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養子縁組あっせん事業指導について

昭和62年10月31日 児発第902号
各都道府県知事・各指定都市市長あて
         厚生省児童家庭局長通知

 今般、民法(明治29年法律第89号)の一部改正により、昭和63年1月1日から特別養子制度が実施されることとなったが、特別養子を含め養子縁組のあっせん事業を行うものに対する指導に当たっては、下記事項に御留意の上、遺憾のないようされたい。 

第一 養子縁組あっせん事業の届出
   18歳未満の自己の子を他の者の養子とすることを希望する者及び養子の養育を希望する者(以下「養子希望者」という。)の相談に応じ、その両者の間にあって、連絡、紹介等養子縁組(特別養子縁組を含む。以下同じ。)の成立のために必要な媒介的活動を反復継続して行う行為(以下「養子縁組あっせん事業」という。)は、社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)第2条第3項第2号に規定する「児童の福祉の増進について相談に応ずる事業」に該当するものである。従って、当該事業を行う者は、同法第64条第1項に定める届出を行わなければならず、この旨指導を行うこと。
第二 養子縁組あっせん事業を行う者の調査等
(1) 養子縁組あっせん事業について社会福祉事業法第64条第1項の届出が行われる際には、同項に規定する事項のほか、適正な養子縁組のあっせんを確保するため、同法第65条の規定に基づき、次の事項の報告を求めること。
ア 事業を行う者(団体の場合はその役員)の住所、経歴及び資産状況
イ 建物その他の設備の状況
ウ 養子縁組あっせんの実務を行う者の氏名、経歴及び勤務形態
エ 養子となるべき児童及びその家庭に対する調査、指導の内容
オ 養子希望者及びその家庭に対する調査、指導の内容
カ 事業の収支計画

(2) 養子縁組あっせん事業の届出をした者は、社会福祉事業法第64条第2項の規定に基づき、届出事項に変更を生じたときはその旨を都道府県知事に届け出ることとなっているが、そのほか、都道府県知事は養子縁組あっせん事業の届出をした者に対して、毎年、事業報告書及び収支決算書の提出並びに(1)のアからオに定める事項について変更を生じた点の報告を求め、事業内容の把握に努めること。

(3) 上記(1)又は(2)による報告等により、適正なあっせんが行われていない疑いがある場合には、立入調査を行うなどさらに必要な調査を行うこと。
第三 養子縁組あっせん事業を行う者に対する指導上の留意事項
(1) 営利を目的として養子縁組のあっせんを行う行為は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第34条第1項第8号の規定により禁止されるものであること。ただし、交通、通信等に要する実費又はそれ以下の額を徽収することは差し支えない。

(2) 養子縁組あっせん事業を行う者が、自己の子を他の者の養子とすることを希望する者に対して里親委託、児童福祉施設への入所などの児童福祉法上の他の措置についても説明を行うとともに、必要に応じて児童相談所と連絡をとるよう指導すること。

(3) 養子縁組あっせん事業については、社会福祉法人及び民法第34条の規定に基づき設立される法人(以下「社会福祉法人等」という。)により行われることが望ましく、当該事業を行う任意団体等に対しては、第四に定める条件の整備を行い社会福祉法人等として事業を行なうよう指導すること。

(4) 第二に定める調査等により、適正なあっせんが行われていないと判断される場合においては、改善すべき点を具体的に指摘して指導すること。

(5) 養子縁組あっせん事業を行う者が、上記(4)に定める指導に従わない場合又は第二に定める調査等に応じない場合、都道府県知事は、社会福祉事業法第68条に定める聴聞手続を経た上で、同法第67条第1項又は同条第2項の規定に基づき、当該事業を経営することを制限し、又はその停止を命ずることができるものであること。
第四 養子縁組あっせん事業を行う法人の認可及び指導
(1) 法人の認可
 養子縁組あっせん事業を行う社会福祉法人等の認可又は許可については、昭和39年1月10日社発第15号「社会福祉法人の認可について」及び昭和54年5月16日社庶第56号「社会福祉法人の認可について」又は昭和49年12月27日厚生省総第397号「地方公益法人に対する都道府県知事の許可、認可等の事務について」に定める事項のほか、少なくとも次の事項に適合するものであることを確認すること。

ア 職員
 児童福祉法第11条の2に定める児童福祉司の資格を満たす専任ケースワーカーを2名以上置いていること。
イ 事業
 昭和62年10月31日厚生省児発第138号「里親等家庭養育の運営に関して」の第二章及び昭和62年10月31日児発第901号「里親等家庭養育運営要綱の実施について」の第二章に定める内容に準じた養子縁組あっせんの方法に関する業務方法書を作成し、これに基づき事業を行うこと。
 なお、同業務方法書においては、養子縁組あっせん後も、当該法人が引き続き定期的に面接指導等を行う旨が定められていなければならない。
ウ 定款又は寄附行為の内容
(ア) 養子縁組あっせん事業を行うことがわかるよう明記されていること。
(イ) 業務方法書を作成し都道府県知事の承認を得ること及び業務方法書を変更する時も都道府県知事の承認を得ることが明記されていること。

(2) 法人の指導
 既に設立を認可又は許可されている養子縁組あっせん事業を行う法人の指導については、第一から第三までに定める事項の他、上記(1)の趣旨にそって指導を行うこと。


更新日 99/3/30  シド