域の医療機関、こういったものとの連携を密接に図りながら対応していくと。今後とも、こういった方針に沿って対応していくということでございます。
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小松委員 ほかのことでは国の基準、国の基準とよくおっしゃいますけれども、事この情短の施設になると、国はこうだけれども、東京都は独自な考えが出てくるんですね。非常におもしろいというふうに思うんです。
 それなら、きょう、あしたに情短をつくれないんだよ、だから児童養護施設を大切にするんだということでしたら、どんどん養育家庭の方をたくさんつくられて、子どもが地域の中で、家族の中で育つということは基本だと思います。でも、それが今できない事情の中では、施設も充実していかなければいけない。ほんの一部ではあるけれども、その情短施設もつくらなければならないという中で、先ほどから局長さん、何回も立っていただいて大変申しわけないんですけど、この部分として、最後に局長さんの思いを語っていただかないと、お聞きしないと終わらないというふうに思いますので、この質問の最後に局長さんのお考えをお願いします。
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前川福祉局長 今の件につきましては、私も部長の答弁と全く同じ考えでございます。
2002.03.12
平成14年第1回定例会予算特別委員会総括質疑
(予算特別委員会 総括質疑 木内 良明 委員(公 明 党) )より

木内委員
 大変内容の充実した答弁でありましたので、その施策の推進を強く要請をするものであります。
 それから、もう一点、幼児虐待の問題であります。
 さっき和田副委員長も触れられましたけれども、最も愛されなければならない親から虐待をされ、心のよすがを失い、まさに帰るべき母港を失ったように漂流する船に例えられるような、そうした子どもたちの事例が今大きく社会を震撼させているのであります。単なる行政システムだけではなく、血の通った施策の展開が必要だと思うのであります。
 これは、概括的に私は知事にお伺いいたします。
 治療援助を含めて一たんは施設に入れられた子どもが親元にまた戻れるような、親の指導、親の精神の構築、あるいはそういう環境づくりということが極めて重要だと思います。先ほど雑談をしたときにも申し上げました。けさ、著書の「わが人生の時の時」というのを読んでまいりました。極限状態における命のとうとさ、これにかけるまた人間の美しさというものを、きょう、知事の著書の中で再確認したわけでありますけれども、命のとうとさというのは、この虐待を受ける子どもにあっても同じことだと思いますので、ぜひ知事のコメントを答弁いただければと思います。

石原知事
 虐待される幼い子どもたちをどう守るかというのは、いろいろ手だて、方法があると思いますが、先般、福祉局に案内されまして、里親家庭というのを初めて拝見しましたが、非常に強い印象を、感銘を受けました。あれは非常に奇特な方々があってのことでありますけれども、東京はかねてから心の東京革命を主唱しておりますし、人と人の交流が本当に、都会でありながら希薄になってしまったために、若い夫婦が相談もできない、相談する相手もいるようでいない。まことに、そこで、近所に人がいながら孤立している若い親たちが、当たるところがなくて子どもをいじめるというような事態が頻発しているわけですけれども、これはもうとにかく深刻な問題でありまして、里親家庭の普遍も含めまして、多角的に複合的にいろいろ手を尽くして、とにかく積極的に考えていかざるを得ない問題だと認識しております。
 今、私ここでそれ以上のこと答えられませんが、ちょっと私自身にとっては想像できないような事態が若い人の家庭に起こっているというのは、本当にただただ慨嘆するだけでも済まないことでありますけれども、行政としてもできるだけの手を尽くしたいと思っております。また何かアイデアがございましたら、ひとつお教えいただきたいと思います。
(予算特別委員会 総括質疑 和田 宗春 委員(民 主 党) )より

和田委員 
 子どもたちの養育も、家庭的養育が望ましい。私どもはさきの本会議質問でも、家庭的養護が望ましいということを主張いたしましたけれども、被虐待児を預かる養育家庭の親御さん、お母さん、お父さんたちにも、子どもへの接し方など、情報提供したり、サポートすることも、これから必要だと思うのです。
 これらを踏まえて、現在不足しているといわれている養育家庭をふやしていくために、どのように東京都は取り組みをされようとしているのでありましょうか。

前川福祉局長
 今お話がありました養育家庭制度、これはいわゆる社会的養護を必要とする子どもを家庭的環境のもとで育てるという里親の一種でございますが、これにつきまして、私どもは大幅に拡充していきたいというふうに考えております。
 そのためには、まず、都民の皆さんにこの制度を理解してもらうことが必要でありまして、十四年度は、新聞広告、ポスター、インターネットを利用するなど、さまざまなメディアを活用しながら、大規模な広報活動を行って、制度の周知を図っていきたいというふうに考えております。
 また、お話がありました、被虐待児等を預かる養育家庭を支援するために、これまでと違って、児童相談所が指導、支援の中心となる体制を整え、訪問指導や心理面でのケアなどを積極的に行ってまいりたいと考えております。
 あわせて、この児童相談所と協力をし、子どもの養育の援助や相互交流を行う拠点、さらには養育家庭が悩み事を気軽に相談できる仕組みを整備してまいりたいと考えております。
2002.02.28
平成14年第1回定例会  一般質問
一般質問(開議第四日)2月28日(木)  串田 克巳  議員(自 民 党)

串田克巳君
 質問の機会をいただきましたので、何点かお伺いいたします。
 まず、小児病院問題については、過去に何人かの議員から質問されておりますが、私も地元の議員として、その後の経過等を踏まえ、質問させていただきます。多くの都民の、特に小さいお子さんを持つお母さん方の意見を知事に素直にお伝え申し上げたいと思います。
 一点目に知事にお伺いしたいことは、知事が次世代を担う子どもたちを何より大事にしていると考えている多くのお母さん方がいるという、その確認についてであります。
 知事は、過日、府中療育センターという障害児施設に視察に行かれました。あるお母さん方によりますと、石原知事がこうした施設に行かれたこと自体、極めて大きな驚きと大きな喜びであったようです。そこでの発言が新聞等で問題になったようですが、そんな発言はどうでもよく、あの忙しい石原知事が障害者施設に行かれ、みずからその人たちに会われ、医療従事者たちを励ます姿を見て、本当に感激し、涙すら流す方もいたそうです。本当はとても優しい方なのだというのが、私が会ったお母さん方の意見でした。
 そこで、まず知事にお伺いいたします。知事は、次世代を担う子どもたちの健全育成のための教育、福祉、医療等の施策と、都市開発等、他の施策と比べ、どのように重く受けとめておられるか、お伺いいたします。
(略)

知事(石原慎太郎君)
 串田克巳議員の一般質問にお答えいたします。
 子どもたちの健全育成のための施策についてでありますが、だれしも子どもたちの健やかな成長を願う気持ちは変わらないと思います。先日も養育家庭を訪問して、非常に強い印象、感動を得ましたが、子育ては家庭が中心となるべきものとはいえ、行政の果たすべき役割も非常に大きいな、重いなという感じがいたしました。
 都では、子どもが健やかに成長し、未来に希望の持てる社会をつくるということを重要施策の政策課題に掲げて、今後とも国にも先駆けて、教育改革や福祉医療改革など、子どものためのさまざまな施策を推進していきたいと思っております。
 同時に、子どもたちが将来に希望を持てるように、東京が環境の危機や交通渋滞、雇用、産業問題などを克服して、都市としての活力を取り戻していくことが子どもたちのためにも不可欠であると思います。
 このように、子どものためにも総合的、複合的に取り組んでいくことが将来を担う子どもたちのための真の福祉の拡大にもつながるものと考えております。
 ご質問の中に、子どものじかの養育というんでしょうか、それに必要な施設と、一般の社会資本とどっちが先かというようなご質問があったと思いますが、これは決してどちらが先ということでもなくて、合わさって、それが充実していくことが子どもの将来につながっていくと思うんです。
2002.02.27
平成14年第1回定例会  一般質問
一般質問(開議第三日)2月27日(水) 東野 秀平  議員(公 明 党)

東野秀平君
(略)
 続いて、家庭的養護の推進について伺います。
 知事は日ごろから、子どものしつけや教育は親の責任といわれ、家庭の役割の重要性を主張されています。価値が多様化する今日、子どもが行動規範を身につけ、自立していくために家庭の役割はますます大切になっていると考えます。
 一方、親としての責任を果たせない未熟な親がふえ、地域の養育力も低下しています。育児放棄や虐待などの悲惨なニュースがあふれており、このままでは未来を託す次代の子どもたちを健やかに育てていくことはできないのではないかと危惧しています。
 知事は先日、養育家庭の熱心な取り組みを視察し、このような取り組みをもっと世間に知らせるべきであり、養子縁組を目的としない里親である養育家庭をふやす必要があると述べられていました。
 さきに発表したTOKYO福祉改革STEP2においても、現在の施設中心の社会養護システムを転換し、ケアが必要な子どもたちを家庭的な雰囲気の中で養育する体制を整備するため、養育家庭制度の充実に取り組むことを明らかにしています。
 我が党は、かねてより、地域の中での家庭的な養護を推進すべきことを主張してきたところであり、高く評価するものであります。改めて、養育家庭制度の充実に向けた知事の所見を伺います。
 さて、現行の養育家庭制度は、制度発足から既に三十年近くが経過していますが、登録数、委託数とも低迷状態が続いております。その大きな原因の一つに、都のモニターアンケートの結果にもあるとおり、都の養育家庭里親について、「内容について知っていた」はわずかに一割という実態にあります。
 そこで、パブリシティーの活用などを含めた制度の周知徹底を図ることが極めて大切であると考えます。所見を伺います。
 また、自分の子どもであっても子育てに苦労している今日の社会環境の中で、心に傷を負った子どもたちの養育をして温かく受けとめている養育家庭の方々の労苦ははかり知れないものがあります。アンケート結果からも、相談体制の整備、養育費として十分な額の支給、さらに、トラブル時の手助けが都民の声として上位を占めています。
 これまで、ともすれば、養育家庭の愛情やボランティア精神に依存し、支援が不十分であったことは否めないのであります。さらに、養育家庭に対する支援は、児童養護施設九カ所に併設していた養育家庭センターに委託し進められてきましたが、必ずしも十分に機能していなかったのではないでしょうか。
 都は、養育家庭のバックアップ体制の充実など、社会的養護システムの再構築に向けて支援体制の見直しを進め、養育家庭支援のレベルアップを図るべきであります。所見を伺います。

知事(石原慎太郎君)
 東野秀平議員の一般質問にお答えいたします。
(略)
 次いで、養育家庭制度についてでありますが、これは、先般、坂本さんとおっしゃる八王子の養育家庭を視察させていただきました。非常に感銘を受けましたし、いろいろなことを考えさせられました。
 やはり、普通の施設と違って、ああいう形の、親が起居をともにして、起きたときから寝るまで子どもをしつけるということは、本当に子どもにとってもありがたいことだと思います。
 残念ながら、育って、交通事故で十七歳で亡くなったお子さんの話をしておられましたが、自分の親以上に慕って、町でその坂本さんと同じ名前のお葬式の表示を見ると、自分の親かと思って、はっとした。それから、あるとき何か非常に心配になって、離れたところから、お金がないので三日歩いて親のところまで来て、安否を確かめて喜んで帰ったというような話は、非常に感動的でございました。
 そういう大人と子どもの関係が親子という形で、産みの親より育ての親という言葉がありますが、これは本当にありがたい施設で、案外、世間は知りませんし、また、非常に誤解をして、金目当てでそういう試みをしているんじゃないかという非常に悪い評判が立ったりするけれども、我慢してやっているんだというお言葉がありましたが、私、案外、世間もこういうことは知らないものですから、ある有力な出版社を紹介しまして、あの家庭をモニターにして、そういう一つのドキュメントを本にして、テレビなどにも紹介しながら、東京からこういう制度というものを日本に普及させていきたいと思っております。
(略)
福祉局長(前川燿男君)
 養育家庭制度につきまして、二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都は、社会的養護を必要とする子どもを家庭的環境のもとで育てる養育家庭制度を大幅に拡充していく方針でございます。
 しかしながら、この制度の存在自体が知られていないことに加え、養子縁組を目的としないこと、また、最短一カ月からの養育が可能といった制度内容についても広く認識されてはいないのが現状でございます。
 したがって、ご指摘のとおり、何よりも都民に養育家庭制度を理解してもらうことが肝要であり、十四年度は、新聞広告や駅ポスター、インターネットを利用したPRなど、さまざまなメディアを活用しながら大規模な広報活動を行い、積極的に制度の周知を図ってまいります。
 次に、養育家庭に対するバックアップ体制の充実についてでございますが、養育家庭が安心して子どもを養育できるようにするためには、お話しのとおり、育て方の悩みやトラブルへの対処など、その負担を軽減するための支援策を充実することが極めて重要であると認識をいたしております。
 このため、十四年度から、児童相談所が養育家庭に対する指導、支援の中心となる体制を整え、訪問指導や心理面でのケアなどを積極的に行ってまいります。
 また、児童相談所と協力しながら、子どもの養育の援助や養育家庭相互の交流を行う拠点を新たに設置するとともに、養育家庭が悩みごとなどを気軽に相談できる仕組みを整備してまいります。
2002.02.20
平成14年第1回定例会
平成14年第1回都議会定例会知事施策方針 より

石原都知事
 今年最初の都議会となる平成14年第一回都議会定例会の開会にあたり、一年間の施政方針を申し 述べ、都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
(略)
(福祉、医療改革の推進)
 行政の透明性や費用に見合った効果が厳しく求められる時代を迎え、これまで聖域となりがちだった福祉や医療においても、不断の改革を怠ることができません。
 福祉の改革は、一昨年、推進プランを策定して基本理念を示し、認証保育所など様々な施策を独自に実施しております。しかし、この間の取組みの中で、新たな対応を要する課題が明確になったため、先般、「福祉改革STEP2」を策定いたしました。
 柱の一つは、サービスの内容について、施設への措置に偏った画一的な対応を改め、きめ細かな福祉を実現することであります。今後は、一人ひとりが自分に合ったサービスを選択できるよう、グループホームや生活寮、養育家庭など地域に密着した事業を充実してまいります。
 もう一つの柱は、サービスの供給主体について、公立と社会福祉法人中心の閉鎖的な体制を改め、NPOや民間事業者などにも積極的に門戸を開くことであります。国の規制緩和は一向に進みませんが、東京都が実施する改革により、事業者の間で競争が促され、質と量の両面においてサービスを改善できると思います。今後、社会福祉法人や都立福祉施設のあり方について、具体的な対応策 を考えてまいります。
(略)   
2002/02/19
平成14年
厚生委員会
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前川福祉局長
 平成十四年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の概要についてご説明申し上げます。
 初めに、平成十四年度予算案についてご説明申し上げます。
 平成十四年度東京都予算案は、東京が直面する危機に積極的に対応する予算として、財政再建への取り組みを進めるとともに、優先課題に積極的に取り組むことを基本に編成されました。
 これを踏まえ、福祉局予算案は、地域での自立を支える新しい福祉の実現を目指す予算と位置づけまして、編成に当たりましては、事業の効果的、効率的なあり方を最大限追求し、高齢者の地域生活と自立の支援、子育て環境の整備、障害者の自立生活への支援、新しい福祉の仕組みづくりの各課題について、施策の充実に努めました。
(略)
 第二は、子育て環境の整備でございます。
 地域や家庭の養育機能の低下や虐待の増加など、子どもと家庭を取り巻く環境が大きく変化する中で、地域における子育て支援の拠点となる子ども家庭支援センター事業や、各種サービスを実施する子ども家庭在宅サービス事業補助を引き続き拡充するとともに、地域における関係機関との連携を強化する児童虐待防止区市町村ネットワーク事業を実施いたします。
 同時に、都といたしましても、児童福祉司の大幅な増員や、専門性を強化するための特別研修を行うとともに、虐待により親子分離した家族の円滑な家庭復帰を支援する家族再統合のための治療援助事業を実施し、児童相談所の相談・支援体制の一層の強化に努めることといたします。
 次に、社会的養護につきましては、家庭的養護を強力に推進することといたしまして、養育家庭の規模の大幅な拡大を図るとともに、児童相談所からの支援を強化し、あわせて養育家庭の日常的な相談に応じる体制、交流事業等を行う拠点の設置や研修の充実など、養育家庭への支援体制を強化いたします。
(略)
 次の四一ページをごらん願います。4、家庭的養護でございます。
 社会的養護を必要とする児童のニーズへの対応を、施設養護中心から家庭的養護へ転換していくこととし、養育家庭等への委託児童数をふやし、三百人といたします。
 また、家庭的養護の充実に当たっては、養育家庭の支援体制の再構築を図ることとし、従来の養育家庭センターによる支援にかえて、児童相談所の機能の強化を図るとともに、日常的な相談に応じる体制や交流事業等を行う拠点を創設するなど、きめ細かな養育支援を行ってまいります。
(略)
 子ども家庭分野につきましては、一四ページで、東京の保育を都市型サービスに転換させ、保育サービス総体のレベルアップを図るという方針を示しまして、以下一六ページで、社会的養護システムを再構築し、ケアの必要な子どもを家庭的な雰囲気の中で養護できる体制を整備、一八ページでは、子育てを地域の中でバックアップし、虐待等の深刻なケースにも速やかに適切に措置と、それぞれ認証保育所の普及促進や養育家庭制度の充実などにつきまして述べております。
(略)
2001.12.11
平成13年_第4回定例会(第16号)
和田宗春君 (都議会民主党)
 私は、都議会民主党を代表して、当面する都政の主要課題について、石原都知事、野田警視総監並びに関係局長に伺います。
(略)
 次に、児童虐待について伺います。
 児童虐待防止法が施行されてちょうど一年が過ぎました。都民の児童虐待に対する関心も高まってきているところであります。児童虐待防止法は、虐待を受けている子どもの発見、保護の仕組みをつくりました。しかしながら、子どもの保護を行えばすべてが解決するわけではありません。とりわけ心身に傷を負った子どもたちのケアや、成長のためにどのような養護が大切かという課題については、まだまだ議論が十分尽くされていません。虐待に限らず、さまざまな事情により、家庭で生活することができず、社会的な養護が必要な子どもの数は増加傾向にあると思うのであります。
 東京都は、今日の社会的養護の状況をどのように認識し、どのような対応を行ってきているのか、福祉局長の見解を伺うものであります。
 子どもたちが大人との信頼関係を再び取り戻し、自分の人生を力強く進んでいくために必要なのは、愛情に満ちた家庭的環境であります。ところが、ほとんどの子どもは児童養護施設で集団生活を送っており、定員が百名を超える大規模なところも少なくないのであります。また、東京から遠く離れた施設に入所していることも多いようであります。東京都では、戦後一貫して施設中心の児童養護施策を展開しており、現在、養育家庭、すなわち里親に預けられている子どもは全体のわずか七%、約二百人にすぎません。ここまで児童養護施設委託の割合が高いのは、先進国では日本だけであるといわれています。
 十一月二十四日、福祉局子ども家庭部は、都庁で養育家庭シンポジウムを開催し、私も参加をいたしました。児童虐待の増加等を背景として、児童養護施策を、これまで続いてきた施設中心のものから、里親を活用することなどによる家庭的環境を重視したものに転換していくべきだと考えますが、福祉局長の見解を伺うものであります。
(略)

福祉局長(前川燿男君)
 福祉行政に関しまして、三点のご質問にお答えいたします。
(略)
 次に、子どもの社会的養護の状況についてでございますが、社会的な養護を必要とする子どもの数は現在約三千人であり、急速な少子化の進展にもかかわらず、過去十年間、ほぼ横ばいで推移いたしております。
 その理由を見ますと、親の死亡や家出による養護需要は著しく減少している反面、虐待や親の疾病による養護需要が大きく増加いたしております。これは、一方では核家族化の進展、地域社会の変容、家庭の孤立化、他方では子どもの健全育成の重要性に対する認識の高まりなどが背景となって、これまで表面化しなかった養護需要が顕在化したものと考えられます。
 こうした養護需要の内容の変化に伴い、子どもの処遇についても、これまで以上にきめ細かな対応が求められており、社会的な養護のあり方は大きな転換を迫られていると考えております。
 最後に、児童養護施策の転換についてでありますが、本来、すべての子どもが家庭で愛情に包まれながら成長することが望ましいのは論をまたないところであります。社会的養護を必要とする子どもにおいても同様であり、特にきめ細かなケアを必要とする被虐待児などの場合には、家庭的な養護の必要性は極めて高いと考えております。
 しかしながら、現状を見ますと、お話のとおり、社会的養護を必要とする子どものほとんどが集団生活を基本とする施設で暮らしているのが実態でございます。こうした状況を転換し、家庭的養護の比重を大きく高めることは福祉改革の重要な課題の一つであり、今後、里親やグループホームの拡大に向け積極的に取り組んでいく考えでございます。
木内良明君 (都議会公明党)
 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、都知事並びに関係局長に質問をいたします。
(略)
 次に、子育て支援施策についてであります。
 少子化や核家族化、急激な都市化の進行により、家庭と地域の結びつきが弱まり、地域の中での家庭の孤立化、また子育て不安の増大を招いています。その延長線上に、あの痛ましい児童虐待もあります。こうした問題の解決のためには、改めて身近な地域の中で子育て家庭を支え合う仕組みづくりに真剣に取り組んでいかなければなりません。そこで伺います。
 第一は、子ども家庭支援センターの拡充であります。
 何らかの困難な問題を抱えている子育て家庭を支援していくためには、全区市町村において、子ども家庭在宅支援事業を、事業主体者である区市町村と協力し、質、量ともに充実させていく必要があります。東京都として、子ども家庭支援センターの設置促進を図るべきと考えます。見解を求めます。
 第二は、児童虐待への対応であります。
 児童虐待の防止等に関する法律の施行に伴い、複雑、困難な相談が児童相談所に集中しており、児童相談所の充実強化が求められているのであります。ますます深刻化する児童虐待について、総合的に施策を展開するとともに、区市町村と連携した対応策の確立、児童相談所の強化策を一刻も早く実現をすべきであります。
 第三は、里親制度等の充実です。
 被虐待児童の増加など、地域の中で家庭的な養護を必要とする児童がふえているにもかかわらず、養育を引き受ける家庭がなかなかふえていない。また、一般に知られていないのが実情です。里親制度の充実のためには、例えば交通広告なども含めた、幅広い広報活動の一層の充実が必要と考えます。里親がふえない状況を、今どのように都は打開をしようとしているのか、見解を伺います。
(略)

福祉局長(前川燿男君)
 子育て支援に関して三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子ども家庭支援センターの設置促進についてでありますが、少子化や核家族化、都市化が進行し、家庭や地域の子育て機能が低下している中で、児童相談所などの専門機関と連携しなから、身近な地域で子育てを支える総合的な相談や支援の仕組みを充実することは重要な課題でございます。
 そのため、都では、こうした地域における相談支援の拠点となる子ども家庭支援センターについて、平成十六年度までにすべての区市町村による設置を実現する計画であり、現在、ほぼ半数で開設をされております。
 今後、計画の確実な達成を目指し、積極的に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待への取り組みについてでございますが、児童の虐待については、福祉、保健医療、教育、警察等の機関が、地域社会の中で一体となって迅速かつ総合的に取り組むことが必要でございます。
 そのためには、ご指摘にありましたとおり、一方で、児童相談所の専門的な相談指導機能の強化、他方で、予防、早期発見、早期対応などに大きな役割を果たす区市町村の相談支援機能の充実が重要であります。
 都は、こうした観点から、これまでもさまざまな施策の展開を図ってまいりましたが、今後さらに、児童相談所の改革充実と子ども家庭支援センターの全区市町村における設置の実現など、積極的な取り組みを進める方針でございます。
 最後に、里親制度の充実についてでありますが、さまざまな事情により親と一緒に暮らせない子どもたちは、本来、家庭的な環境の中で愛情に包まれて健やかに養育されることが望ましいのは、当然の事理でございます。特に近年、被虐待児や情緒障害児などのきめ細かなケアを要する子どもがふえており、家庭的な養護の必要性はますます高くなってきております。
 しかしながら、これまでは、戦後の混乱期から一貫して施設による養護が中心となっており、家庭的な養護についての周知や支援が十分ではなかったのが実情であります。
 今後は、養子縁組を目的としない都独自の養育家庭や家庭的な環境の中で養育するグループホームの拡大に向け、養育家庭になっていただく方の年齢基準の緩和や、お話のような広報活動の強化を図ることなどにより、家庭的養護の比重を画期的に高めるよう努めてまいります。
2001.10.16
平成13年厚生委員会
佐藤委員
 今、たまたま検討という話が出たんですが、そういった個体識別に対する検討委員会みたいなものを立ち上げてもらって、前向きに考えてもらいたいなと私は思っています。
 ちょっと観点を変えますが、三宅島が全島避難をしましてから十三カ月過ぎたわけであります。一年を過ぎたわけでありますけれども、島から、ペットを中心に動物たちも都内に避難してきているわけですね。このことについては、東京都あるいは三宅村、動物救護本部が三者協定をされて、日野市に救援センターを設置して救援活動をやられているところでありますが、行政が積極的に災害時の動物救護にかかわって支援しているという画期的なケースであります。これは高く評価しますし、また、各方面からも大変に評判がいいところであります。
 ところが、今回の災害というのは、火山ですから、ゆっくり災害が襲ってきた。ある意味では、予測できた中で災害が起こってきたわけでありますが、ということは、動物たちの所有者の特定が簡単に行えるような状況下の中で、保護あるいは収容された、こういうことだと思うんですね。
 ところが、これはあんまり考えたくないことでありますけれども、例えば、東京を中心として関東大震災クラスの地震が発生した場合に、これは想像でしかありませんけれども、恐らく何十万頭というペットといいましょうか、コンパニオンアニマルといわれるものが収容施設に保護される状況になってくるだろうと思うんですね。これらの被災動物の飼い主の引き取り、あるいは里親を探したりとか、けがの治療時の飼い主の承諾、あるいは死んじゃった場合の確認とか埋葬ということについては、個体識別が非常に大事なポイントになってくるんじゃないだろうか。
 似たような質問になりますけど、こういった災害時の動物保護対策の個体識別ということについては、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
2001.09.26
平成13年_第3回定例会(第12号)
藤田君 (藤田愛子 都議会生活者ネットワーク)
(略)
 間もなく、約千九百例に上る東京の児童相談所の事例を分析した、全国初の虐待白書が出されるように聞いています。子どもの権利侵害の最たるものとして、しつけと称して繰り返し行われる虐待事件で、幼い命が奪われる事件が後を絶ちません。
 この虐待に関しては、原因究明とこれを取り除くこと、また、親子分離後の関係修復のあり方を解決しなければなりません。
 少子化であるにもかかわらず、養護施設等で生活する、いわゆる社会的養護児童の数は、逆にふえ続けています。
 しかし、日本では、養護が必要な子どもの九割以上が施設に入所しており、里親委託を中心に考えている欧米に比べ、明らかな施設偏重の現状があります。子育ての社会化のための具体的な課題として、子どもたちにとっての最善の選択を可能にするためには、より家庭的な養護を提供できるシステムへの転換が必要です。里親制度の普及啓発と支援策を総合的に検討するなど、地域の中で家庭的な養護の担い手をふやす、思い切った施策の方向転換を図る時期にあると考えますが、いかがでしょうか。

福祉局長(前川燿男君)
 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子どもの社会的養護のあり方についてでありますが、社会的な養護を必要とする児童は、本来、家庭的環境の中で愛情に包まれながら成長することが望ましいのは、ご指摘のとおりであります。また、今日、被虐待児、情緒障害児など、個々の実情に応じたきめ細かなケアを必要とする児童がふえているのも、事実でございます。
 こうした観点から、これまでの施設養護のあり方を見直すとともに、お尋ねの里親についても、大幅な拡充を図ることが必要と考えております。
 今後、幅広い都民の理解と参加を得ながら、家庭的養護の充実に全力を挙げて取り組んでまいります。
(略)
2001.09.17
平成13年厚生委員会
上條総務部長
 事務事業の説明に入ります前に、お手元の資料についてご説明いたします。
(略)
 また、六八ページ下段から七三ページにかけましては、東京都児童会館及び地区児童館の状況、社会的な養育体制の充実として、児童養護施設や児童自立支援施設の状況、里親制度などについて記載してございます。
(略)
2001.03.23
平成13年厚生委員会
和田委員
 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を付託されました平成十三年度予算にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
(略)
 飼い主のいない猫を地域で世話をするモデルプランを実施すること。また、三宅島噴火災害動物センターを活用し、一時里親と里親を幅広く募ること。さらに、臨海部などの地域において、小動物と都民とが触れ合える機会を提供すること。
(略)
2001.03.14
平成13年度_予算特別委員会(第2号)
田村委員長
 説明は終わりました。
 次に、資料要求について申し上げます。ただいま議題となっております議案について、お手元配布のとおり資料要求がありました。
 朗読は省略いたします。
     ─────────────
  平成十三年予算特別委員会資料要求について
(略)
藤田 愛子君(生ネ)
(略)
5 里親制度の実態について
 (1) 養子縁組み件数、その内ファミリーホーム、フレンドホーム型の状況及び虐待児を受け入れている件数
(略)
2001.03.01
平成13年_第1回定例会(第4号)
織田拓郎君
 最後に、動物愛護推進員について伺います。
 平成十年の都の調査によれば、都内における猫の生息数は百十六万頭、うち飼育されている猫は百五万頭、飼い主のない猫が十一万頭と推計されております。
 一方、東京都内では、自主的に動物愛護に取り組んでいる団体やグループも多く、動物との触れ合いを促進する活動や、不幸な野良猫をふやさないため、野良猫の里親探しを進めたり、自費で不妊、虚勢手術を行ったり、地域に正しい猫の飼い方を啓発したりしております。
 そうした中、昨年十二月に改正動物愛護法が施行され、都道府県知事等は、地域における犬、猫等の動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうちから、動物愛護推進員を委嘱することができるとなりました。
 これを受け、動物愛護家の間では、早く動物愛護推進員の委嘱を行ってほしいとの声が大きくなっております。
 都は、この動物愛護推進員の委嘱にどう取り組む考えか、スケジュールを含めて伺います。
2000.12.12
平成12年厚生委員会
和田委員
 今、河津さんがおっしゃった協議会というか共同体というか、そのことは、横浜の磯子区はこういうことをやっているんですね。それがフイットするか、一緒になるかどうかわかりませんけれども……。磯子区では、協議会会員といって、会員になるためには、年会費千円を払ってもらう。この年会費は、地域ごとの避妊、去勢手術の補助、一般動物向けセミナーなどを開催するための活動資金に充てられる。それから、協賛会員の活動、これは、猫の飼育ガイドライン、これは磯子で決めていますけれども、その考え方を普及していくことだというようなこと。また三つ目は、実践グループの活動ということで、猫飼育ガイドラインに基づいた地域猫の世話をするというようなこと、あるいは地域猫の避妊、去勢手術に対して補助金を応援していますよというようなことも、このグループには出ているようであります。
 それから、猫の里親会というのがあって、毎月第二日曜日に、磯子区総合庁舎正面玄関前で開催して、その里親会では、猫限定で里親を探している。持ち込む方も、里親になった方も、原則として協議会会員になっていただく、いわゆる千円を払ってもらうという、少額といっても会員費を払うことによって、責任感を持って猫をお預かりするという形が、磯子の協議会ではなっているんです。
 そういうことでできた磯子の公園には、地域猫活動を実践しますという、実際はプラスチックなんですが、こういう看板を立てて、グループ名を書いて、世話している猫の数など、しっかり責任を明らかにするというようなことまで磯子ではやっています。こういうことが、今部長のおっしゃった協議会というふうに考えてよろしいですか。
2001.10.22
平成12年度_各会計決算特別委員会第2分科会(第3号)
大山委員 (大山とも子 日本共産党都議団)
 次は、虐待と児童養護の関係で少し質疑したいと思っています。
 資料で用意していただいたのが、児童虐待受理件数と児童相談所別の児童福祉司定数というのをつくっていただいています。この虐待の問題については、マスコミなどでも取り上げられて、児童虐待の防止に関する法律が十二年の十一月二十日に施行されていて、関心や認識がだんだん高まってきているという状況にあると思います。この表を見せていただきましたら、虐待の受理件数が、十年間で十五倍にふえているということがわかるわけです。
 十二年度に、この児童虐待の実態、東京の児童相談所の事例に見るという白書が十月に出されたわけですけれども、これとても参考になりました。この中で、虐待に対する社会的な関心が高まる中で、相談受理件数は今後も増加していくことが予想されますというふうに、この白書の中でも分析しているわけですね。
 虐待者の就労状況が、実父で定職のある者が六割弱にとどまり、不安定な就労状況が経済的な困難と結びつき、虐待へとつながる要因の一つとなっていますといっているわけですけれども、不況がますます深刻な状況になっている中で、不法なリストラだとか倒産など、今後さらにふえるということが予測されるわけですけれども、そんな中でも、子どもの受難を避けるためには、不況対策も必要だというふうに考えています。
 同時に、実母では、家庭にいる者の率が高いということでは、子育て支援も欠かせないというふうに思っています。
 虐待を未然に防ぐということが重要だと思っていますし、今述べましたように、総合的な対策というのが欠かせないことなんですけれども、きょうのところは、時間の関係もありますので、いただいた資料に基づきまして、虐待と児童養護施設、児童相談所などに絞って質問をしたいというふうに思っています。
 資料の18では、児童養護施設定員数と措置児童数の推移というのを出していただきました。これ、率も出してもらえばよかったのですけれども、平成三年度は措置児童数は八三・七%、それから、七年になると九一・二%になって、十年は九二・六%、十一年が九三・二%、そして十二年は九五・三%ということで、ここのところ急になんですけれども、児童養護施設の措置率が高くなってきているわけです。
 それで、措置率で見ると、十月の時点で九五%。これでもなかなか大変な率なんですけれども、ことしの十月一日の民間施設と都立の施設、五十一施設を見てみますと、十月一日時点で一〇〇%入所しているというところが十六カ所あって、あいている定員が一人から二人というところが二十三カ所なんです。ですから、十月一日の段階で、本年度七六%が満員か、もしくは一人か二人しかあきがないという状況になっているわけです。
 昨年は、とうとう定員を超えて措置されたというふうに聞いているんですけれども、これは本当でしょうか。

笠原子ども家庭部長
 昨年度でございますけれども、昨年度末は大変入所率が高くなりまして、十三年三月一日時点では、定員二千八百九十三人に対しまして、入所児童は二千八百五十四人、入所率九八・七%。大変高い率だったわけでございます。
 ただ、そうした中で、例えば兄弟ケース、こういった場合は養護施設に兄弟をばらばらに入れる、措置するというわけにまいりませんものですから、そうした場合には、同一施設への措置を行う必要がある。こういった理由から、一部の都立施設におきましては一時的に定員を超えた措置を図った、こういったところもありました。

大山委員
 さっきのご答弁とちょっと矛盾があると思うんですけれども、まだ改善の指導中なんだ、それで成果が出たかどうかわからない、しかし、今実際に三十四人の子どもたちが措置せざるを得ない状況にいるわけですよね。
 それで、家庭でも、例えば虐待の子が多くなって、虐待を受け、それから施設に入ったら、また安心できる状態じゃないというのは、本当にこれは子どもにとっては悲惨な状況ですよね。ほかにもやはり措置したくないところが幾つかあるというのも聞いていますけれども、やはり圧倒的に不足しているし、それから小手先で解決できるようなことじゃないというふうに思っています。
 それで、これは読売新聞の記事ですけれども、虐待を受けた子どもが今とにかく満員に入っているというか、ほぼ満員の状況で入っているんだということなんですね。いつも現場では人手不足で職員が悲鳴を上げている。それで、もっと一人一人の話をゆっくり聞いてあげたいと思っても、とても時間がない、褒めるより、ああしろ、こうしろと小言をいっている方が多いというふうに勤続十二年のベテラン職員も嘆いているわけですね。失った月日を取り戻すために、より多くの水やりが必要なのに、今の施設はそれだけの人的、物的な余裕がないというふうに施設長さんも語っているわけですね。ですから、やはりこの実質的な定員の縮小というのは、縮小してきた結果によって不足しているということだというふうに思うんです。どこでもいいから措置すればいいというわけでもないわけですし、さっきの白書の中にも、都みずから、被虐待児は増加するんだというふうにいっているわけですね。こんな状況の中でこの不足の状況をどのように解決しようというふうに考えていらっしゃるのでしょう。


笠原子ども家庭部長
 私ども、基本的に現在の施設の定員の枠内で、創意工夫をしながら、入所需要に適切に対応しているというふうに考えてございます。したがいまして、児童が入りたいというようなニーズがあれば、必要なときに必要な子どもを措置できる状況にあるというふうに考えております。今後とも、児童養護需要に対しまして柔軟適切に対応して、その役割を果たしていきたいというふうに考えております。

大山委員
 実際、柔軟適切にとおっしゃるけれども、施設の定員の枠内でないところはもう既に出てきちゃったわけですよね。一時的だとおっしゃるかもしれないけれども、その枠内でも処理し切れない。それから必要なものを必要な子どもにきちんと提供できているかといったら、そうじゃないというふうにいわざるを得ないわけですよね。だから、不足している状況をどうするのかということを、足りないならきちんと、それこそ必要なものが必要なときに利用できるように、つくることも含めて、養育家庭だとかも含めてきちんと考えていっていただきたいというふうに思っています。
 児童養護施設と同様にいっぱいになっているのが、児童相談所についている一時保護所ですね。この間の予算特別委員会の資料でこの入所状況が出ていたんですけれども、これを見る限りは定員を超えることはないんですけれども、実際にはここでも定員を超えて入所するんだということなんですけれども、どうですか。
2000.10.17
平成12年厚生委員会
上條総務部長
 事務事業のご説明に入ります前に、お手元の資料についてご説明申し上げます。
(略)
 四四ページの中段から四五ページにかけましては、児童会館、地区児童館の設置状況等につきまして、四六ページからは、社会的養育体制といたしまして、児童養護施設、児童自立支援施設、里親制度等の状況など、子どもが伸び伸びと成長できる環境づくり等について記載してございます。
(略)
2000.03.17
平成12年厚生委員会
田中委員 (田中智子 所属政党?)
 次に、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例、第九十二号議案について若干質疑をしたいと思います。
 この条例は、児童福祉施設であります東京都那古学園及び東京都宇佐美児童学園を廃止するというものです。
 児童虐待がこのところ大変ふえ続けているということです。十年度は、児童相談所に相談があった児童虐待に対しての相談は七百十四件ということで、平成六年度二百十七件から比べますと、三倍にふえております。また、まだ最終的に固まっているわけではないのですが、十一年度では、既に二月の段階で千二百一件という数字があります。十年の同月と比べますと、一八一%というように、一・八倍もの大変大きな増になっているということもいえると思います。
 このような状況を反映して、現状では、児童養護施設は、今までのような父母と死別したり、保護者の監護を受けられない児童が多いというよりも、虐待を受けるなどの児童が大変ふえているというふうに聞いております。社会福祉協議会の調査によりますと、虐待を受けて入所をしている児童は、全国で二割、東京で六割という調査もあるというふうにも聞いております。
 虐待問題は、事件が今になってふえているというよりも、以前からあった問題に、ようやく最近になって、告知義務などの問題があり、光が当たって、社会問題としてクローズアップされるようになってきたのが実態であると思います。潜在的には、まだまだ発見されていない問題があると見なければいけません。
 虐待を含めて、家庭で暮らすことが困難になった子どもの受け入れ先として、九割以上が児童養護施設で、里親はわずかにすぎないという状況です。この状況では、今出されております児童養護施設の廃止問題は、慎重に検討されなければならないと思います。
 そこで、最近の児童養護施設の入所児童の傾向について、児童虐待による保護などはふえているのかどうか、また、今後の傾向はどうなるとお考えなのか、伺いたいと思います。

稲熊子ども家庭部長
 虐待による保護につきましては、平成八年度四十七、九年度で六十一、十年度で七十一人と、若干の増加傾向にあるといえます。
 今後の入所傾向につきましては、少子化の傾向と対応する部分もございますが、社会状況の変化などに影響を受ける、そういう実態もあることから、なかなか予測は難しい、そのように考えております。

田中委員
 では、最近五年間の児童養護施設全体の入所児童の実人数はいかがでしょうか。

稲熊子ども家庭部長
 平成八年から平成十二年三月までの入所実績でございます。平成八年が二千八百六十九と最も多く、その後、若干の増減を繰り返しながら、平成十二年で二千八百、こういう状況になってございます。

田中委員
 かつて三千人が入園しておりまして、それが二千八百人程度まで減ってきてはいるけれども、この二、三年は減りどまっているということがいわれました。
 児童全体の人口がかなり減ってきているという中で見ますと、相対的には入園児はふえる傾向にあるといえるのではないでしょうか。かといって、里親は、この社会状況では、なかなかそういう方は多くはないということで、なかなか里親についてはふえていないというのが実態であると思います。
 そこで、里親になっていただける方はふえているのでしょうか。いかがでしょうか。

稲熊子ども家庭部長
 横ばいの状況でございます。
1999.09.22
平成11年_第3回定例会(第14号)
近藤やよい君(自由民主党東京都議団)
 自分たちのまちは自分たちで守る、何でも行政任せでは、東京、ひいてはみずからの未来はないといった考え方、すなわち、私たちのまち東京に対するプライドを高め、都民と地域社会と行政の間の連帯感を醸成できる具体的な施策を一つでも多く提言し、都民意識そのものを揺さぶらなければ、制度だけの変革には必ずやゆがみが生ずると確信します。知事のご見解を伺います。
 住民意識の変革を促す一つの具体的な施策として活用されているのが里親制度です。この制度は、アメリカのテキサス州で一九八五年に開始されました。地元の住民や企業などがいわゆる里親になって、養子である公園や道路などの公共地域の清掃や美化活動を行うという制度ですが、ごみ収集にかかわる費用、つまり税金の節約になるばかりでなく、住民意識を高める効果が期待できます。日本では、昨年六月、徳島県で初めて導入され、活動が活発化しております。
 都でも、都民参加の事業として、都立庭園に庭園ガイド制度を立ち上げたり、都立公園の清掃に地元のボランティアグループの参加を求めたりと、同じような取り組みはしているものの、都民への周知は不十分で、団体としての参加しか認められないなど、都民の意欲を十二分に活用しているとはまだまだいえない状況です。注目を集めている自治体と同趣旨の取り組みをしているだけに、アピール度が足りない分、残念でなりません。この面での都の今後の取り組みについて伺います。
1999.02.05
平成11年厚生委員会
岡部総務部長
 平成十一年度予算案及び平成十年度補正予算案並びに条例案につきましてご説明申し上げます。
(略)
 次に、三七ページをお開き願います。このページから四二ページにかけまして、児童福祉施設等の運営でございまして、四百二十七億五千八百万円を計上しております。児童養護施設、児童自立支援施設、里親への保護委託等に要する経費でございます。
(略)
1998.10.15
平成10年厚生委員会 
岡部総務部長
 事務事業の説明に入ります前に、お手元の資料についてご説明いたします。
(略)
 三六ページから三九ページにかけては、4、子どもが伸び伸び成長する環境づくりについて記載してございます。三六ページでは児童会館等について、三七ページ、イからは、社会的な養育体制の充実として、里親制度等について説明しております。
 次に三九ページ、(2)、子どもの尊重をごらんください。まず、(ア)、子どもの権利保障施策の充実でございます。これは、虐待やいじめなど、子どもの権利侵害が深刻な社会問題となっているため、本年七月の東京都児童福祉審議会からの意見具申を踏まえまして、新たな子どもの権利擁護システムの構築を図ろうとするものでございます。
(略)
1998.02.20
平成10年厚生委員
岡部総務部長
 平成十年度予算案及び条例案につきましてご説明を申し上げます。
 (略)
 次に、三六ページをお開き願います。このページから四一ページにかけましては、児童福祉施設等の運営、四百二十六億七千二百余万円を計上してございます。児童養護施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、里親への保護委託等に要する経費でございます。
 なお、児童福祉法の改正によりまして、現行の養護施設は児童養護施設に改正を、また、教護院は児童自立支援施設に、母子寮は母子生活支援施設に、施設種別名称が変更されたところでございます。
(略)
1997.09.18
平成9年厚生委員会
岡部総務部長
 事務事業の説明に入ります前に、お手元資料につきましてご説明させていただきます。
(略)
 次に、三九ページから四〇ページにかけてでございますが、(2)、社会的な養育体制の充実といたしまして、養護施設及び教護院の現況、里親制度などについて記載してございます。
(略)


2002/3/16 sido